| 2004/11/27
セカンドオピニオン2 今日もまずはお決まりのお楽しみ・・・。乳癌のお友達4人と昼食を楽しむことになった。一人は始めて会う方だった。ランチはバイキングレストランで、とても美味しく、デザートも充実していて、話も弾み、いつものごとくあっという間に時間が過ぎてしまった。本当は今日は4人の皆さんでお買い物の予定だったのを私が急遽割りこんでしまったわけで・・・申し訳なかったけど、楽しい時間を過ごせてよかった。
その後別の友人に会った。中学時代の友人だ。中学時代以来全く会っていない。数日前に27日に東京に行くのなら、病院での待ち時間の間にでも会えないだろうか、というメールをもらった。確か九州に住んでいると思ったけど、東京に引っ越したのかしら?と思いつつも、とにかくこのところ忙しかったので、とりあえず用件のみ・・・と病院名や予約時間のみを伝える簡単なメールですませてしまった・・・。これがいけなかった。実は彼女は九州から私に会うだけのために新幹線で東京まで来てくれたのだった。それがわかったのは当日で、もう本当にびっくりしてしまって、出かける直前にやっと電話で話ができて、もうやたらと動揺したまま家を出てきたのだった。まあ、びっくりしたけど、とにかくすごく私のことを心配してくれていたようで、それは嬉しいことだった。
病院の受付に私より早く行っていた友人はもう20年以上も会ってないけどすぐにわかった。受付をすませて、先生がいらっしゃるまで色々とおしゃべりした。そんなに待たされることなくセカンドオピニオンが始まった。
現在再発進行乳癌の治療に関して基準となっているのは、ホルトバジーのアルゴリズムと言われるもので、ホルモンレセプターが陽性で転移が生命を脅かすものではない場合はホルモン療法をまず行うという考え方だ。この基準に従って、主治医の先生も放射線の先生も前回のセカンドオピニオンの先生もまずホルモン療法という答えになったわけで、おそらく日本中のほとんどの病院で同じ答えが返ってくるだろうと思う。
今回の先生は、少し違ったスタンスで再発進行乳癌の治療にあたっておられるということで、ホルモン療法が第一選択という先生方の意見にどうしても納得できない私に、放射線の先生が紹介してくださった先生だ。もっとも一度はセカンドオピニオンの料金の高さにひるんでやめてしまったのだけど・・・。夏に一度問い合わせの電話をしていたことが先生にも伝わっていたそうで、「どうしたのかと思っていました」ということだった。
話に入る前に、何を治療の目的とするかということ、そして真実を全て知りたいかということを聞かれた。治療の目的としては、生存期間の延長が最も重要である場合もあれば、QOLの維持が最も重要である場合もある。それによって治療の選択は大きく変わってくる。この点については最初から決まっている。治癒を目的とした積極的な治療を受けたい。そのためにQOLの低下があってもいい。真実を知ることについては、患者は真実を知る権利はあるが、真実を知る義務はないという説明を受けた。10年後の生存率のような数字も含めて知りたいかということだったので、全てを知りたいと答えた。
最初にこの先生が書かれた書籍のコピーで再発進行乳癌の治療について書かれたものをいただいた。私の転移の場合は再発なのかどうかということはわからないわけで、自分としては再発ではないと思っているのだけど、今回の話も再発乳癌としての前提で進んでいった。いただいたコピーは患者向けではないということだったけど、わかりやすく、非常にためになるものだった。
再発進行乳癌の治療方針は多様であり、患者の価値観によって異なってくる。前述のホルトバジーのアルゴリズムは、緩和医療を目的とした場合のひとつの選択肢であり、絶対的なものではない。この点が日本では理解されていないのではないかということだった。ホルトバジー自身も「転移が最小限で重要臓器への浸潤がない、または肺、肝、骨などの孤立性転移のある無症候患者では、保存的な治療と完全寛解(腫瘍が完全に消失)が得られるような集学的治療の両方の選択肢が検討されなければならない」と述べているという。私の場合はまさにこの「転移が最小限で・・・・無症候患者」にあてはまっている。
色々なデータを見せてもらった。化学療法により完全寛解した割合と、その後の無再発生存期間や全生存期間についてのデータ。10年後の生存率は完全寛解したグループの方が高くなっているというデータだ。こうしたデータから化学療法による完全寛解は長期生存のための必要条件であると考えることができる。もちろん十分条件ではない。ホルモン療法によって治癒したというデータは報告されていない。
ホルトバジー自身も、非常に慎重な言い回しではあるものの、腫瘍量が少量で限局的なケースでは3〜30%は治癒できるかもしれない、治癒を目指した治療を行うべきであるということを言っているということ。
ホルモン療法と化学療法による効果の差がないという考え方もあり、このこともホルモン療法を第一選択とするひとつの根拠となっている。これは1986年に発表された論文に基づくものだ。(1) タモキシフェンのみ (2) タモキシフェン+AC (3) ACのみ の3つについて比較したところ有意差がなかったというものだ。このデータについては、症例数が少ないということと、ER(エストロゲンレセプター)が陽性と分かっている人は25%しか含まれていないという点で問題があるという。
また再発進行乳癌の5年生存率を5年刻みで分けたデータも見せてもらった。1974年〜79年の5年間から始まり、1995年〜2000年の5年間までの数値だが、すごい勢いで向上している。乳癌の治療はどんどん新しい方法が取り入れられてきているのだから当然のことだと思う。これは私が常々考えていることだ。10年生存率を根拠に、再発乳癌は完治しないとよく言われることだが、私はそれは違うと思っている。その思いが裏付けられたようなデータを見せてもらったことはとても心強いことだった。
この先生の考えは、最近の生存率の上昇や、化学療法により完全寛解となった患者の予後が良好であることなどから、患者の価値観を尊重したうえで、治癒を目的とした積極的な治療も選択肢として提供するべきだというものだ。最初に書いたように、現在の日本ではこうした考え方は、再発進行乳癌の治療として多くの病院が採用している治療方針とは少し異なるものだ。この考え方を全く受け入れない病院もあるということだった。
再発乳癌は完治しないとか、再発は早期発見しても生存率には差がないから早期発見の意味がないとかいう説もあるようだが、私は違うと思っている。そういう考え方があるから、最初から緩和が目的になってしまうのではないだろうか。そうではなくて、やはり治癒を目的とした積極的な治療もひとつの選択肢として患者は与えられるべきではないだろうか。そして、私は治癒を目的とした治療を選択したいと思う。(この段落はセカンドオピニオンで聞いたことではなく、私個人の考えであって、この辺については、自分自身かなり熱くなっている部分でもあり、私自身の理解に誤りや偏りがあるかもしれないので、さらっと読み流していただければと思う。)
治癒を目的とした治療の場合、化学療法の選択肢としては、現時点ではCAF/CEFとなるだろうということ。50〜60%くらいの割合で効果が期待できるのではないかということだった。ゼローダであれば30〜40%。CAF/CEFの効果が出なくなった場合は、MMM、ナベルビンなどが考えられる。ナベルビンは現在日本では承認されていないが、来年くらいには承認されるかもしれないということ。プラチナ製剤という選択肢もあるが、最初に使用した場合は高い効果が期待できるものの、他の薬を使った後だと一気に効果が弱まるのだそうだ。タキソテールもこれまでに使っていないが、タキソールと同じタキサン系の薬なので、タキソールが効果がない場合でタキソテールだと効果が出るという可能性は20%程度と思われるということ。ゼローダ等の経口抗がん剤についてはF単独となるので、それよりはCAF/CEFの三剤の方が効果は高い。Fについては3週間に一度の点滴ではあまり効果が表れないのではないかという考えもある。効果を高められるのは静脈に流しっぱなしにするやり方とういこと。毎日薬を服用する経口抗がん剤の方がそれに近い状態になるので、CAF/CEFのFの部分を経口抗がん剤にするというやり方もあるそうだ。
局所再発(胸骨傍リンパ節はギリギリで局所ということ)については、局所療法も積極的に考えていいのではないかということだった。私のケースでは、まず全身療法(CAFまたはCEF)を行い効果を見た後で局所療法を行い、その後化学療法を2年間行うというのが今回の先生の提案だった。ただし、AまたはEは心毒性があるので長期間は使用できないため、途中からCMFになる。放射線治療についてももう一度検討する価値はあるのではないかということだった。
しかし、私の場合は、そもそも本当に癌の転移なのかということをはっきりさせる必要があるのではないかということだった。組織診を行うということだ。これは手術ということになる。今のPETとMRIの画像だけでは転移であるという確証は得られないのではないかということだった。実際にPETで取りこみがあったものの、経過観察していたら消えてしまったというケースが時々あるという。全く同じ話を私のPETの検査結果の説明のときに主治医の先生から聞いた。それでも私が納得できなくてMRIをお願いしたのだ。
その他にもいくつか質問したいことがあったので、聞いてみた。
ひとつはホルモン療法について。ホルモン療法は化学療法と併用するべきではない。CAF+タモキシフェンの組み合わせはCAF単独より効果が低いというデータがある。ホルモン療法単独で考えた場合、私のケースでは、タモキシフェンが効果がなかったと結論づけることはできないが、効果がなかったのかもしれないということを考えると、閉経状態であればアロマターゼ阻害剤の方がいいということ。
次に有効な画像診断について。前にも書いたことだが、画像診断はそれぞれ長所、短所があるので、PET・MRIとも受けて注意深く観察するのがよいということだった。PETを定期的に受けて、PETの取りこみがなくなったらMRIでもいいかもしれないということ。
次に妊娠について。こんな状況になってまでと思われるかもしれないが、私はどうしても妊娠の希望をきれいさっぱり捨て去ることはできなかった。治療との両立は困難だということ。言われるまでもなくわかっていることだ。妊娠しようと思うなら全ての治療を止めるしかない。それは再発リスクを高めることだ。それでも、もし化学療法の効果で転移が消失したなら妊娠にトライしたいという思いはまだあった。自分の転移、そして夫の脳腫瘍という出来事が重なり、娘に何としてでも兄弟を作ってあげたいと思ったのだった。もちろん私も夫も生き延びていくと信じている。だけど、それとは別次元で、最悪のことは考えておかなくてはならない。私も夫も他の健康な人に比べれば娘の成人を見届けられない可能性は遥かに高い。最悪の場合たった一人で生きていかなくてはならない娘のことを考えたとき、例え自分の命を削ってでもこの子に兄弟を残してあげたいという思いがどうしようもなく溢れ出していた。もし転移が消失したならば治療を止めてもすぐには再発しないだろう。再発する前に子供を産んでおきたい。再発したとしても、悪くても5年くらいは生きていられるだろう。娘を見ていると5歳くらいになれば一番手がかかる時期は通り越したように思うし、母がいなくてもなんとかなるのではないか・・・。そんなことを考えていた。
でもそれは間違っていたと思う。やはり私はなんとしても生きなければならない。そのためには少しでも生存率、生存期間を伸ばす可能性のある治療を選択していかなければならない。この子のために、何があってもしぶとく、諦めず生きていかなければならないのだと思う。だから・・・子供をもう一人という気持ちはようやくふっきれたように思う。今は最愛の娘のためにまず自分が生きていくことを考えていかなければならないのだと思う。妊娠についての質問をしたとき、先生は私の気持ちを理解してくださったうえで、「子供を残すことが大事という考え方もあると思うが、まずご本人が生きることが大切です」と言ってくださった。思いきってこの質問をぶつけてみて、そういう言葉をもらったことでふっきれたのかもしれない。
最後に、この病院で治療計画を立ててもらって、地元で治療を受けることは可能かということも聞いた。治療計画を出すことはできるが、地元の病院側が受け入れる状況にあるかどうかということが問題となってくる。東京に住んでいたなら、迷いなくこの先生に今後の治療をお願いしたいと思っただろう。でも現実問題としてはなかなかそういうわけにはいかない。主治医の先生は、私がセカンドオピニオンを通じて出した結論を尊重してくださると思うけど、それが実際にできるかどうかということは別問題だ。それは私にはわからないことだし、直接先生同士で話をしていただければと思う。幸い、今日の先生も私の主治医の先生から電話をしてもらっても構わないと言ってくださった。
もともと私の考えに近い治療方針の先生を紹介していただいたので当たり前なんだけど、自分の考えと一致することがとても多く、そのことを言ったら、「自分の考えに合う医者を探すためのセカンドオピニオン(=ドクターショッピング)は危険ですよ」と言われた。この先生の考えを批判する先生方も多いということで、そういう先生方の中の一人として、今回度々名前が出てきた先生がいらっしゃるのだが、実はその先生も当初セカンドオピニオンの候補に入っていた。そのことを言ったら「是非そちらでも話を聞いてきてください」と言ってくださった。確かに相反する考えを持っていらっしゃる先生の話もきいた方がいいだろうとは思う。もっとも、そちらの先生はあまりに料金が高すぎて挫折したのだけど・・・。
全体を通じて、お話の端々にこの先生の患者への思いがにじみでているようで、とても嬉しく暖かく感じた。「医療は患者さんのためにある」とおっしゃっていて、まあ、そんなことは当たり前なわけだけど、「医者になろうと思ったときは誰でもそういう気持ちでいたはずなのに、いつの間にかそれを忘れてしまう人が大勢いる」という話もなさっていた。また、今回話してもらった考え方について「正しいとは限りませんよ」と何度も繰り返されていて、そういうところも非常に実直な感じを受けた。
結局2時間半くらい先生と話していた。その間友人はずっと待っていてくれたわけで・・・・重ね重ね申し訳なかった。その後ほとんど時間はなかったのだけど、マクドナルドに入って彼女の子供の写真など見せてもらったり、仕事のこととかゆっくりとはいかなかったけど、話をして、東京駅で別れた。
今回のセカンドオピニオンはとても有意義であり、また心も満たされるものだった。やはり化学療法(CEFまたはCAF)しかないと思う。あとはその治療が地元で受けられるかどうかということだけだ。まずは2回のセカンドオピニオンの結果を持って主治医の先生と相談になる。ようやく次のステップに進めそうだ。・・・と言いつつも、自分でこれを書きながら、どうも今ひとついつになく自分自身が冷静さに欠けているような気もしている。もう少し時間をおいて頭を冷やしてよく考えた方がいいのかもしれない。そういう意味では、確かに全く反対の考えの先生の話を聞ければ一番いいわけだけど・・・。今の私にはお金もないし、それ以上に時間がない。もう夫も入院になる。家をあけるわけにはいかない。今ある材料でよく考えて自分にとってベストの選択をしなければ。
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