『メリークリスマス IN war』 シャア×アムロ
よるの
――つかの間の愛しさを分け合う。
宗教も種族も、季節やそれこそ一日の長さすら変わっても、人間の習慣には変わりないものとてもある。それとも必要だからだろうか。必要なものはなくならない。どんなにそれがばかばかしく意味のないものだとしても。
鐘が鳴り響いた。正確には鐘を思わせる電子音が、共通回線を通じて戦闘区域にいる者たちすべてに通達される。
すっと力が抜けた。絶好のタイミング――照射ポイントにガンダムの機体を捕らえ、まさに放つところだった。指から力が抜ける。その数瞬前に、ガンダムのパイロットが放った苦し紛れの一発が、シャアの紅い機体をすり抜け、宇宙空間の虚無に吸い込まれる。
放てばよかったか……?
シャアはクスリと笑った。
宇宙共通の非戦闘期間……あの青い星がこれからぐるりと一周するだけの時間、つかのまの平和を演じる義務を負う。
『無粋だな――』
機密保持のため回線を閉じる必要もない。鐘の音がとどいたままのオープンされた通信へとそうつぶやく。
しとめられなかったのが不満なのではない。――もちろんそれもあるが。せめて、弾丸を放ち、それを彼が、――どうするのか見届けたかった。
膨大な数の敵と味方入り混じるなかで、――ようやく攻撃可能範囲に、お互いを捕らえたばかりだったのに。
『……メリー、クリスマス、シャア…いっとく!よけられたよ、ちゃんと、あのタイミングじゃ…』
『ふふ、メリークリスマス。そうかね?アムロ君』