監視された部屋のうちで
by よるの
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「ところでリューク。リンゴはどうなる?・・僕にはリュークも見えているから不自然には見えないが・・・」
「部屋に監視カメラが付いてるとなると・・それを通してみたら俺の胃袋・口に入ってしまえばリンゴは見えないが・・そのまえの、持っているときは宙に浮いて見えるな・・」
「・・・やっぱり」
クスリとライトは笑う。なんだか嬉しそうなのが、リュークの不安を煽る。リュークにとってはリンゴは唯一の楽しみであり、かかせないものだ。慌てて、ライトの次の言葉を覆す理由を探して、だが、ささいないい訳は、容易くあっけなくにべもなく却下されてしまいそうで・・。
「死神は死なないから餓死もしない。つまりリンゴをあげなくても問題はないな?」
いや、おおありだ。
リュークの心の声はライトには届かない。あるいは届いていても、かわらないかもしれないが。嘘は通じそうもない・・、リュークは青褪めて、必死に考えた言い訳を次から次へと口にした。実際、アル中に酒断ちをせまるようなもの、チェーンスモーカに禁煙、美食家にダイエット、猫にマタタビ、腐女子に同人誌を禁じるようなもので・・。 「・・・・・・ずっとないと禁断症状が」 「どんな禁断症状が出るんだ?」 ライトの声は零度以下に冷たく、リュークの身体を凍えさせる。リンゴのない世界なんて、実際・・アル中に酒断ちをせまるような、チェーンスモーカに禁煙で・・、以下略。
「見たくないな・・」
ライトはつくづく厭そうにげんなりとしている。リュークの詳細極まる禁断症状の例にさすがにげんなりとした様子だった。
「どうしてもリンゴが食べたかったら・・」
いいように操られている気がしなくもない。飼い主としてもライトはなかなかだ、とは思う。ライトといるかぎり退屈することはなかった。この状況もたしかに面白いものではあったかもしれない。
だがそれも自分の欲求が満たされていればこそ・・。
「ラ、ライト・・」
ライトは兎さんを食べている。より美味しそうだ・・。丸齧りが最高だという主義を曲げてもいいくらいに、可愛く兎をカタチどられたリンゴは魅惑的だった。だらだらとよだれを零しつつ、ライトの食むリンゴをリュークは恨めしげに見つめている。
夜神家の今夜の夕食後のデザートは果物だった。よりによって今日はリンゴだ。これまでも登場することは多かったのだが、その場合夜食としてライトは部屋に持ち返ってくれ、リュークに与えてくれるはず・・、いままではそうだったのだが。
ふぅ、とライトが溜息をついて何か目配せした。その合図にリュークは胸を高鳴らせてひたりとライトのそばに近寄る。 「な、なぁライト・・」 シャリッと軽やかな音を立ててライトがリンゴを齧る。
「見えないよ・・サユ」
ちょうどテレビを遮った妹に向けたような言葉を小さくライトがつぶやく。それが自分へ向けられたメッセージなのだとリュークはその視線からようやく察した。駄目押しにくいくいと指先が曲げられ、何気ないクセを装ってライトの指がその唇をたどる。リンゴを含んだきっととても甘い魅惑的な唇。
リュークの姿はライト以外には触れることも見えることもない。
もう一口、ライトはリンゴを口にした。いいのか?と尋ねるような視線がリュークを通過する。
甘い香りにリュークは逆らえなかった。首を伸ばし、ライトの甘い匂いのする唇に顔を寄せる。ライトは至近距離に迫った死神の顔にも予想済みのようで表情を変えもしない。平然とリュークを素通ししてテレビを見遣るライトの表情に気分を害しながらもその唇をリュークは覆った。
甘い香りが耐え切れないほどリュークを誘う。思わず口中のその中身を舌で掻きだそうとすると、ライトはやんわりと自然に唇を開いてリュークの舌を受け入れた。噛み砕いたリンゴの破片ごと、リュークの舌へ柔らかく甘い唾液を送り込んでのせてくれる。
夢中で咀嚼してうっとりとライトの唇に残った甘い匂いを舐めとり、もう一口と強請ろうとした時、ライトは無常にもその口を閉じた。
「ごちそうさま」
立ち上がり、テーブルに残った皿の上のリンゴウサギには目もくれない。いつもどおりのしぐさだった。
「もっと・・もっと食べたい、ライト・・」
悲痛なリュークの声を引き摺りながらライトは笑顔で母と妹に挨拶し、リンゴの残る食卓に背を向けた。
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初がきデスノート我慢し切れませんでした〜。