その219 米はあるか?


 

 実家のチチの口グセ「米はあるか?」、家に帰る度に訊かれる。クルマで帰っていた頃は、正直に「ある」「ない」と答えていた。バスと電車とバスとタクシーと歩きで帰っていた頃は、なくても「うん、あるよ」と答えた。
 年末に実家に帰ったとき、チチは何も言わなかった。正月が明けて、年始の電話をかけた。そしたらチチは、思い出したように訊いた。
「米はあるか?」
「うん、あと少し」
「少しなら送ろうか?」
「いる。送って」

 それから3日ばかりして、デ〜ンと重たいダンボールが届いた。精米したての米が10kgばかり入っていた。重すぎて泣けた。
 子どもはいくつになっても子どもで、親は子どもがいくつになっても食事の心配をする。娘だろうが、息子だろうが、近くに居ようが、遠くに居ようが、関係ない。親は子どもがいくつになっても、親なんだと思った。

 一度も親になったことがない私には、子どもの気持ちしかわからない。親をありがたいと思う子どもの気持ちを、一生持ち続けていたい。
これからもやっぱり、私は親のスネをかじり続けるだろう。
 「米はあるか?」時々うんざりしかかっていたチチの言葉が、遠くに
来てみて、とてもやさしい響きに聞こえてきた。


のどか/Nodoka(ペンネーム)

福岡県八女市生まれ、福岡市在住。

小学生の頃より作文を得意とし、中学〜高校ではラブレターの代筆を頼まれることが多かった。好きが高じて「もの書き」となる。「人生は宝さがしだ」をテーマに、enjoyしている。豆・豆料理研究家1年生。

豆なブログ→http://mame-mame-labo.cocolog-nifty.com/blog/

*「のどかの間借りコラム」は、毎週火曜日を目標に更新中。

このコラムに関するコメントは、下記『のどかさん』宛までお願いします。

mailto:Yamasaki-clinic@nifty.com