今回は第5回でやった分計の読み方に関する嘘とホントについて、もう少し書いてみようと思います。第5回と合せて読んでいただければ鬼に金棒かと思います。
今や制作マンのほとんどが自分の番組の毎分視聴率のグラフを見ていますが、前にも書いたように、よく解らないまま見ている人も少なくないのです。
以下にありがちな間違いと正しい見方を列挙してみましょう。
(誤)面白かったところは視聴率が高く、つまらなかったところは視聴率が低い。
(正)面白かったところはグラフが右肩上がり、つまらなかったところは右肩下がり。
グラフの山が面白かったところで谷がつまらなかったところだという捉え方は全くの誤りです。大して面白くなくても、それまでに見ている人が多ければその時点での視聴率は高くなります。グラフの山は大勢の人が見ていたというだけで、面白かったかどうかはその直後に現れるのです。たとえ直前の視聴率が低くても、そこから先が面白ければグラフは右上がりになります。もっとも最初は低いレベルでの右上がりです。かなり面白ければかなり急角度の右上がりになります。
グラフの山は「そこまでは面白かったが、その辺りから面白くなくなってきた(あるいは、もうここから先はあまり面白くなさそうだ)」という地点なのです(番組のキューシートと照らし合わせるとコーナーの変わり目であることがよくあります)。グラフの谷はその逆です。ただし、グラフの谷のうち急角度になっているものは往々にしてCMタイムです。
(誤)グラフが右肩上がりなら面白かった証拠。右肩下がりならつまらなかった証拠。
(正)面白かったところはグラフが右肩上がり。つまらなかったところは右肩下がり。
逆必ずしも真ならず、って奴ですね。グラフが右上がりなのはちょうど皆が起床してテレビをつけ始める時間帯だったからかもしれません。グラフが右下がりなのはちょうどその時刻から強い裏番組が始まったのかもしれません。視聴率には「面白い/面白くない」以外の要素が強く働きかけることを忘れてはいけません。(正)のほうの「面白かったところはグラフが右肩上がり。つまらなかったところは右肩下がり」も、まあ大体はそんな感じ、という程度に理解してください。
(誤)強い番組はCM時の落ち込みが少なく、弱い番組ほど落ち込みが激しい。
(正)強い番組ほどCM時の落ち込みからの戻りが早い。弱い番組はCM時に落ち込んだまま戻らない。
現実に強い番組と弱い番組を比較してみると、CM時の落ち込みは強い番組のほうが大きかったりします。考えてみれば当たり前で、視聴率2%の番組は2%しか下がる余地がないのに、20%の番組は20%下がることが可能だからです。
TVにリモコンが導入されて以降の強い番組のパターンは、時間帯や裏番組にもよりますが、CM時には結構急角度で右肩下がりのグラフになります。そして、CMが終わった頃から今度は急激に右肩上がりに転じるのです。強い番組ほど、この戻りが大きく(ほとんどCM前の水準にまで戻る)、かつ戻りが早い(CM明け5分から10分で元の水準に戻り、あるいはそれを超えて行く)、というのが特徴です。
「CM時に落ちないように」と考えるのはないものねだりなのです。
(誤)ライバル関係のある裏番組とはグラフの形が似ている。
(正)ライバル関係のある裏番組とはグラフの形が上下対象になる。
「ライバル関係にある裏番組」というのはともに同じ層の視聴者を取り合う関係にある裏番組です。視聴者は番組Aを見ていて、あまり面白くなければBに切り替え、それもイマイチならまたAに戻る、というようなことを繰り返しています。従って、Aが下がる時は対照的にBが上がり、Bが下がる時には対照的にAが上がるのです。だから、全局の分計を1つのグラフ上で眺めていると、逆にどの番組とライバル関係にあるのかが見えてきます。
この時間まではB局の番組がライバル、そこから先はC局の番組がライバルなどという形にもお目にかかります。ある時点までは番組AとBが上下対象に差しつ戻りつの接戦を演じながら、あるポイントを過ぎたところで一方が完全に置き去りにされてしまう(Aはひたすら下降、Bはひたすら上昇)なんてこともよくあります。
グラフの形が似ている(両方とも右上がり、等々)の場合は、両番組の視聴者層が異なっていて交流がないと見るほうが普通でしょう。
ほかにも、細かいことを言えば、まだたくさん注意すべき点はありますが、以上4点ぐらいがグラフを見る上で最低限必要な知識ではないでしょうか。一般の方には全くどうでもよい話なのですが、放送局の内部にこういうことを教えてくれる人物や書物がほとんどないので、ちょっと試しに書いてみた次第です。
Copyright(c)yama-a Jun.2003
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