A year war after
−A day warより
ONE NIGHT WAR
(……これが最後だろうか)
シャアは心の内で呟くと、静かにグラスを傾けた。
宇宙船のなかというのが信じられないほど調度は
豪華で行き届いている。さすがにVIP専用の豪華
客船だ。
船内のバーはいつでも開いていて、どんな酒でも
飲むことができる。
身分を隠してシャアは地球に行かねばならず、こ
んな船を使っていた。地球まで十日ばかりかかる。
何もできることはなく、不意の休暇のようなものだ
った。
(……もっと楽しんでもいいはずなのだが)
同じ船の中にアムロもいるのだ。だから十日程度
退屈するとは思わなかったのだが、アムロは二日近
く部屋から出てこない。シャアに会おうとしない。
原因は、シャアが姿を隠していたことだった。激
しい戦闘の最中シャアはエゥーゴを抜け出した。ブ
ライトたちなど仲間にすら何も知らせず。
アムロには事情があって、こうして会ったわけだ
が、シャアの生死を心配しているブライトたちから
姿を隠していることを、自分にも隠そうとしていた
ことを、アムロは怒っているのだった。
(それに、また敵同士になってしまったな、アムロ)
シャアのその意思がアムロに分かるのはまだ先の
こと。シャアがネオジオンの総帥として立つのは、
もうすこし時がたってからのことだ。
だから、これは休暇なのかもしれない。最後の、
二人が殺し会わなくてすむ短い休息の。
(……シャア)
呼び掛けられた気がした。
物思いから我に返って、シャアが隣りを見ると、
アムロがいた。
アムロはシャアの顔から視線をそらしたまま、シ
ャアのとなりに座った。強いアルコールをたのんで、
ぐいと飲み干している。
シャアも黙ってグラスを傾けていたが、唐突にバー
テンにむかってウォッカを二つたのんだ。
「賭けをしないか。先に酔い潰れたほうが負けだ。
どうかな?」
不思議そうな顔をしてシャアの行動を見守ってい
たアムロに、彼はそう提案した。
アムロはシャアを睨んで、小さなグラスに注がれ
た透明なきつい酒を勢い良く飲み干して見せた。
シャアは薄く笑んで自分の酒を静かに飲み干した。
飲み込んだとたんに舌を焼くような強い酒が心地好
い。
お互い四、五杯ずつも飲んだか。さすがにシャア
も酔いを感じていたが、アムロは沈没しかかってい
た。
「卑怯だったかな」
笑ってシャアは囁いた。
アムロがシャアより酒に弱いことなど、彼は承知
していた。
アムロの姿勢は傾きかけている。肩をシャアに支
えられても、もう振り払うこともできない。
「そうだ。貴方は卑怯だよ、シャア」
うるんだ瞳でアムロがそんなことを口走る。
苦い思いをまぎらすようにグラスに口を運んだシ
ャアに、それでもまだアムロは張り合って自分も飲
み干した。
「シャア……、う…そ、つきだよ、貴方は……」
完全に酔い潰れてアムロはシャアの腕の中に昏倒
した。
抱きかかえて立ち上がりながら、シャアは少し苦
しげに微笑んだ。
*
シャアは自分の部屋にアムロを運ぶと、そのぐっ
たりした身体をベッドに横たえた。苦しげに荒い息
をつくアムロのえりをくつろげてやって、冷たい水
を口移しにした。
甘い吐息を漏らして、アムロは水を飲み込む。
意識が戻るとぼんやりした眼を開けて、アムロは
起き上がろうとしたようだったが、腕すら持ち上げ
ることもできないらしい。
そっと服を脱がせると、アムロの身体は熱くうす
紅に染まっていた。にぶい動きでシャアに抵抗する
が、何も分かってはいないらしい。
シャアも酔っていたかもしれない。アムロのこと
がおかしなほど強く欲しかった。
アムロの反応はにぶい。感覚が鈍っているのだろ
う。
意思のない人形を犯すように、シャアはぐったり
したアムロをうつぶせて背中から犯した。
口移しに飲ませてやった水の残りを、てのひらに
すくってそこをひたす。冷たい感触にぴくりとアムロ
の身体が動いた。
(ああ……)
熱い自分を押し込むと、アムロが呻いた。その抵
抗も弱々しくて、なおさらにシャアの強い愛撫を誘
う。
アムロのだらんとした手足に、自分のそれを絡め、
猛る己のものを突き刺し、えぐり込んでいく。
アムロの身体がこまかく痙攣を起こした。
シャアの動きのままに、アムロは揺すられ、熱く
すすり泣いてふるえる。
いくら、抱いてもシャアの思いが尽きることはな
かった。
ずいぶん長く……アムロが終わることのない苦痛
に正気をなくしてしまってもしばらくシャアはそう
してアムロのなかを穿ち続けていた。
*
「からだじゅう痛い……」
目を覚ましたアムロはあおざめた顔でそう言った。
抗議するような口調だった。
「……何をしたんだ、シャア」
「覚えていないのか」
「なんにも……」
クス、と笑ったシャアにアムロはかっと顔に朱を
上らせた。
覚えていなくとも、少し身体を見てみれば、なに
をされていたかなどすぐ分かる。アムロのなかには
シャアのものがとどまっていて、身体を動かせば流
れ出してくるのが分かっただろう。
キスマークはからだのあちこちに散らばっていた
し、足腰の痛みなど、それ以外のなにものでもない。
あまりにもくっきりと残り過ぎているセックスの
跡にアムロはふとんを被って身体を隠してしまった。
「気持ちが悪い」
「二日酔いだ」
平然というシャアだったが、じつは彼の頭も痛み
を訴えている。二日酔いだった。先ほど自分の飲み
込んだ薬を、ふとんを剥いでアムロに飲み込ませて
やる。
「シャワーを浴びないか」
「……ん」
あんがい素直にアムロはうなずいた。
ベッドから、立ち上がろうとしてよろめくのを
シャアは支えた。そのまま抱き上げてしまう。
「シャア! ……下ろせっ」
「だめだ」
浴室は広い。バスタブも二人で入っても十分すぎ
るほど大きく作ってあった。
アムロは暴れる気力もないようだった。
ふーっと溜め息をつくと諦めたか、おとなしくな
る。
シャワーを勢い良く出すと、アムロのからだに浴
びせ掛ける。湯の心地好いしぶきのなかでそっと抱
き寄せるとアムロは身体をいいなりにあずけてきた。
自然に唇が重なる。
ボディソープをてのひらの上に出して、アムロの
身体を洗ってやった。
さすがに、アムロの身体が緊張し強張る。
撫でて行くシャアの手の感触に、アムロのそれが
立ち上がりかけている。
「シャア…ア」
怯えたような声でアムロが呼び、シャアの身体か
ら身を放した。
シャアはアムロの身体をタイルの壁にあずけさせ
て放しながらも、首筋に顔を伏せてキスを始めた。
ゆっくりとシャアの唇が下る。
「あっ…」
アムロはふつりとたちあがった突起を口に含まれて、
思わず声を立てた。シャアの舌がそれをそろりと嘗め
あげ、軽く歯を立てる。もう一つも指でたどられて、
アムロはぎゅっとシャアにしがみついた。
シャアの片手は、ボディソープの滑らかな泡を立
てつつ、アムロの両足の間に這い込んでいた。はっ
きり立ち上がってびくびくとふるえるアムロのそれ
をなだめたあと、昨夜、シャアがなかへ放ったもの
を零す口に潜り込む。
「いや…嫌だ…あ、ああ……」
泡ともとからのぬめりに簡単にそこはシャアの指
を飲み込んだ。
「良く洗わないと気持ち悪かろう? 」
キスと一緒に囁くと、アムロは嫌々をするように
首を振った。
指でそこを開くようにするとシャワーをあてがっ
た。
アムロの身体が跳ねた。
「んっ……んん…」
がくりとアムロの身体から力が抜ける。そっと抱
き留めて、シャアはアムロの高まりきったものを愛
撫してやった。
シャアの手で解放されてしまうと、ほとんどアムロ
はその場にへたりこみそうになっていた。
バスタオルに包み込んで抱き上げてベッドの上に
下ろしてやると、アムロはぐったりとしてそのまま
眠り込んでしまいそうだった。
シャアもそのとなりに横たわってしまった。明け
方近くまで抱いていたのだ、さすがに疲れていた。
二人はそのまま夕方まで眠ってしまった。
*
シャアの目覚めは心地良かった。クリアな意識に、
穏やかな寝息が聞こえ、温かい感触が届く。
「ん……」
眠たげな声をもらして、アムロも目覚めのふちに
あるようだった。
「おはよう、アムロ君」
「ん……おはよ」
寝ぼけた声でアムロが答える。瞬きすると驚いた
ようにシャアを見て、黙り込む。完全に目が覚めた
ようだった。
「食事に行かないか」
シャアの誘いをアムロは断らなかった。
二人はまる一日近くなにも食べていないことにな
る。二人はひどく空腹だった。
向き合ってテーブルに付き、食事を終えて、コーヒーが
運ばれてきたときだった。
なにげなく、今夜のことを誘ったシャアにアムロ
は挑戦的な目付きをした。
「誤解するなよ、シャア、昨日は負けたから…その、
抱かれたんであって貴様のことを許したわけじゃな
い」
アムロのその言葉に意地悪くシャアはアムロを見
つめた。負けじとアムロも見つめ返したが、シャア
に微笑まれてそっぽを向いてしまう。
「ほう、アムロ君、このまま、私に負けたまま、引
き下がるつもりなのか」
「どういう意味だ」
「今夜も、どうかな。なにかで勝負しないか。さい
わいこの船にはありとあらゆる娯楽も揃っているこ
とだ」
「……いいよ。だが、僕が勝ったら……」
「私が君のいうことを聞こう」
シャアは立ち上がった。
船内にはもちろんカジノルームもあって、本格的
に高額を賭けるものから、友人同士で賭け合うプレ
イルームも備えてある。カードゲームのコーナーで、
一つのテーブルにつき、カードとチップを用意する
と、シャアは手慣れた様子でカードをシャフルして
言った。
「チェンジは一度。チップは十枚まで。……朝まで
ゲームをすることになぞなったら、賭けている意味
がなくなるからな。十回戦といこう」
すらすらとルールを決めてしまうと、カードの山
をアムロのほうへやった。アムロが数回混ぜる様子
を確認しつつチップを分ける。
ゲームが終了したのは二時間ほど後のことだった。
シャアはちいさく忍び笑いつつ、アムロは頬に血
を上らせて憮然として、二人は向かい合っていた。
純粋な勝敗……つまりカードの勝ち負けはほとんど
五分五分なのだが、チップはそうではなかった。
ポーカーフェイスが物を言う、つまりはだまし会
いのゲームなのだ。アムロがシャアに勝てるわけが
なかった。シャアは自分のカードが強くなくても、
アムロのカードの弱い時は巧妙に揺さぶってゲーム
から下ろさせ、チップを取ってしまう。反対に自分
が強いときには、アムロに沢山のチップを賭けさせ
る。
「では、行こうか」
チップの数を確認してみるまでもない。一目でシャ
アの勝ちが分かる。
むっつりと黙り込みながらもアムロは素直に付い
てくる。
しばらく歩いてから、アムロは疑問の声を上げた。
「どこへ行くんだ」
向かっているのはシャアのでもアムロの部屋でも
なかった。
「ああ、君などは知らないかな……こういう高級客
船のなかにはだいたい変わった趣向のベッドルーム
が用意してある」
「な、なんだって! ベッドルーム?」
「ただ君をベッドに誘うためになら、賭けなどとい
うめんどうなまねはせんよ。君が嫌がりそうな趣向
なのでね。君を逃がさないように、と思ったわけだ」
我を忘れてセックスに狂うのも最後の夜には相応
しくないか? そんな皮肉めいた思いで、これを実
行したシャアだったのだ。
その部屋へはエレベーターから直通でだれとも顔
を会わせずに入ることができるようになっている。
部屋の中央に置かれた大きなベッド。それを大き
く映し出す鏡。
それを見ただけでアムロの身体はすくんでしまっ
たようだった。
「シャ…ア……」
許しを乞うような、掠れた声がシャアの名を呼ぶ。
シャアは微笑んだ。自分の服を脱ぎ捨てながら、
アムロに服を脱ぐよういいつける。
用意されてあったウィスキーと注文したピンク・
ドラッグ……いわゆる催淫剤の一種を取った。
口付けで二つをアムロに飲みこませる。
残った数粒のドラッグのカプセルを割ると、
シャアはウィスキーの中へ溶かし込んだ。
一口口に含むと、怯えるアムロの身体を押さえ付
けてその下半身に顔を伏せた。
大きく両足を開かせて、その中心の閉じた薄桃の
花の輪郭を指でなぞる。
「うっ……」
押し殺した声……羞恥に弾んでいる息。
アムロの身体の抵抗を押さえこみつつ、シャアの
唇はアムロのそこへ触れた。
シャアの舌にほどけ掛かったそこを、シャアの指
が開く。突き刺すように奥まで差し込んで、その口
を指は押し開いた。
「ああっ! な、なにするっ…あ、ああ……」
小さく開いたそこにシャアのすぼめられた唇が触
れた瞬間アムロの唇からは、声が上っていた。
ピンク・ドラッグを溶かし込んだウィスキーがそ
こから流し込まれて行く。
薄い敏感なそこは焼け付いたようにヒリヒリとほ
てり、異様なその感触にアムロの身体はのたうちま
わった。
アムロの狂乱する身体を抱き締め、その身体を押
さえ付けて、シャアが付けた昨夜の痕跡の上をキス
して行く。
ウィスキーの残りはすべてアムロの肌の上に零し
てしまうと、その肌から嘗めとって薬とウィスキー
の味を楽しんだ。
「ああ……あ、ふっ…ああ」
シャアにしがみついてアムロは甘い音色でなき続
けた。シャアの猛ったそれを、そこに飲み込ませると
痙攣して気を失いそうに喜ぶ。
アムロの中は熱くきつかった。
シャアが大きく動くたび、アムロのそこはシャア
の強く硬いそれにこすられていやらしい音を立てて
飲みこむ。
アムロはもう果てていた。シャアのそれをうしろで
うけると、声を上げつつ果てる。
シャアも熱くきついそこの良さにたもてずに理性
を手放して撃ち放っていた。
吐精したそれを抜くと、まだ正気を取り戻せない
アムロを抱き締め、キスする。
「シャア、アッ 嫌だ、やめないで……アツイ…もっ
とっ……」
アムロの頬には生理的な涙が伝っていた。
がむしゃらにシャアにしがみつき、シャアの背に
爪を立てる。
シャアはそんなアムロを引き剥がすと、その髪を
付かんでぐいとじぶんのそれに近付けた。半ば立ち
上がりかけたシャアのものに、息を飲むアムロのた
めらいが伝わって来る。
「はぁっ…んっ……」
シャアにきつく吸われて赤く色付いている唇が
シャアのものに触れた。ためらうように口付けて、ぎ
ゅっと目を閉じると、それを口に含む。
アムロの苦しそうな、自分のものをほおばって呼
吸困難になりかけている表情をシャアは見つめてい
た。
きつく、きつく目をつむって、シャアのそれを必
死に飲み込み吸い付いている。アムロの舌は柔らか
くシャアのそれのまわりをはい回っている。
シャアのそれは猛っていた。
ぎゅっとアムロの頭を付かんで引き付け、苦しが
るアムロの中に深く飲み込ませて、シャアは放って
いた。
「んっ、うっ…ぐ……」
シャアのそれを飲み込みきれなくてアムロは涙を
滲ませて急き込んだ。
シャアにも薬がきいているのか、もうそれが何度
目かの射精だというのに、すぐにもシャアのそれは
力を取り戻した。
アムロのぐったりした身体を膝の上に抱き上げて
自分のものを飲み込ませながら座らせた。
「あ…うあ…っ…」
がくがくと力なくアムロの身体が震える。
昨夜以上にシャアは酔っていた。きつく締まるアムロ
のなか……すがりつく腕とのけ反る喉……そんなものに。
気絶するように眠り込んだのはそれからどのくら
いたったころだったか。
*
「あっ……シャアっ! いや、嫌だ……」
へんに甘いアムロの叫びに心地好い眠りから覚ま
されてシャアは目を開けた。
腕の中で、アムロの身体は強張っている。
意識が戻ると、すぐにそんなアムロの反応が分か
った。
昨日、抜かないで眠ってしまったのだ。シャアの
それはアムロの中に収まったままだった。
アムロが身体を硬くして、小さくみじろぐので、
シャアのそれは立ち上がりかけている。
「シャア、早く、やめろっ……もう嫌だっ」
寝起きやら何やらで混乱して泣きわめきかかって
いるアムロは非常に可愛らしかった。
とてももったいなくてそのまま中断させる気にな
どなれない。
シャアが偶然を装って大きく動くと、昨日の余韻
で感じやすいアムロのからだは素直に反応を返した。
「ああっ……」
などと呻いて、震えてしまうのだ。
シャアは少々節操のない自分に自嘲の苦笑を浮か
べながら、アムロの抵抗も無視してそのまま続けてしまった
……。
*
その後の数日、毎夜のゲームは続けられた。
アムロは一度も勝てない。
だいたいがスノッビッシュなゲームの類いはアム
ロには向いていないのだ。
シャアはカードゲームからルーレットまで一通り
こなせる。まったくそんなものに縁のないアムロに
太刀打ちできるはずがなかった。
ダーツや射撃では競るのだが……シャアはそうい
うものにもやたらと勝負強い。
そして、アムロは負ければ負けるほど、その夜に
つけがまわるのだ。次の日の体調など、当然起きて
いるのも辛いという有様で、ゲームにも勝てるわけ
などないのだから、シャアはある意味卑怯かもしれ
ない。
だが、負けてやる気などシャアには毛頭ない。賭
けているものはアムロのからだなのだ。そんな勿体
ないことができるわけはないのだった……。
明日で、終り……今夜が最後だった。明日にはこ
の船旅が終る。
シャアの部屋だった。結局アムロは今夜の賭けに
も負けて、早々と服を脱がされた状態でベッドにい
る。
「最後だね」
ぽつりと呟いたアムロにやや意外さを感じてシャア
はその眼をのぞいた。
「そうだな」
「結局一度も貴方に勝てなかった」
すねた口調だった。
何かもっといいたげな顔をしているようにみえた。
それともシャアの後ろめたさがそうみせるのか。
卑怯だな、とずっと思い続けている言葉を胸のう
ちに呟いて、アムロの口を塞いでしまう。
最後のセックスは穏やかで甘く心地好いものだっ
た。
とけ合うような身体。シャアは身体の上でアムロ
を泳がせる。
触れ合う肌は温かい。馴染んだ皮膚の感触に息が
すぐ弾み始める。
心地好さに、愛している、などとという甘く麻痺
した感情が沸いてしまう。
けして口に出せない言葉。本当にそう思っている
かも分からない。
繋がったまま動きを止めて、苦痛と快楽に歪むア
ムロの顔を見つめていた。
きつく閉じられていた瞳が、視線を感じてか開か
れ、うつろにシャアを見た。
アムロの唇が微かに動いた。何か、呟いた……?
シャアもなにかいおうとして……いえなかった。
アムロは開きかけたシャアの唇を塞いでいた。首
にその腕を巻き付け、ゆっくり舌を差し込んで来る。
甘く柔らかなそれをきつく吸い上げる。ベッドに
沈み込んで、アムロの中をゆっくりと掻き混ぜて行
く……。
「シャア……もう、早く…して」
掠れた細い声。アムロは痛みや快楽に強い方では
ない。
焦らされたり、激しくされるとすぐに声を上げる。
子供っぽい、声だ。甘く切なげで……。
そっとシャアはアムロの喉に口を付け、吸い上げ
た。赤く跡が残る。
何日くらい残っているかな、などと意地の悪いこ
とを考えて、もっときつく、アムロが眉をしかめる
くらい強く、あちこちにキスした。
「あ……ん……」
キスに背をくねらせてアムロが答える。シャアを
飲み込んでいる腰も揺れた。
アムロの動きに、シャアのそれも限界まで高まっ
て行く。
もう、なにかを考えている余裕などなかった。熱
いセックスだけがすべてになる。
シャアの強引な、裂くような動きに、アムロのの
どからくぐもった悲鳴じみたあえぎが上がる。
シャアが、アムロの最奥に熱いそれを打ち付ける
頃には、アムロの意識は絶えていた。
もうすぐゲートが開く。
ここを出たら多分もう、こうしてアムロと会うこ
とはない。
あとほんのすこし、だった。
ティールームに二人は向かい合っていた。
すこしアムロの顔色は悪い。
会話する気にもなれず、先ほどから二人とも黙り
込んで、コーヒーをすすっている。
アナウンスが、到着を告げた。
シャアはゆっくりと立ち上がった。アムロもそう
した。
「シャア、最後だ」
きゅっと唇を引き締めてアムロは拳をシャアの方
に突き出した。
そのてのひらには、コインが乗っている。
アムロは空中へコインをひゅっと投げ、掴み止め
た。
「裏か表だ」
確率は二分の一だ。
「表、だな」
最後の賭けに、シャアは微笑んだ。
そっとアムロのてのひらが持ち上げられる。
コインは……端整な男性の横顔が刻まれた……表
だった。
アムロは最後まで彼に微笑まなかった運命の女神
に、コインを投げ捨てて歩き出した。
ゲートは混雑している。
「アムロ」
声に振り向いたアムロに、シャアは口づけた。
激しいキス。深く貪られて、アムロの目が閉じる。
キスの後に、眼を開けたアムロからシャアはずい
ぶん遠ざかってみえた。