Kiss to yourhand……。
アカイミズ
生暖かい液体が触った火村の手から私につたわった。その赤いねばねばする水が私の膚に擦り付けられる。
あまりの気色悪さに私は悲鳴を噛み殺した。青褪めた私の顔をなにかがふさぐ。火村のキスだとわかってはいたが、流れこんでくるものの味に私は顔をそむけてむせ込んだ。
それでも口に残るイヤな味。鉄っぽいとろりとした、血の味とにおい。
口からこぼれた赤い液体が顔を汚す。必死になって私はぬぐったが、手まで赤く染まっただけで、拭い去ることなどできない。
そうしている間にも、血まみれの手が、私の肩を抱き胸をなぞり、私から皮膚の色を奪っていく。ぬるぬるした血が私の膚を辿る火村の指を滑らせ、気持ち悪いほど甘い刺激を伝える。
甘いが、気持ち悪かった。全身に鳥肌が立っていた。
火村の指が私の口に付きつけられる。私は弱く首を振った。
イヤだ。
それでも、拒むこともできずに、私は赤いものの滴る火村の指を口にした。
気持ちが悪い。
唾液が赤く染まる。引き出された火村の指は私の中へ入りに下へ降りていく。
口の中をかろうじて染まっていない手の甲でこっそり拭う。こみ上げる嘔吐感。呑みこんだら、コレまで呑みこまねばならないと思うとたまらない。
「ひむら……な、」
止せ、といいたくて仕方がなかった。なにも応えない。答えてくれない彼は酷く私の不安を煽る。
ぬるりとした指が私を開く。べとべとに濡らされたそこは彼を少しの苦痛もなく受け入れた。
血まみれの火村の指。
ほんとうに……嫌だ。
いっそ痛くても構わないから、少しも濡れていないままで受け入れさせられたほうがましなくらいだ。この気持ち悪さに比べたらイタイ方がイイ。
それでも誰かの血を滴らせた火村はその指で私を掻きまわす。
ぴちゃぴちゃと血が跳ねる。身体中がヌルついて気持ち悪かった。火村が重なってきて、膚が触れ合う間にもぬかるみめいた感触があって耐えがたい。
そこはとてもいい。
まったく苦痛がないほど濡れた部分は、有り得ないほどの快感を訴える。苦しすぎるほどの、快楽。
もう、嫌だ。