楽しい卒業文集ができました!
HTML形式によるバリアフリー卒業文集作成の試みから
都立八王子盲学校高等部普通科
三崎吉剛
(この原稿は6月頃出版予定の視覚障害情報機器アクセスサポート協会(アイダス)発行の「アクセス 20号」に掲載予定の原稿です。アイダスの許諾の元に出版前に転載しています。)
今年の3月、八王子盲学校高等部普通科3年B組では、CDROMにHTML形式のデータを入れてバリアフリーを目指した文集をつくろうと試みました。
中身は以下の生徒の感想文にあるようにWAVEで取り込んだ声のメッセージ、jpegの思い出の写真画像や似顔絵、そして生徒や先生の文章などです。
次の感想文をご覧下さい。
最後の文集作り
佐藤瑠里子
卒業文集をCDROMで作ったのはもちろん初めてです。今までの原始的な(手書
きの原稿をそのままコピーしてまとめる)やり方に慣れすぎていたのでそんなこ
とが本当にできるのかなぁ?と一瞬疑ってしまいました。
今までに撮った運動会や関盲連、国体などの写真やそれらをイメージして書いた
グラフィック、先生方から生徒へ贈る、涙なしでは聞くことができない声のメッ
セージや作文、さらに「3Bの迷言」というおまけまで入れ、楽しいものができ
てよかったです。
今までの文集作りより、今度の方がみんなの力が一つになった感じがして嬉しか
ったです。
「やっぱ今の時代はこうでなくっちゃっ!」
文集作りの作業過程が楽しかったようですね。
このクラスは7人の生徒がいて、全盲が4人弱視が3人です。弱視の生徒3人は、先生たちの所へいってテープレコーダーでメッセージをとってきていました。挿し絵などもかいてくれました。また、先生の書いた手書きの文章をテキストに入力してくれました。
全盲の生徒のなかには95リーダー+ワードパッドでHTMLをかいてくれた生徒もいます。弱視の生徒が読み上げる原稿を得意のキーボードでテキストにしてくれた生徒もいました。
写真はスキャナで取り込みました。この作業は私がしました。
テープにとった声をWAVEファイルにするのはパソコンのマイクからサウンドレコーダーでいれたのです。これも私がしました。
使った機材は以下のようなものです。その他に文章入力にOKIのDOS/V機も使用しました。
・パソコン PC9821V200 ・スキャナ EPSON GT9500
・CDR IODATA CDR-VX24 ・MO IODATA MOF-640
HTMLをかいた生徒は、飽きてくると弱視の生徒に画面を読んでもらって「特打」をやっていました。ワープロ検定で3級とでていました。すごい!
次はその生徒の感想文です。
「バリアフリー文集」を作って
檜山 晃
私は、つい3週間前までHTMLについてなにも知りませんでした。でも、CDROM
で文集とアルバムをつくろうという計画が実行に移ったので、HTMLを勉強す
ることになりました。ところが、HTMLについての点字の書物がなかったので、
先生にインターネットから入門書のようなものを探してもらいました。その入門
書を読んだり、先生にきていたHTML版のエッセーを参考までに見せてもらっ
たりしてHTMLの勉強をしました。私は、MS-DOSでバッチファイルをよく作
るので、すぐにHTMLがどういう仕組みになっているかを理解することができ
ました。
文集を作る中で大変だったところは、写真のページを作るところでした。200
枚ぐらいある写真を行事ごとに分けてメニューを作り、そのメニューから1枚1
枚にリンクを張る事でした。この作業は、単純なのでDOS上でのSEDやAWK
を使えばすぐにできたかもしれないけどそれらを詳しく知らなかったので、1枚
1枚手作業でやりました。合成音声を聞きながら2時間も3時間もつづけて作業
すると、疲れと飽きが原因で効率が悪くなることもありました。
今回の文集づくりでHTMLを勉強できてよかったと思います。今度は、ホーム
ページづくりをやってみたいと思っています。
文中のHTML版のエッセーとは視覚障害リハのメーリングリスト(jarvi)の方が参考にと送ってくれたものです。
作業は卒業式の2週間前の在校生の期末考査期間中の1週間を特別に卒業指導の時間にもらい行いました。(八王子盲高等部ではいままで卒業指導のホームルーム期間などは特に設定していませんでした。)
私が入れた写真データ、生徒が入れた文章データ、それに音声のデータを取り込んだものが週末にはほぼそろいました。しっかりとMOにバックアップしました。土日に有志の生徒と作業をつづけました。リンクを張るところは私がやろうと当初は考えていましたが、生徒が大半を作ってくれました。最後の画面の仕上はフロントページエキスプレスを使って私がやりました。
できあがったCDの中身は50メガくらいになったと思います。
全盲の生徒は皆パソコンを持っています。HTMLを音声で読めるホームページリーダーを持っているのは卒業時で一人でした。
全盲生たちはホームページリーダーの操作を互いに教えあったり、マイワードしか習っていない生徒に95リーダーの操作を教えあったりしていました。パソコンは弱視の一人の生徒以外全員持っていますので、あとは全盲の生徒はホームページリーダなどを用意すれば家で見ることができます。持っていない一人の弱視の生徒も近いうちにパソコンを購入するとのことでした。
さて、生徒を見ていて驚いたのはマイワードしか習ってこなかった全盲の生徒が、全盲の同級生に95リーダーをならい、2回でワードパッドで文章をつくり保存ができるようになってしまったことです。
若いことはすばらしい!
「出来ないのではないか」と考え生徒の学習の「機会」を与えることを疎かにしてはいけないですね。
ところで、今回はしませんでしたが、CD-Rには音楽CDを焼き付けることもできるので、普通のCDプレイヤーで再生できる声の文集もつくりハイブリット構成にしてもよいなと思いました。よりバリアフリーに近づきますね。
どこかの盲学校で試みてみませんか?