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週末、宗像にある伊豆本店の酒蔵開きに行った。道中、JRでの出来事である。同行の一人が「あ、お財布!」と隣のボックス席に置き忘れられた財布を発見。端ッこに座っていた私は立ち上がって、財布を手に最終車両の駅員さんに届けに行った。
駅員さんは中をあらため始めた。財布の中には、おそらく15〜20枚ほどのお札が!万札かどうかはわからない。だけど、けっこうお金持ちな財布のようだった。
博多駅で乗車して、見つけたのは普通列車の3つ目か4つ目の駅を過ぎた頃だった。
終点・赤間駅に着くちょっと前、駅員さんが「落としもの帳」みたいなのに、住所・氏名・電話番号を書いてもらいに来た。見つけた人に促され、私は自分の名前を書いた。
駅員さんが去った後、同行の2人にお断りし「本来は拾った額の2割までもらえる権利があるけど、お礼は遠慮しよう」ということで同意を得た。そして、下車する際にその旨を駅員さんに伝えた。
伊豆本店では真っ先に、蔵開きのメインの一つである「酒まんじゅう」を買うため、私たち3人は腹をすかせ長い列に並んでいた。すると、財布の持ち主からの電話。「何かお礼をしたいから住所を教えてほしい」と言われた。「お財布がちゃんと戻ってよかったです。私も財布を失くして困ったことがあるから、お礼は気にされなくていいですよ」と電話を切った。一件落着である。
昔の私からは考えられない善行だ。覚えているだけで4回、私は財布を失くしたことがある。高校3年で一人旅をした旅先で買ったお気に入りの財布、社会人一年生の頃に黒木町の電話ボックスに置き忘れた財布、高宮に住んでいた頃に近くのコンビニのコピー機に置き忘れた財布、出張先の静岡で電話ボックスに置き忘れた財布‥‥。哀しいかな、財布が出てきたのは黒木町の一件のみ。
一番青くなったのは静岡で失くした財布だ。出張2日目、その日のうちに宇都宮へ行き、翌日は東京での取材が残っていた。その日の私は、お金持ちのクライアントに救われた。
お財布を届ける行為までは、私にも良識として備わっていた。だけど、お礼拒否は静岡の出来事がなければ、しなかったかも‥‥。つくづく、世の中は順送りなのだと思う。
私のお財布が出てくる確率が低いのは、幼少期に母親がよくお財布やお金を拾う人だったから。母は拾ったものを「ラッキー!」とありがたがる人だった。お財布を落としたときの私は「アホやん」と自分をなじりながら、「お母さんが昔、神さまに助けてもらったお返しをしてる」と思うことにしている。
土曜日の私は、お財布を届けた。お礼もいらないことにした。とても稚拙な考えだけど「これで借りが2つ返せた」と思っていいよね。神さま、ちゃんと帳面に書いといてね。
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