BIYAKU−SP<スペシャルピンク> 

               


 

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火村の非難がましい視線が気になって集中できない。

しかし、私はしいて読書を続ける。

火村は向かいでソファに座っている。彼は、長い足を組み、手を背もたれに投げ出す、非常に不機嫌さをアピールするだらしない姿勢をとっている。

私はやや彼の機嫌も気にしてはいたが、ここでそれをとりなそうとすると、彼の要求をのまなければならなくなるので、眉間に力をこめて、本からは顔を上げない。

「いいかげんにしろよ、アリス。なにも俺と酒飲んでるときに本読むこたねえだろ」

「――君がすぐおかしなこというからや」

最近火村は欲求不満だと思う。ついていけない。この日も夕食に外へ出て、そのまま外で飲もうという私に反対し、人の家に来たかと思えば、もういきなり……君はそれが目的やったんか!と、不機嫌にもなるではないか。

「なんでお前はそうなんだ?――ったく、よ」

「それはこっちの台詞や。君と俺じゃ絶対欲求の大きさちゃうわ。どうしてそうしたがるんや」

「――俺は正直なんだよ」

「少しは相手のことも考ええ!」

火村はなにか考えこむようだった。

不意に顔を上げ、にやりと笑いを漏らす。私はなんだか嫌な予感がしたのだが、予想に反して、その夜火村はなにもしかけて来なかった。

 

           

 

不意うちのキスを私は拒まなかった。――前回は悪かったかな、と思ったせいもある。

キスには妙な味がした。甘く苦い――なんだか、奇妙な薬っぽい味だ。

「――なに、のませたんや」

「欲求の少ないアリスにムリさせちゃ悪いだろ?――その気になるクスリ。ちょっと待ってろよ。そのうちしたくなる」

「ちょおまて!いややそんなん――」

「なんでだ?お前がその気になりゃ問題ないだろ」

火村はにやついて私の紅潮した顔を見ている。アレにはアルコール分が含まれていたのだろうか?火村の唾液と共に流しこまれた薬はかっと私の喉を焼くようにして、なんだか胸のあたりにまで熱がこもるような気がする。

火村はすっと私から離れた。

「火村――?」

「――俺を欲しくなったら、呼べよ。待っててやる」

意地の悪い言葉に、私は火村を睨んだ。――抱いてくれとでも、いわせたいのか。

私は俯いて、こらえようとした。我慢できないはずはない。そんなこと、いいたく、ない。いえないだろう……。

火村は好きだ。サレルのも彼にならいいとおもわないでもない。

だがどうしてもその行為へは抵抗があるのだ。あんなところにあんなものを入れられて、火村の指や口に鳴かずには入られなくて――どうして、それを、欲しいと思っているなんて、彼に云えるものか。

なんなんだろう、この鼓動の速さは。熱を持って全身が疼くようだ――。呼吸が荒くなった私を火村が見つめる。もっと身体が熱くなってしまう。

頭がくらくらした。

熱に浮かされたように意識が朦朧としてきて、目が潤んでしまう。

クスリのせいだ。熱が一点に集まってくる。

火村は目を細めて私を見ていた。

あ、――もう、なんでもいい。どうせ、私は、火村が好きなのだ――。

「ひ、火村――」

「来いよ――アリス。俺だって、媚薬効かされてるも同じなんだぜ」

抱きしめられるとすぐに火村は私の前を探り、恥かしくも熱を持ってしまっているものに触れた。

「俺が欲しい――だろ?――いつでも俺は、アリスが欲しいんだぜ」

証明するように彼の熱を押し付けられて、私はもっと熱くなる。

「く、くすりのせいや、しょうがないやろ」

「ふふん」

火村はたちの悪い笑い方をした。

「なんや、――あっ」

そろりと撫で上げられ、耳たぶを口にされる。

「――あれ、せき止めシロップだぜ」

「―――っ!!」

「そんなに効くH薬なんて日本じゃ違法だ――だいたい、お前に一番効く媚薬は――」

私は火村の言葉を止めた。もう証拠を握られていては仕方がない――激しくキスして言葉を塞ぐ。

 


過去のキリリクエ、媚薬つかって……ネタでした。逃げた感が若干・・再アップです