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       rimited――SEVEN DAYS SEX     byよるの かいが

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  ―― THU V ――

 

……どうやら眠ってしまっていたらしい。やはり適正な睡眠時間には足りない早起きだったのだ。朝早くから掃除をしたうえ、心地よく激しい運動をした俺は、そのまま寝入ってしまったのだ。

覚醒はゆるやかで心地よかった。

アリス……、と呼びかけて、俺は眉をひそめた。

柔らかな茶色い髪を乱し、いつものとおり薄く口を開いておだやかに眠りこけているはずの作家先生が見当たらない。

ハッと飛び起き、俺は頭を振った。

見慣れた、というか数時間前俺の手によって片付けられたとある推理小説作家の寝室。

ただし、ここに俺がいるときはあるはずのものが見当たらない。

ああ……アリスは眠りたりているはずだった。起きている、だけのことだろう。すぐに納得はしたが、いちど眉間によせたしわはゆるまない。

ダルイんだから、寝てたっていいだろうが。

――ようは、予想と違う目覚めのビジョンに裏切られたような気がかすかにしただけだ。

 

 探し当てた見たかったものの顔はみたいものとやや違っていた。

「……またかよ」

こっそり俺は口の中で呟く。アリスはソファに深く沈みこみ、俺のものよりはるかにふかいしわをよせた深刻そのものの表情で俯いている。

まあべつに、ご飯と味噌汁が出来てて、アリスがエプロンをしてキッチンにたっていて、おもわず、朝食よりおまえがたべたい…そんなんだめやひむら、食ってからにして……云々というようなことを予想していたわけでは……ああ本当に馬鹿なことを云っている場合ではない。

それにしても、またかよ。

なんでこいつ、やったあと、こう不機嫌になるんだ…。行為の後、アリスが俺より先に正気を取り戻した場合、なぜかアリスが思索にふけりはじめることがある。

「アリス」

返事もしやがらない。じろっと俺をみて、ふう…という重苦しい溜め息なぞつきやがる。

俺は勝手にコーヒーを入れる。朝食はやめだ。作ってやろうかと思っていたメニューをイメージのくずかごに放り投げ、タバコに火をつける。

いれてやらないつもりだったコーヒーのカップを二個だしてしまい、舌打ちして仕方なく両方にコーヒーを注ぐ。

カップを押しつけるとアリスはすぐに一口飲んで、俺をみた。感情らしきものがはじめて彼の顔をかすめる。…なんだ?

「……ごめん、あんな、ちょお……、すまん、ひむら」

顔を歪めて謝る。俺はだまってアリスを見つめた。

「…アリス」

どうした、という言葉は飲みこむ。だが、どうしたというのだろうか。

「…っ、見んどって。ああ、もお、いややなあ……」

「アリス」

「そんな声で『アリス…』なんて呼ぶなや、も…こんアホ、君ってなあ、もう……」

「…支離滅裂だ、アリス」

アリスの顔がしゃべるうちに明るくなってきたことにほっとする。…俺の声もあからさまに明るくなった。

「懊悩しとるんや。ほっとけ。……あー、もーあかん、ほんまなあ!どんな顔していいかわからん」

「……どんな顔てな、どういう意味の顔だ」

「…なんでもない!ほんまなんでもないって。ちょお、複雑になっとっただけや」

「セックスのあとだからってことか、そりゃ。……妙なこと考えこむな、アリス」

アリスの眉間にたてジワが再び深くよった。今度は俺がにんまりしたのを横目で見たのだろう。クッションが飛んでくる。受け止めて、俺が投げ返したのをアリスは抱きとめて不機嫌にじろっとにらんでくる。

……ふむ、不思議なもんだな。最初の「じろっ」には不安がそそられて仕方なかったのに、今度はひどく…色っぽい目つきだと映る。

「なんで君そんなに上機嫌なんや……」

「おまえはなんで不機嫌になるんだよ」

「……っ」

 ……そりゃあ、イタイからだろうな。ほうほうそういうわけね。先程丸めて捨てたはずの朝食メニューをおれはいそいそと脳裏から取り出して広げた。イタイうえに俺が上機嫌、おまけに体の痛みがあれのことを思い出させるから、痛い顔もおちおちしてられねぇってわけか。

むうっとした可愛らしいふくれっつらでアリスはクッションを抱きしめている。

 

「いつも、そうだったのか」

「なにがや」

「朝の苦悩のわけだよ」

俺の力作の味噌汁を吹き出しアリスは目を白黒させた。そして嫌そうな顔で俺を見る。

「まあそういうわけや」

とやけに簡単にいった後黙々と飯を口に運んでいる。

それだけでもないのか? 追求したくはなったが、やめておく。

「すまなかったな、アリス……だがもう安心してくれ…きっと痛くなくなる」

俺はそうとだけ告げて微笑んだ。

 

 

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