Trente - six

 ほんの30分前まで、豪雨が窓を叩き付けていました。今は、痛い程の午後の黄色い光が部屋の中に差し込んでいます。秋ですねぇ。


 なんて、暢気な書き出しですが、とうとうライヴが明後日と近づいてきています。15日、水曜日、午後6時半からです。皆様、お誘い合わせの上、是非、新宿は初台、東京オペラシティアートギャラリーまで、足をお運び下さい。

 今回の告知に入れる力は、これまでの3倍は入ってると思います。初都内とはいえ、平日ですし、なによりオペラシティ側から、人を呼ぶようにもの凄くお願いされてしまったんです。しかも、妙に期待されつつ……。あまりに過剰としか思えない期待を掛けられても、困ってしまうんですが……。あれと同じ台詞を、他の人達に言っていないか不安です。



 本当は、もっとマメに更新したかったのですが(母屋の方に、菊地さんの新著についても載せたかった)、ペンギン製作が思ったよりも大変で、全然手が回りませんでした。今回のこの着ぐるみ制作で、私は裁縫が苦手だと言うことを、痛感致しました。縫ってる時間の1/3はほどいていたような気がします(苦笑)。ペンギンを作ること自体は、エキサイティングな事だったんですけど……、はぁ、辛かった。ここ1ヶ月くらい丸々辛かった……。

 何が辛いって、布を切ると言うことが辛いのです。音がね、恐いでしょ。ジャキンジャキンって、冷たい音がするじゃないですか。次に嫌なことは、硬い布に一生懸命針を刺すと、指を差しちゃう所(右手の親指は今、穴だらけです)。それから、チャコペンが書きづらくて、グリグリ書いてるのに、触ってるうちに下書きがすぐに消えちゃう所。

 ペンギン一色の数日の真ん中。現在、BIG ARTで開催中のTRA展会場で、搬入後、パルコ木下さんが作品に手を加えながら、こんな事を言ってました。「これは、アートなんだ! アートだから、嫌なことはやらなくていいんだ!」やっぱり、アートは凄いなぁと思わされた一言でした。

 そんな辛い作業も(後半1ヶ月辛かっただけで、前半の1ヶ月は楽しかったですよ。紙で型紙をおこす所なんかは)、取り敢えず昨日終了致しました。全く持って歩きにくそうなのです。踊れるのかしら(私のペンギンが踊る姿を見るのも本番が初めてなので、終わった後、VTRを観るのが楽しみ♪ あ、つまり、お客様よりも後に鑑賞することになるんですね)。数日前、メチャクチャな顔路をしている私を見て、当日のVカメラマンのアーリーに、「そんな顔して……、(VTRの画角)寄りますからね!」と、言われてしまいました。ううー。Vも恐いが、スチールも恐い。2日で何とかなるんでしょうか? たぶん、そんなに変わらないと思うんですが……、あがいてみます。




 大変遅くなりましたが、9月26日に汐留の八重洲ブックセンターで行われた菊地さんの「スペインの宇宙食」出版記念イヴェントの事について書きたいと思います。


 事前に会場である八重洲ブックセンターの1階を見ていたのですが、まるっきりのフラットスペースだったので、「これは、早く行って並ばないと、ライヴ・パフォーマンスが堪能出来ないー」と思い、色々なものを放り投げて出掛けました。店の前には、“整理券あり”と“整理券なし”のプラカードを頭上に上げたままの店員が二人、腕の筋持久力を誇示して立っていて、その前に2つの列が出来ていました。20分ほどすると、松村君が四国在住でたまたま東京に来ていた元同僚という人と一緒に現れたので合流し、開場を待ちました。扉が開き、客が開場になだれ込み一段落すると、小学館担当編集者でトークショーの司会である村井康司さんが、「後ろの人の為に前の人は座りましょう」と言い、前の人だったので床に座ることになりました。私は、別珍でスリットの入ったワンピースを着て行ったので、ハッキリ言ってちょっと困りました。確かに、これは予測可能な出来事でしたが……。

 トークショーは、予定時間よりも5分程押して始まりました。菊地さんは、黒地に四角の模様がパラパラと入ったシャツを着て、ボタンを3つくらい開けていました。お二人が椅子に腰掛け、通り一遍の挨拶をし、「『悪趣味百科』って本当にあるんですね」などと言う切り出して、本の内容に触れました。「僕の本で、一番大変だったのは、校正の人だと思いますよ。本当と嘘が、半分ずつ書かれているっていうのは、一番他人を苦しめるんです」と。一つの話題が終わるたびに、菊地さんは時計を見て、「早くライヴタイムにならないか!」と、叫んでいました。トークショーの後半で、ハウリングがしたと思ったら、急にマイクが使えなくなり、「もう、今日はここで終わり! ライヴも無しだ!」というハプニングが起きた時も、そんな状態の菊地さんを見るのも、レアな感じで良かったんですが、何だったら、曲の合間合間に村井さんに入ってきて貰って、インタヴューをしてもらったら、良かったんじゃないかしらと思いました。……あ、でも、今回のライヴは、リップシンク(口パク)でした。

 最後に、観客からの質問タイムがありました。一番盛り上がったのは、格闘技の話で、私はプロレスを子供の頃(しかも77〜80年の間のみ。引越しで友達が変わった為)しか見なかったので、固有名詞、固有団体名詞が全く分かりませんでした。隣にいた、格闘技が好きで、最近ブラジリアン柔術を始めた松村君は、楽しそうに良いタイミングで笑っていました。ちょっと、羨ましかったです。


 ライヴタイム。隣のビルで、ヘア&メイクをして貰って、コテコテの山盛りにウィッグを乗せられた瞳ちゃんが、レースとギャザーの沢山付いたベビーピンクのミニのドレスに、羽のショールを掛けて登場しました。髪を短く切って、“お姉さん”になったと菊地さんが日記に書かれていたので、それを見るのが楽しみだったので、ちょっと残念でした(でも、後日DCPRGのライヴ会場で見られました)。

 演奏した(というか流した)曲は6曲で、それらは全て、12/3発売予定のアルバム『ヴァンドーム・ラ・シック・カイセキ』の曲でした。うろ覚えなので、間違ってるかも知れません(間違いに気付いた時点で、気が向いたら訂正します)。

 1曲目は「フェーム/fame」というちょっと可愛い感じの曲で、1本のマイクで2人が歌うというパフォーマンス。その姿がちょっと滑稽な感じで大爆笑でした(でも画的にうちらは無理でしょう)。2曲目は「シック/Chic」という曲。サビだったか、8小節ごとに「シック」と言う所が特に好きでした。3曲目は、「ヴァンドーム・ラ・シック・カイセキ/vendome ,la sick kaiseki」で、テキストリーディングみたいな部分が、辛辣で悲し楽しい感じ。サビも何処かで聴いたことがある感じで、全体的に懐かしい雰囲気でした。その次は、「資本主義は未だ有効である/Le capitalisme est encore valable」。これは、仏語ナレーションをカヒミ・カリイさんが担当されていました。この曲は、あまり強い印象は無かったです。ただ、もう音が大きかった(苦笑)という印象で(確かに、ライヴ前に菊地さんが「デカイ音でやるから!」と、仰ってましたが)、歌詞も良く聴き取れませんでした。で、5曲目の「フィジカル/physical」。コレは有名な曲だったので、良く聴き取れました(聞き取りの問題じゃないか……)。そして、一番盛り上がってました。菊地さんのヤケクソ気味なダンスも冴えてました。次に挟まれたMCでは、相変わらず、テンションの差が違いすぎる二人が浮き彫りになっていて面白かったです。菊地さんはいつにも増して話題を次から次に変え、瞳ちゃんはそれについて行く気が全くないという感じで……。そして、最後の曲、「エレガンスの怪物/un monstre elegant」……。あれ、全然覚えていません。瞳ちゃんの発音、結構良かったなーというくらいで……。

 ライヴが終わると、瞳ちゃんはさっさと隣のビルへと帰ってしまいました(もっとよく見たかったのになぁ)。そしてサイン会に。私の番(29番)になって、宛名の紙を受け取った菊地さんが、「これは、「ヤスノ」さんと読めば良いんですか?」と聞くので、「はい、そうです」と返事をすると、「あ、なんだ、康乃さんだ。痩せたねぇ」と。実際に前回のサイン会の時から、私は約4kg痩せたんですよ。前の状態を覚えていてくれたんだーと、心の中で狂喜乱舞してしまいました。嬉しいなぁ。

 今回のライヴの招待券をお渡ししました。絶対に来ないと分かっていますが、「渡す=真剣にやります」という意味で。松村君は、「チケット渡すのは良いですけど、万が一菊地さんが来たら、私は泣きながら帰りますからね!」ですって。でもまぁ、ぶっちゃけ、私だって来られたら困ります(苦笑)。その……裏腹な気持ちと言いますか……。今回、ペンギンを作りながら、何だかずーっと考えてしまいました。私達のコンセプトの主軸にあると言っていい、LOVE & HATEが解け合う程に混在する、そこに進んで自分を置こうとする自分って何なんでしょう。何なんでしょうね。不思議不思議。



 出版記念イヴェントに行った何人かの方から、「セカンドアルバムのコピー、楽しみです」なんてメールをいただいたのですが……。何も分かっていない私が言うのも何ですが、どうなんでしょう、あれ、出来るんでしょうか? 私はいつも「コレやれたら面白くない?」って四方八方に矢継ぎ早に言っていて、実際100個中の1〜2個しか実現しないので(それで良いと思っていますが)、やれたらいいなぁとは思います。どれかは。……というか、ジュモー・オプセーヌとして、後3回はライヴしたいですね。ペンギン作りましたし。

 あー、本当にあのペンギンが踊るのかと思うと、本当に本当に楽しみ! 顔がね、本当に恐いんですよ。一番最後に目を入れたんですが、目って本当に顔の印象の8割を決めてしまいますね。たぶん、子供達に握手を求められるような事はないと思います。だけど、中に入っているのは、ファニーフェイスでいつも笑顔のコウノさんなんです。あはは。個人的にそのギャップが面白いです。後、足が全然開かない所が見所です(笑)。

2003年10月13日



  


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