その205 おかあさん



 会社を経営しておられる47歳の女性と話しをする機会をいただいた。別事業を営まれるご主人と協力して、2人のお子さんを育てておられる。中学生(?)の男の子と、小学1年生の女の子。
 お嬢ちゃんは、朝おこすときいつも「ママ、おんぶ〜」と言うそうな。「はいはい、トイレ? 顔を洗う?」と、お嬢ちゃんをおぶって朝の始まりに付き合うのだとか。

 昨日、彼女といっしょに歩いた。通りがかりの子ども服の店に入り、ネコがついた長袖Tシャツを1枚、お嬢ちゃん用に購入された。チーズ専門店で「娘が好きだから」とチーズを購入された。
 雰囲気がいい大人がくつろげる店のカウンターで、冷やおろしを飲みながら、娘さんの話し。ほかの話しもいろいろ聞いただけど、娘さんの話しをされるときの彼女の表情がいちばんイキイキしていた。

 親が子どもの話しをされるのを聞くのは、私にとって、これまでとても苦痛なことだった。欲しくても手に入らない、どうがんばっても手が届かないしあわせの姿がそこにあった。いつも、うんざりしながら、話しが終わるまで心の耳が聞こえないふりを装った。
 しかし、なぜだか、彼女から聞く娘さんの話しは心地いい。幼なじみのご主人と結ばれて、息子さん、娘さんが生まれるまでの大変だった話しを聞いたから? 会社経営をしながら、社長業と母親と妻を全力でやっておられる姿に共感するから? お嬢ちゃんから朝顔さんへの手紙が可愛かったから?

 おそらくいま、私の中で何かが変わり始めている。大切なことと追い求めてきたことの価値観が、0.1ミリくらいずつ動いている感じ。1週間で0.1ミリ変わると、2ヶ月半で1ミリ別人になる。1年たったら5ミリほど違う人になる。
 がんじがらめの縛りを解いて、誰も気付かないくらいちょっとずつ、私はいま別人になろうと改心中。笑っていいよ。私も、おかあさんになりたい。

 

 


のどか/Nodoka(ペンネーム)

福岡県八女市生まれ、福岡市在住。

小学生の頃より作文を得意とし、中学〜高校ではラブレターの代筆を頼まれることが多かった。好きが高じて「もの書き」となる。「人生は宝さがしだ」をテーマに、enjoyしている。豆・豆料理研究家1年生。

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