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気がつくと男の腕の中にいた。 どっわぁー。マジ?ねぇこれまじ?りあるですかそうですか。 ぎゃ、ぎゃあっつうかきゃーったっけてぇえ!てか?おひおひ・・。 このうで俺様の何倍あるよ?うわー。力ありそうですねお兄さん・・。いやんやさしくしてvとかふざけてる場合でないぞ・・。 たらーりと冷や汗が銀時の全身を伝う。 いや、本当ありえないほど太い腕で、ニンゲントハオモエナイ。 ぼく、小人ちゃん?とかこくびをかしげて許されるならボケをかまして笑って済ませたい。 いやあ、ベッドインなんてそんな相手を確かめずに決行するもんじゃねーよなぁとか。 いまさらコウカイしたって決定的に遅いのである。 自分でも自覚はしている。 己はゆるい。サムライ、というか戦うモノにしては、異様にユルイ。 キケンに対して異様にユルイ。ヌルイ。危ないものを危ないと、かぎつける能力がケツジョしている・・としかつめらしくのたまったのは果たして誰だったか。 プライド?なにそれ食えんの?みたいな。 なにそれ気持ちいいの?みたいな。 そんなところとはぜんぜんちがうところに生きる意味はあるから。 快感も身の保全もそんなものはぜんぜん違うから。 決定的に価値観がずれてもいるのだろうことは、真顔で諄々と諭されずとも分かるのだ。 だから、わりに自分はどうなってもどうでも、思うとおりに生きていればシアワセなのだけれども 。 キケンなんか気にしてたらそれこそイキつまっちゃうデショ? しかしまぁ自分を好いて、心配する人は、できればきづつけたくないかなあと。 そうわれに返って思う瞬間も無きにしも非ずだったりする。 特に今。いまげんざいこの瞬間ね・・。 うわーい、このおヒトの指、ちょい細めペニスくらいあるよー。 長谷川くんサイズだよー。 おれさまのウシロが壊れたら悲しむヒトけっこういるんだよー。 なんてぇ最低な心配をしたくなっちまう。 でもいい加減じれってえな。このヒト服も脱がしやがりません。 さっきから、片腕一本で抱き上げたまま、大きい手指に似合わない慎重な動きで銀時の頬をすり肩を腹を足をゆっくりなぞっていくのをえんえんくり返すのみだ。 銀時が顔をあげて見ると視線に気がついたか、巨体の天人は、笑った。 人間の意味での巨漢ではないのだ。 自分との対比を外してみれば、細身で、顔立ちはどちらかというと子供っぽい。少年じみた体躯と笑顔。 あのときと同じ、笑顔だった。 嬉しげな、愛しげな、それでいて哀しげな・・見ているこっちがせつねぇよ、おいおいどした?と声をかけたくなるような、カオだ。 銀時はまだくらくらする頭を振って目を閉じた。労わるように撫でる手の動きにカラダを預けて、思い出した。 ただ酒を飲むのは得意だ。いや貧乏まっしぐら極貧生活において酒なんざただでもなければ飲めないのだ。 チェリーブランデーに、オレンジキュラソー、とどめのチョコレートリキュール。本来風味を付けるために、カクテルに少量加えるのが一般的な極甘なアルコールをワガママいってそれだけで飲んだ。 周りの酒のみたちは顔をしかめていたけども、シアワセなほど甘いこんなに美味いアルコールは初めてで、お菓子を食べるときの幸福感とアルコールの酩酊で、銀時は浮かれていた。 気がつくと宙を舞ってたくらいの浮かれっぷりだった。投げ飛ばされて、受身をとるくらいは理性のかけらも意識もなくとも身体が覚えている。 背中を丸めて頭をかばった身体は予想と違って、壁に叩きつけられる衝撃もなく、ふわりと気持ちのよい風を感じていた。 ビルの最上階、窓ガラスの大きな明るい店だった。開いていた窓にスローインされたのだ。見上げた先には、暮れなずむ空があった。日が落ちたばかりのブルーを濃くした空を見上げて銀時は気持ちよく笑った。 がくんとカラダが放物線の頂点で急速落下に移るその浮遊感が最高に気持ちよかったのだ。 声を上げて笑った、かもしれない。 窓から首を突き出して、銀時の消えたカラダを探すしょうもない友人どもの血相を変えた顔も面白い。 手を振って、じゃ、と別れの挨拶もしたのだが果たして見えたかどうか。 最高に愉快で気持ちよくて、どうにもカラダが危機対処モードに入らない。このまんまだとやべえなあ、くらいはいくら銀時でも思う。 しかしやっぱり予想と違って落下した銀時を受け止めたのは硬い地面ではなくて、まだ地面までコンマ5秒くらいあるだろ、え?みたいにわずかに早く、ふわっと肩と膝の下に柔らかいものがふれ、見事に衝撃を消し去るみたいにクッションをきかせて抱きとめられていた。 普通の体格の人間がそんなふうに衝撃もなく落下してきた人間を受け止めるなどというのは不可能だ。二人揃って五体満足ではいられないはずだったが、銀時のカラダのどこにも痛みはなく、相手は衝撃を殺すために屈んでいたカラダをすっくと伸ばして立ち上がった。 あんまり気持ちよくふんわりと抱きとめられたせいで、着地したという気がしなかった。 なんだなんだ?雲の上かぁ?墜落死すっ飛ばして極楽浄土かい? ハイテンションに笑って、自分を抱いてる相手の腕に頼りきったまま、きょろきょろ辺りを見回して、下界を見渡すみたいに高い視点はかなりご機嫌で、自分を墜落死の危険から救ってくれたのがだれかなんて確認するのはどうでもよかった。 よー、あんがとさん、くらいは言ったと思う。 あー気持ちいいなぁ、しばらく抱いててもらっていい? あんまり居心地がいいので考えもなくそういったのだが、見上げた顔が、そういうまで腕のなかの自分を扱いかねて硬直していた相手が、驚いたように目を見開いて、それから、肯いて、嬉しそうにそりゃあもう嬉しくてたまらないというようなステキな笑顔を浮かべたのだ。 じゃ、行こう、空中散歩でれっつごー。 まだ酔いの残ったまわりきっていないろれつの言葉にその天人は銀時を抱えたままで歩き出した。 四メートル越えの巨人の天人とその腕にお姫様だっこされた若い男という組み合わせは人目を引くこと甚だしかったが、そもそも銀時の位置からは見下ろしても人の頭部くらいしか見えない。 なぁんで、おれ受け止めてくれたの。あぶねぇよー。 ぽつぽつと話した。天人は寡黙なタチらしかったが尋ねたことには答えた。 ワラったっしょ、な、なぁんで。嬉しそうにしちゃってさぁ、一目ボレってやつ?うわぁおれって罪作りな男? ・・へーほー。ふぅん。そっか。まあいいや。 じゃあ思う存分触らしてやるから、宿いこうや。 偏狭の惑星のなんちゃらいう戦闘種族で、群れを作る習慣がないのだという。成体になると母のもとを離れて、行動範囲に仲間がいることはない。繁殖の時期だけ相手を探し、行為を終えればまた単独で行動する。女性は子供が幼い間はともに暮らすが男性は人とともにあることが本当に短い種族なのだという。 宇宙を旅して、地球人や他の種族と交わることはあるが、大きさのあまりの違いと戦闘民族だということから人に触れたことはないという。 驚いて、嬉しかったのだ、という。気がつくと腕の中に、生きている人がいて笑っていたから。 思わず手を伸ばしてただ支えてくれているだけの腕を自分から抱き寄せた。 で、そのまま抱っこで入ったのは普段の逢瀬なんかで登場したことのない高級ホテル。 ベッドインしたところで、銀時は酔いが覚めた。あれ、オレなんかすっげえことになってないかい。みたいな。 うーん確かに、とても可愛い男だが、地球人はとりあえずそういう対象としてはご遠慮申し上げたくなっちまうのもやむを得ないよ、うん。 見上げると気づいて男は手を止めて見つめ返してくる。口元はシアワセそうに緩んでいる。でっかいクソガキみたいなカオだなーと銀時は思う。 「なあなんていうのあんた」 「・・なにが」 「名前だよ名前」 「ああ。無い。おれの国には名づける習慣はない」 「そっか。なあお触りすっだけなの。繁殖期じゃねえ?」 「いいのか」 「いーよ」 だめだっていったら諦めそうな初めから諦めていたような雰囲気だった。 「どうして、あなたは怖がらない」 いや、怖いってむちゃくちゃ怖いですよ?ただオレ怖いとかアブねぇとか、表情にでないらしいよ。 だいたい、可愛いと思った男とやるのを怖がるってどうよ?ここで退いたらギンさんが廃るってもんだね。 ふふんと笑って袷をくつろげた。襟を抜いて肩からすべり落しながら伸び上がってキスをする。自分の倍以上ある体に縋るのは不思議な感じがした。 小さな子供になっちまったみてえな、切な甘いヘンなセックスの始まりだった。 続き ※ぬるいですがヤってますので・・ご注意を。 |