その199 「私は、あなたを待ち続けるでしょう」


「私は、あなたを待ち続けるでしょう」
I'll be waiting for you. ー 映画「ココ・シャネル」のワンシーンで、ココが愛しい人に向けた台詞。

 8月19日はココ・シャネルの誕生日。この映画は、貧しい家に産まれ、少女期を孤児院で過ごしたガブリエル・シャネルが世に名を成すデザイナーに上り詰めていくまでの、切なくも苦しい、悔しい半生が回顧録のように綴られた映画だった。
 ココ・シャネルの女としての時間もまた、愛おしい人を「待つ」の連続、しあわせに永遠はないと思わざるを得ないドラマが展開される。魂を注ぎ込む仕事を見つけた女は、果たして「永遠のしあわせ」に背を向けて生きていくことを、引き受けねばならぬものなのか‥‥
 10代終わりから40代頃のココをイタリア映画界で活躍するバルボラ・ボブローヴァが演じている。「20歳の顔は自然の贈り物。50歳の顔はあなたの功績」とばかりに、お針子から帽子デザイナー、ファッションデザイナーと歩を進めるココ・シャネル。ボルボラの潤いあるやわらかな素肌と、すべり台のようにツンとすました鼻のラインが、未来を手繰り寄せる強気な女の横顔を描き出していた。
 何事にも屈せず上りいくシャネルの姿に、矢沢永吉の若かりし頃を著した「成り上がり」が浮かんでくる。「女は男のためではなく、自分たちのために装うべきよ」の思想が、彼女の根底にあった。それは、守られたいと思いながらも、置き去りにされる不安をかき消すことができない心の闇の裏返し。ココもまた、置いてけぼりにされる哀しさを誰よりも痛感する女だった。

「人間は成功ではなく、失敗を経て強くなるのよ。私もそうだったわ」
「人生は賭けよ」「この世はすべて賭けさ」
「遠く離れていても、いつも君を想っている」
「私は大丈夫、生きていける。だから、あなたは自由よ」
「I will be waiting for you. 」
以上、ココ・シャネルを観ながら書き留めた台詞。

 最愛の人の終焉シーンは、エディット・ピアフの恋人の最后とかさなるものがあった。働く女は、時に、強気を貫き過ぎないほうがいい。眼を大きく見開いて、大切な人の顔を見つめ、涙のひとしずくもこぼすことができたなら、愛しい人の手をつないだまま生きていけるかもしれない。「あなたに男なんていらない」と、そんなことを言わせる女に、なってはいけない。

 


のどか/Nodoka(ペンネーム)

福岡県八女市生まれ、福岡市在住。

小学生の頃より作文を得意とし、中学〜高校ではラブレターの代筆を頼まれることが多かった。好きが高じて「もの書き」となる。「人生は宝さがしだ」をテーマに、enjoyしている。豆・豆料理研究家1年生。

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