クープの入れ方
バゲットやバタールなどのフランスパンを焼く場合に、クラストに数本の切込みを
入れますが、これをクープを入れるといいます。クープはパンに模様や飾りを
入れるだけでなく、フランスパンを膨らませて、クラムの水分を蒸発させて
フランスパン独特の軽いシットリした風味に仕上げてくれます。
クープとクープの間のクラストの部分を『帯』と言い、クープの茶色に焦げて
いるエッジを『耳』と言います。
フランスパン専門店のような、本格的な設備のもとでは、クープの入れ方は
さほどパンの出来具合には影響しないかもしれませんが、私たちのような家庭用
の小さなオーブンでフランスパンに挑戦する場合は、クープの入れ具合が大きく
フランスパンの品質に直接影響してきます。残念ながらクープの具体的な入れ方
について詳しく説明してある書物は少なく、ジャムおばさんも試行錯誤の
繰り返しで、失敗を重ねながら、現在のやり方に落ち着いています。
現在のジャムおばさんのクープ
@ 中心線に非常に鋭角に交わるように、ほとんど中心線に
沿うように縦にクープを入れます。
A 二本目のクープは一本目の三分の一の所から出発
させます。三本目も。同様に二本目の三分の一の所
から出発させます。
B 三本のクープとも、中心線で交わる所は、その長さの
中点とします。
C 三本のクープは平行であるように意識して切り込みます。
D 切り込む角度は、底辺に垂直な場合を直角として、ほぼ
60度前後を意識します。
以前のジャムおばさんのクープ
@ 写真は少し極端ですが中心線にやや鈍角に交わるように、
クープを入れていました。このやり方ですとクープは入れ
安いですが、各クープの間隔が広すぎること、クープ全体の
面積が上の場合と比べ少ない事、クープ間の帯が広過ぎる
ことなどで、クラムの水分は上の場合と比べて飛び難く
やや重いフランスパンになりやすいです。
クープ雑学
@ クープは生地に切り込みを入れて、高温で焼成するので上下左右から生地が
ひっぱられるはずです。従ってクープの入れ方次第で焼き上がりが変化する訳です。
本来は、チーズクッペの時のように中央に一本のクープを入れれば、生地の変化は
偏らず良いのですが、それでは中の水分の飛びが悪く、重いパンになってしまいます。
そのため、バタールなどの場合は、3本のクープを入れるのですが、この場合にも
焼成時の生地の変化が、偏らず平均して焼き広がるようにしなければなりません。
上の現在の私のクープでも、各クープの中点が中心線と一致するようにしているのも
焼成によるクープの変化を平均化するためです。また、クラムの水分を十分に蒸発
させて、軽いフランスパンにするためには、パンの全体の面積に対するクープ全体の
面積の割合を少しでも多くする手法が必要です。中心線に非常な鋭角で交わらせる
クープの入れ方もこのための手法です
A クープの角度は、垂直切り(ブールの場合)を直角とすれば、私のクープは45度
くらいでしょうか。それ以上浅い角度(わき腹切り)でクープを入れますと、どうしても生地が
ねじれて右側の焼きが甘くなります。また、生地の力が強すぎる場合、各クープの間隔が
狭いと帯が切れやすくなりますので、こんな時はクープの間隔を広くするようにしています。
B クープナイフは、刃が薄く、生地が良く切れるものが必要です。通常は両刃の
剃刃タイプのものが便利です。両刃ですので四角の刃が順番に使えます。
切れ難い時は水をつけてクープを入れます。途中で生地が引っかかったり、
切り残しがあると、焼き具合に直接影響します。
C クープを入れる時は、躊躇せずに一気にスパッと入れます。チビチビ何回も入れると
かえって上手く切れません 。ただ、ブールなどの場合はクープが交差しますので途中で
引っ掛ってしまいますので、この時は一気には切れません
。





写真左は、中央線に鈍角にクープを入れたものです。
以前の私もクープで各クープの間隔が非常に広いのが
特色です。クープは入れやすいですね。
少し見難いですが、現在の私のクープです。
クープの間隔が狭く、上のクープよりかなり長いのが特徴です。
クープは上記のやり方よりは、入れにくいです。
写真はいずれも蒸気なしのガスオーブンのフランスパンです。
写真向かって右は、中心線に鈍角に入れた昔のクープのものです。
中央のクープの帯が太く、全体にくびれてやや変形しています。
大きさも少し膨らみ不足気味ですね。
写真向かって左は、現在の私のクープです。中心線にほとんど
沿うように鋭角に切ったものです。蒸気がないのでクープの耳の
窯伸びは今ひとつですが、バランスよく大きく膨らんでいます。



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