ダイヤル・emory after


 

 気持良く晴れた朝である。リビングの薄いカーテンから爽やかな光が漏れている。

「しまった・・」

目覚めて、開口一番火村はそう言った。

「おはようさん。・・・どうしたんや、今日学校あったんか」

それなら、完全に寝過ごしたタイミングの起床である。すでに日は高く上っている。

「いや、今日は休みだ」

火村の一言をききとがめたアリスが疑問符をカオに浮かべている。

「なんでもない」

「しまった、って言うたぞ、火村。何か予定でもあったん?」

「……なにもないからしまったというか・・、もったいねぇ・・」

火村は珍しくも寝ぼけているようで、失言を続ける。

アリスは淹れ終ったコーヒーをカップに注ぎながら、ジト目で頭を掻く火村を眺める。

「・・・どーいう意味や」

「・・・いや、なんでもない」

もう一度、そう火村は繰り返す。アリスの目つきにようやく気がついたようだ。

「・・・やりにきたんかい、キミは」

駄目押しに、そうアリスは低く呟いてやった。

気まずさに火村は差し出されたコーヒーを黙って啜った。

淹れたての熱いコーヒーは猫舌の火村の舌を焼く。

すれ違う愛情の惨劇の朝である。

 

 


 

・・・蛇足でした(笑)