肥料のお話

 昔から肥料の三要素として、窒素(葉肥)、燐酸(実肥)、カリ(根肥)といわれてきました。

一般的には、化成肥料を初めとする、化学肥料や、油かす、鶏糞、牛糞、米ぬか、骨粉、魚糞

などの有機ひりょうがつかわれてきました。

 私の農園では、無農薬・有機栽培と言っていますが、各種の有機肥料を生では使用せず、

全て、有機堆肥の中で醗酵させて使っています。また、化学肥料の中でも、過リン酸石灰を

多用しており、農水省が定めたJAS規格の有機農産物には入りません

農水省の定めたガイドラインの概略はつぎの通りです。

表示区分 栽培期間 天然系農薬 化学農薬 化学肥料
JAS規格 有機農産物 3年以上 × ×
特別栽培農産物
ガイドライン
減農薬栽培農産物 栽培期間中
無農薬栽培農産物 × ×
無化学肥料栽培農産物 ×
減化学肥料栽培農産物

△は通常使用されている量の5割以下

 このご時世ですから、インターネットで無農薬・有機栽培を検索すると通信販売のHPが

ドンと飛び込んできます。それでは、有機肥料なら何でも良くて、化学肥料は全て悪いので

しょうか?

 数年前までは、燐酸肥料として高価な骨粉を有機肥料の素材の一つとして多用してきました。

メロンやトマトの糖度を出すには、骨粉が最高でした。しかし、今はBSE問題で肥料店では

販売を停止しています。家畜の糞は安価で良いですが、その飼料の原料は輸入品なので

今回のような狂牛病問題になれば、その心配はl化学肥料どころではなくなります。

米ぬかやモミガラ、稲ワラなども有機堆肥の資材として重宝していますが、米の生産段階で

農薬 や除草剤が使われています。
有機栽培だから絶対大丈夫というものでもなさそうです。

 一方、化学肥料の中にも昔からの優秀な肥料があります。特に、過燐酸石灰は酸性の

燐酸肥料で水溶性、速効性の優秀な肥料です。水溶性燐酸17%、硫酸カルシュウム60%

を含みますので、石灰欠乏症の対策としても消石灰よりはおすすめです。酸性ですが土中で

中性になるので土壌の酸性化の心配もありません。また、単肥ですので肥切れが良く、タマ

ネギ
の栽培にはうってつけの肥料です。窒素肥料の硫安も単肥で肥切れが良く追肥には

便利な肥料です。

その他、化成肥料は勿論使用していませんが、消石灰も現在では全く使わなくなりました。

ほうれん草やレタス、豆類の栽培で必要な時はアルカリ30〜40%程度の貝化石や有機石灰


を使っています。有機石灰もなかなか減らないと思うほど。自然に使わなくなりました

硫酸カルシュウム60%の過燐酸石灰を多用していますので、いつの間にか使わなくなった

のでしょう。油かすや、鶏糞、牛糞なども生の状態では、割り肥以外では使用せず、有機堆肥

の材料の一つとして、醗酵させてから施用しています。

 有機肥料の中でも、骨粉のように問題になりうる心配な部分もあれば、化学肥料の中にも

過燐酸石灰のように優秀な肥料があります。ですから、ガイドラインのように化学肥料と有機

肥料を分けて考えるより、双方の良い所を利用すべきです。有機肥料を基本にして要所で

過燐酸石灰などの安全で優秀な化学肥料を使用するのが私のスタイルです。

窒素は多すぎないように、いつも気をつけています。窒素は、幼苗

の時の成長には欠かす事が出来ない肥料ですが、生育を乱す肥料

でもあります。窒素が硝酸という形で土中に溢れている肥満畑では

なくいくらか少ないかな、というくらいに心がけています。

全ての栽培に共通しているのは、植え付けの数ヶ月前に、幅、深さ約30〜40cmの溝を掘り

枯葉やモミガラなどで作った有機堆肥と過燐酸石灰や鶏糞、米ぬかなどを割り肥として投入し

この溝を中心にして畝を作ります。鶏糞や米ぬかの所に根が到達する頃には、これらはすでに

醗酵していて、障害にはなりません。これは栽培する野菜の成長をまかなえる肥料であると

同時に将来の土壌作りも見据えた栽培方法です。

燐酸

出来ればどんな野菜でも燐酸優先で育てたいのですが、この燐酸は

大変効かせ難い肥料です。野菜の根の先端部分に燐酸を持ってこな

いと燐酸は吸収されません。そのために水溶性の過燐酸石灰を有機

堆肥に混ぜて施行しています。化学肥料ではありますが、単肥で

肥切れが良くて、水溶性、即効性で私の要望にピッタリの肥料です。

カリと石灰

 カリ肥料については、特に気にした事はありません。鶏糞や米糠、牛糞、油かすの中にもカリ分が

あるので、硫酸カリなどの単肥を施行した事はありません。もっとも、草木灰、クン炭、消し炭などを

有機堆肥の材料として使用していますので、これで十分なのでしょう。カリはナトリウムと同じ性質

なので、血圧の高い人には具合が悪いとか、土中の肥料濃度を上げるなどのイメージが強くて

塩化カリや硫化カリなどは使用しづらいです


 消石灰は、以前は畑が一面真っ白になるほで使っていました。今は冬のハクサイやキャベツの

中にミミズが侵入するのを防ぐのに用いるくらいです。アルカリ度の低い有機石灰は、作物によって

は多少使用しています。過燐酸石灰には石こうが60%も含まれているので、多分これで十分なの

だろうと思っています。

肥料名 チッソ リン酸 カリ 効く速さ 使用例
過燐酸石灰 17 - 速効性 元肥、追肥に使う。有機堆肥に混ぜて使用。
水溶性、速効性だが肥効期間は短い。20Kで1000円以下で入手できる
尿素 46 - - 速効性 300倍に薄めて葉面散布する。クン炭の作成最終段階で
水にうすめて、火を消すのに使っている。あまり使用してい
ない。
硫酸カリ - - 48 速効性 塩化カリより肥料濃度を上げないが、カリ肥料は使った事
はない。カリ分は、モミガラクン炭や草木灰、消し炭などで
補給している。
化成肥料 やや速効 有機肥料を使用している中で、効き肥として混ぜる程度は
良いと思うが、化成肥料に頼ってしまうので、一切使用していない。
有機堆肥 遅効性 土壌改良もにらむ。各養分は不明なるも、リン酸を多い目に配合している。
油かす 5 2.5 1.0 遅効性 有機堆肥の窒素分の補給材料として用いる。単体ではあまり使用しない。
米ぬか 2 4 1 遅効性 有機堆肥の醗酵資材。リン酸分が多く肥料としても使いやすい
畑に播いておくと雑草の抑制効果がある。使わなければ損な肥料である
鶏糞 2 4 1 遅効性 リン酸分が多い肥料。有機堆肥の醗酵促進剤としても有用。臭いはくさいが、非常に安価で、遅効性であるので
割り肥等にも使用している
牛糞 1.5 1 遅効性1 有機堆肥の材料として用いるが、肥料というより、土壌改良剤である。リン酸分も糖分も少ないので、鶏糞、リン酸分も糖分も少ないので、鶏糞、分も糖分も少ないので、鶏糞、米ぬかと併用して用いている。
骨粉 3 25 - 遅効性 以前は、最高のリン酸有機肥料として、進められていたが
近年になって、BSE問題で、発売は自粛している店が多い。
草木灰 - 2 5 速効性 カリ肥料は、草木灰、クン炭などでおぎなっている。