その204 断食の食体験


 

 タイトルだけ読んで、私が断食をしたいと望んでいると思わないでほしい。コトは「成り行き」、別の言い回しにすると幸運な「行きがかりじょう」である。

 福岡県久留米市に愛康内科医院という入院設備の整った病院がある。精進料理の藤井まり先生と、キャンサーヘルプネットの川嶋理恵さんがお訪ねになる傍らにくっ付いて、私も見学隊の一員に。

 藤井先生はまず、リハビリ・ルームのようなところで「金魚運動」を朗らかに体験され、2階の食堂へ。そこでは、一度に20〜30名くらいの昼食の準備が進んでいた。玄米粥、玄米粉、玄米クリーム、人参や大根のすりおろし、具のないお吸い物、山芋のすりおろし、豆腐、すりごま、塩、ハチミツ‥‥
「こんなのばかり食べてたら、確かに痩せるよ」と思う料理が並ぶ。味は美味しいのだろうか? よく噛んだとしても、これならお腹がすきそう‥‥。入院期間が長い方は、1年、2年おられるのかもしれない。

 藤井先生と川嶋さんと私、3人は同じものをそれぞれに口にした。「寒天断食」の半量だという。なかなかどうして、病院でいただく断食のウォーミングアップとなる食事は、最初の何口かだけ楽しい。
 湯に溶かした寒天を中丼に1杯。冷えるに従って、寒天のトロミが現れる。寒天の味がするけど、寒天の味しかしない。添えられたハチミツと塩を舐めながら、勢いで寒天汁を流し込む。。。
 先生は何を召し上がるのも早い。寒天も早かった。何を食べても、私は遅い。病院の食堂で、断食用の食べ物を、まるで合宿のように食べておられる患者さんたちに混ぜていただく。

 朝は青汁を飲み、昼と夜は断食用の食事。アトピー性皮膚炎のひどい患者さんや精神科で薬を多用したような患者さんも、食を見直すことで改善をはかっていかれるそう。「すまし断食」「寒天断食」「りんご断食」の3種類があって、いただいた寒天断食は、腸をきれいにする効果と満腹感が得られるという。う〜、やっと飲み干した。
 食べ物は生命をつなぐ。健康状態を保つため、身体をつくるため、活力源とするため。誰かのためにつくる料理と自分だけが食べる料理は、いつも手間のかけ方が違う。食べることと、つくることと、あらためて考えるきっかけをいただいた。

 


のどか/Nodoka(ペンネーム)

福岡県八女市生まれ、福岡市在住。

小学生の頃より作文を得意とし、中学〜高校ではラブレターの代筆を頼まれることが多かった。好きが高じて「もの書き」となる。「人生は宝さがしだ」をテーマに、enjoyしている。豆・豆料理研究家1年生。

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