| 西よけ岩・後谷山 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
| (にしよけいわ1074m・うしろたにやま937.6m島根県鹿足郡匹見町・六日市町) | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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島根県匹見町と六日市町境のガクガク尾根上のピークである。 匹見町の三葛集落から西よけ岩付近に這い上がり、後谷山を経て、河津越から地形図に残っている古道をたどって再び三葛に戻るという、周回コース・古道走査への挑戦である。 |
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| 【グレード】「D」…大ヤブコギ! | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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〈ルート〉 島根県鹿足郡匹見町の三葛集落から、「後谷山」の点の記ルートでワサビ田まで整備された道を進む。小屋の所で道が消える。右谷が最短ルートらしいが、我々は間違えて左谷に入り遠回りをした。(どちらも道はないので、どうでもよい?) ガクガク尾根の主稜線は意外に難しいので慎重にたどる。河津越から三葛方面への踏み跡はない。初めは右岸を高巻き、植林地になったら沢に降りると踏み跡がみつかる。 ※参考タイム 三葛→15分→709峠→25分→ワサビ小屋→45分→支尾根→5分→主稜線→30分→ 後谷山→35分→河津越→35分→県道→30分→三葛登山口 ※合計3時間40分 |
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| 河津越から三葛への古道は残っているか? | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
| (平成16年6月19日(土):くもり) | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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今回は、島根県匹見町の三葛集落から「後谷山」(937.6m)の点の記ルートでガクガク尾根に這い上がり、「後谷山」を抜けて河津越まで下り、そこから古道をたどって再び三葛へ戻る…というヤブ漕ぎ必至の古道走査である。 久しぶりに会ったIクマ対策特殊部隊長と今昔物語に花を咲かせているうちに七日市を越えて三葛に着いた。後谷山に向かう谷をめざして畑の横を抜けて行こうとしたら、農作業中のお ばちゃん達と立ち話になった。 「四、五日前、フキを取りに行ったら、ちょっとまえにクマが歩いたばかりだったのよ」 「やっぱり、この辺りはしょっちゅう出るんでしょうね」 「ええ、だから山に入るときは花火を上げてから行くの…貴方達も気をつけなさいよ」 「よ〜わかりました。ありがとうございました」 と話していると、芝刈り?から戻ってきた爺ちゃんに出会った。 |
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| 話をした爺ちゃんとおばちゃんたち | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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「どこに行くんかね?」 「後谷山まで行ってから河津越に降りて、あそこからこっちに降りようと思っていますが…」 「この道を行ったらええ。ワシが草をかっちょるから、峠まで上がったら水平道を行け!あとはワサビ田に小屋があるから、○谷を行きんさい。あとは河津越からの道はあろうかのう…」 「ありがとうございます。お邪魔します」 と礼を言って別れる。 振り返ってみると、のどかな三葛集落が拡がっていた。 「いいところですね…」 |
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| 伐採地の水平道…きれいに整備されていた | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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葛折の急登に汗をかくと15分で峠に出た。おばちゃん達が言っていたクマの出没場所である。 「ホントにこんなところに峠があるんですね」 「それにしても眺めがいいな」 「それにしてもこの道はすごい。あのじいさんが一人で整備しているのかな。ワサビ田までトップカーで行き来しているのかなぁ?」 と言いながら水平道を歩く。道端にはあちこちにピンクのササユリがある。 この一帯は、伐採・植林したものの雑木がはびこったまま手がつけられないという感じだった。 「あのじいちゃん一人で維持してるのか…」 |
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| 見事なワサビ田 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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谷に入る地点で伐採地から広葉樹林に変わると、ぐっと山らしくなってきた。道は依然として手入れが施され快適に歩くことができる。 やがてワサビ田に着いた。見事なまでに手入れがされている。 「やっぱり運搬用に整備された道だったんだ」 「それにしても、これほど立派なワサビ田があるとは思わなかったなぁ。大抵は崩壊した石組みの跡を歩くだけだけど」 木橋の上では一匹の大きなヒキガエルが休んでいたが、ボク達の鈴音や足音に驚いて清流の中に逃げてしまった。 |
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| じいちゃんの小屋。道はここで消えた。 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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奥へ進むと小さな小屋があった。 「なるほど…じいちゃんが言っていたのはこの小屋のことだったんだな」 「道はここまでか…じいちゃんは出合はどっちかに行け…と言ってたけどどっちだったかな?」 と言いながら地図を取り出したが、地図の出合地 点を間違えて、歩きやすそうな左沢に入ってしまった。右沢が最短ルートだったのだが、ボク達は地図を読み違えたまま、 「さすがのじいちゃんもここまでは手入れができないみたいだな」 と言いながら左のゴーロ沢に入ったのである。 |
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| 苔むしたゴーロ沢が続いた | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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ワサビ田はなくなったが、沢全体が苔むしたゴ ーロ石に埋め尽くされている。ゴロゴロするし、滑りやすいのでとても歩きにくい。 「ワサビ田は、こんなゴーロ沢の石を積み上げて作るのかなぁ。きっと大変な作業だろうな」 沢を詰めていくと、沢は崩落気味になってきた ので支尾根に取り付くことにした。猛烈な勾配で草付や灌木をつかんで体を引き上げるのだが、これが半端ではなかった。 太い枯れ木をつかんで体を引き上げた途端、 「バキッ!」という音がして、折れた根元に右胸から覆い被さり、その瞬間、息ができなくなった。 |
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| やっとガクガク尾根に辿りついたと思ったら… | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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右手に残った枯れ木の折れ口が尖っていたので、そっと右胸をさぐってみる。痛みはないし血も出ていないようなので、どうやら打ち身で済んだようだ。それにしても折れ口が随分尖っていたので 、薄着だったら折れ口が胸に突き刺さっていたかもしれない。(後日、第5肋骨の骨折が判明) やがて稜線が見えてきたが、いくら頑張ってもなかなか近づいてこない。木にしがみついては息を整え、次のピッチを刻む。 出合の小屋を出発してから、ようやく主稜線に這い上がったが、ヘロヘロになった二人はそのまま座り込み、しばらくは動くことができなかった。 |
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| まさか『西のよけ岩』に出会うとは… | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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2〜3分後、ようやく話ができるようになった。 「すごかったね!参った!」 「西のよけ岩まで行くのはやめましょう」 と言って、すぐそこにあるはずの後谷山をめざしたが、そこには三角点はなく、新たな尾根に合流し、あげくの果てには大きく右に振っている。 「ありゃ?これはおかしいぞ!」 二人で現在位置の同定作業を行った結果、ワサビ小屋の左谷で間違えており、這い上がったのは主稜線ではなくて支尾根であったこと。そして、ここは西のよけ岩のすぐ西の地点であることが判明したのであった。 |
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| よだれが垂れそうな見事なササヤブである | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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「せっかくですから西のよけ岩の写真を撮っておきましょう」と、自分たちのチョンボを反省しながらすぐ目の前にある西のよけ岩まで行く。 木がかなり生えているので、岩場が見えにくいが、実物はなかなかの偉容である。 引き返して後谷山をめざす。ササ原と広葉樹の森が実に美しい。ササの密度は薄いし、背丈も低いので快適そのものである。 「これだけで今日の苦労は吹っ飛びますね」 「このササですね!これだから止められない」 ササ原の中を二人が腰から上を出してゆさゆさと歩く。ホントに幸せである。 |
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| 後谷山(937.6m)にあった分水嶺の標識 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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ガクガク尾根の中でもこの辺りが最も広葉樹の森や自然が残っており、適度なササ原と樹林のバランスが非常によい。寂地山から右谷山にかけての稜線歩きとは少し違った趣がある。 そうこうするうちに稜線上の一角に後谷山の三角点を見つけた。傍の木には、日本分水嶺の標識が架けてあった。 『山と○谷』で読んだ気がするが、何かの統一行動なのだろうか? ガツガツと昼飯を済ませると、再びリュックを背負って、いよいよ河津越をめざして出発である。 |
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| ササ原の鞍部から小五郎山を臨む | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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ガクガク尾根の稜線は、後谷山を過ぎたあたりから急にササヤブが濃くなり、背丈もどんどん高くなっていく。 尾根筋も細かく向きを変えるので、周囲を観察しながら地図を確認し、テープや踏み跡を探して歩く必要がある。これが意外と難しいのだ。 ササヤブがますます深くなってくると、河津越が近くなるが、それを阻むように背丈を超えるササヤブが覆い被さってくる。 途中、ときどき展望が開けると、小五郎山が双耳峰のような姿を現す。これ幸いと、小休止をとっては体力の回復を待つ。 |
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| やっと河津越までやってきた | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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後谷山から河津越までは意外に距離があり、35分かかった。下りなのでかなりペースがあがる はずだが、この間のササヤブはすごい。 懐かしの河津越に着いた。ここから河津に下ったことはあるが、そのとき三葛方面は確認していない。今回、改めて観察したが、踏み跡は全くなくて、古いテープが僅かに確認できただけ…そして 、ここにも分水嶺の標識が架けてあった。 「これは…踏み跡は全くなし!ですなぁ…」 と、目の前のササを眺める。 「まあ、とにかくこれを下れば三葛ですから…」 と言いながら目の前のササヤブに飛び込んだ。 |
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| 道はどこにあるの? | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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ササヤブはすぐに終わり、猛烈に崩落している沢に降り立った。当然ながら踏み跡はない。 沢をそのまま下ろうとしたが、小さな滝があるし、沢には下草が茂っているので滑落したら大変なことになる。 「しばらく高巻きをしながら様子を見よう」 と声をかけ合って右岸に這い上がる。沢は鋭く切れ落ちているので滑落しないよう慎重に高巻く。 急勾配の草付の斜面をトラバースしていると、下草が生い茂った植林地に入った。作業道を探すが見つからない。とうとう、 「まいったな!まいりました」と音を上げる。 |
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この谷を下りさえすれば県道に出られるはずだが、沢から随分高く上がってしまっているし、このヤブでは山道を探すどころではない。 猛烈に荒れた植林地の中で、 「そろそろ下に降りてみますか?」 「うまくいけば沢沿いに道があるかも!」 と声をかけて、ぐちゃぐちゃのイバラのヤブをくぐり落ちるように沢まで下った。 こうなったら、ヘビやクマがいようがいまいがお構いなしである。滑落しないことだけに全神経を使いながら、ドロドロになって沢に降り立った。 「おっ?これは踏み跡かも!」 |
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| これは道かも? | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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右岸になんとなく道らしきものが見えた。草が生えているが、踏み跡のような雰囲気だ。 「たぶんこれは道じゃあないですか?」 「言われてみるとそんな風にも見えるが…」 小滝の横にも踏み跡らしきものがあり、暫くするとその踏み跡は明瞭になってきた。 「間違いないですね。右岸に古道あり!です」 「ひょっとしたら河津越から沢沿いに続いていたのかもしれませんが、あそこであれだけ沢が荒れていたらとうてい維持できませんね」 と話しながら踏み跡を下っていると、地図どおりの地点で車道に合流した。 |
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今回は、匹見町の三葛からガクガク尾根を経由して、後谷山から河津越に至り、そこから地形図に残されている古道をたどってみようという思いつきであった。 地図の読み違えがあって波瀾万丈の突撃になってしまったが、やはりこの一帯の山は素晴らしい。地形図に残されている河津越から三葛までの古道は、その半分近くが消失していたが 、それでも下流付近の沢沿いに残る踏み跡は、昔人の苦労や歴史を偲ばせてくれた。 また、三葛のじいちゃんやおばちゃんたちが実に印象的であった。どうやら、今回の山行でますます匹見ファンになってしまったようである。 |
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