さて、ウダウダ書いてきた訳ですが、今回をもって終了と致します。
最終回を迎えるに当たって、各局調査マンの皆さんに僕からのはなむけの言葉を贈ります。それは、
調査マンよ、謙虚であれ
ということです。
調査マンというのは他力本願な、非常に非力な存在です。君にできることは限られているのです。
例えば君が綿密な調査の結果、「この枠だったらドラマが当たる」という結論を出したとします。加えて、編成マンがその意見を尊重してくれたとします。しかし、制作マンが面白くないドラマを作ってしまうと、その分析は水泡に帰すのです。
例えば「この枠の新番組は F1 を狙うべきで、落ち着いてじっくり見る内容ではなく、どこからでもつまみ食いできるバラエティ・タイプのものが良い」という結論を出したとします。で、確かにどこからでも見られる番組なのだけれど、5分と続けて見ていられないバラエティが出来上がってきたら、それでオジャンなのです。
開始前にプロデューサーが「F1 を狙いに行く!」と宣言していたのに、蓋を開けてみたら視聴率が一番高かったのはF3だった、なんてことはザラにあることです(こういう場合は F3 も特に高い訳ではなく、単にマシであるにすぎないケースが多い)。
つまり、君が番組を作る訳じゃないんです(じゃあ、君が直接作ってみたらどうなるかは別として)。君にできることは所詮プロデューサーにヒントを与えることだけなのです。
そして、君の指摘がどんなに正しくても、一般の商品だったら言った通りに作れるケースもあるかもしれませんが、TVの場合は言った通りに作れる番組はありえないのです。
そういう訳で、君が視聴率調査の仕事を続ける限り、君は社内で「打率1割未満のへっぽこ打者」という評価を受け続けるでしょう。
しかし、君の仕事は競馬の予想屋でもなければ、ユダヤの預言者でもないのです。さっきも書いたように、君の仕事はプロデューサーになにがしかのヒントを与えることなのです。
横からヒントを与えてやると、プロデューサーたちは考えます。
「なるほど、小学生とその母親狙いか/なるほど、このコーナーから視聴者が減って行ってるのか/なるほど、あの裏番組を意識すべきなのか」等々。
そこで彼らはさらに考えます。
「ならば、自分の持っている引き出しの中からであればこういう手法を取れるぞ/自分の知り合いのタレントの中ではあいつが合ってそうだ、あいつに声を掛けてみよう/そういう狙いなら思い切って若手のこいつに演出させてみるか」等々。
プロデューサーが持っている本来の広さからはみ出すことは少ないかもしれません。しかし、君の助言によって、プロデューサーは今まであまり使ってこなかった引き出しを開けてくれるかもしれないのです。
そのためには、君のヒントが活かされるためには、制作マンに嫌われてはいけません。他の人に嫌われても制作関係者には絶対に嫌われないようにしてください。
そのためにも番組の良いところを指摘してあげましょう。あらゆる分析手法を駆使して、その番組の見込みのありそうな部分を見つけ出して教えてあげましょう。
そして、それを見つけるためにも、毎日毎日、あらゆる方向から、データを穴が開くほど見つめてください。
それが僕の考える、調査マンの心得です。
僕自身は、調査担当を離れてしまって、そういうことができなくなったことが淋しくて淋しくて仕方がありません。
「微力ながらお役に立ちたい」──それが調査マン共通の願いではないでしょうか?
「微力ながらお役に立ちたい」──そういう思いを伝えながら、この文章を結びたいと思います。
長らくのご愛読ありがとうございました。
Copyright(c)yama-a Jul.2004
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