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それは1968年、レバノンにあるキリスト教イエズス会系ノートルダム校でのことだった。私は当時14歳でフランスでの高等教育に備えて勉強していたが、慎み深いが大変に才能のあるカリスマ的な先生、ラグロポール神父の教えを受けることとなった。神父はフランス人で当時60歳くらい生涯を海外での教育にささげた。ラグロポール神父はフランス文学の先生だったが、常に言葉の背後にある詩情、優雅さを浮かび上がらせた。私たちにエレガントかつインパクトを与える言葉の表現力の重要性を植え付けた。また、アマチュアは物事を複雑にするだけであるが、プロフェッショナルこそが物事を明快に、シンプルにすることを示してくれた。 しかし神父から学んだ中で最も力強い教えは、「信頼は人生の最も重要な目標である」との信念だ。まず人の話をよく聞き、それから考えること。自分の考えをできる限り透明性の高い表現で表すこと。シンプルにすること。 言った通りに行動すること。 この信念に我々は深い感銘を受けた。ラグロポール神父自身がその通りに生きている人だった。 神父が自分にいかに多大な影響を与えたかを知ったのはその約30年後、私が日本に来てからである。ラグロボール神父は15年前にお亡くなりになった。いつでもそうであったように、つつましい生活のうちに迎えた最期だった。しかし神父は私の心の中には生き続けている。ラグロポール神父、そして彼のように生徒に対して深遠で建設的な、生涯にわたる影響を与えられる世界中の先生たちに神の祝福がありますように。
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