夜更けすぎ――
それはいつも? byよるの かいが
消灯を告げる合図がなり、中禅寺が本から顔を上げ、ドア脇の電気のスイッチに手をかける。
中禅寺と関口の部屋に暗闇が落ちる。
「おやすみ、関口君」
中禅寺はそういう。それはなんだかもう合図のようなものだ。どくん、と関口の身体が波打つ。鼓動がたちまち早く打ちはじめてしまう。
部屋の外の物音――消灯寸前のあわただしい気配が消えて行くのを落ちつかない気分で――たぶん関口は待ちかねている。いつもの、寮生の就寝を確認する見回りの、コツコツコツという足音がして――。
通りすぎるまで、二人は息を殺している。
とんとんと枕もとを指で叩かれ、関口は布団をはぐりその人影を招き入れながら、ひそやかに笑いを漏らした。
なんだか――こんなふうに抱き合うのはくすぐったい気分だ。
中禅寺の吐息が首筋にかかる。
気配で彼が笑んでいるのも、わかる。
闇の中で微笑みあいながら、中禅寺の顔が、関口の唇を探してくる。
背を仰け反らせて関口はそれを避けた。唇に逃げられて、中禅寺のそれがもどかしげに関口の頬や耳朶をたどる。それが関口には可笑しくってならず、喉の奥で笑いながら、暗闇の中すべて感触で避けて、追われる。
「あ――」
首筋を噛まれて上がった声に、中禅寺がやっと尋ね当てて、唇が重なった。あちこちにキスをしたあとだから、中禅寺の唇は湿っている。口唇と口唇が触れ合うだけでも、とても気持ちがいい。すぐ這いこんでくる舌を押し返して、関口は中禅寺の薄い唇をついばんだ。
中禅寺はキスは関口の好きなようにさせてくれていたが、その間に、性急に関口の身体をまさぐり始めている。それが、くすぐったい。身をよじって逃げる関口を、中禅寺がのしかかって自由にする。上がってくる息を整えようと身体をすくめ震わせる関口を、さらにいいように中禅寺が弄る。
「だ…め、だよ――待って――」
「どうしてだい、――巽」
「あ、はぁ――」
前と後ろへいっぺんに指を這わせている。前は軽く手のひらをあてがうだけ、後ろはその周辺をそろそろとなでさするだけのいたずらだった。ほんの少し蕾の中心へ力をこめて指をあてがっただけで、そんなふうに関口は鳴く。
あてがっただけの手のひらにも、思わずというように自分の熱を押し付けて、関口は中禅寺の肩に縋った。
「待っ、て、アッ、まっ……」
「ここは――待ちきれないっていってるのに、どうしたいのだい?」
「あ、やあっ――い、いれないでったらッ、中禅寺っ」
「もう熱いよ。ここも。僕のも――開いておかなきゃ、後が辛いぜ?」
「ゆ、び――だって、――乾いてたら痛いんだようっ…あっ」
ぐっと入りこみかけた指が関口の声にすっと抜かれる。
「ああ、そうだったけ、ごめんよ、関口君」
いいながら中禅寺は身を起こし、ごそごそと探り出した。すぐに濡れた感触がそこに落ちてくる。
「中禅寺――」
呼んで、下方にある彼の肩をつかみ、抱き寄せようとすると、すぐ彼は、関口の上にぴったりと覆い被さって来た。関口のゆるくひらいた脚の間に身を割り込ませ、その狭間に指だけがもぐりこんでいる。
ぬるついた指を、たちまち関口のそこは咥えこんで蠢き出す。
「ひ、あ、あっ――」
連日の愛撫で過敏になっているそこへ刺激に関口はもう甘くうめきだしている。
「巽――」
「あ、ゆっくり、してくれよ――あっ、だめ、嫌あ、ちゅうっ――」
その甘く鳴き、自分を求める関口の顔を見たい――と思わずにはいられない中禅寺だった。
「……まだ、そうなのか、呆れるぞ!アキちゃん」
「ずっとそうですよ。エノさん、なんど『見に』きても――暗いだけです」
あれからあうたび、榎木津は中禅寺を覗きこんでは、がっかりしたような声をだし、不平をもらす。
中禅寺の言葉に、榎木津は、ふん、という調子でいった。
「可愛そうにな!関の鳴き顔は可愛いぞ――!僕はしっかり覚えている。ずいぶん長いこと、あんな明るい部屋で鳴かせてあげてたのだからな!」
ぐっと中禅寺は言葉につまった。
「ハッハッハ!僕は知っているのに、おまえは知らないんだ。可愛そうなアキちゃん。意地っ張りはソンをするだな!」
今後の寮生生活が酷く不安になった中禅寺秋彦だった――。
いつまで我慢する気でしょうか〜。