1周年記念特別室。 ・・だったお部屋。2005年追加コメント お蔵だしに伴ってこんなものまで再公開。いいのかなぁ・・。
お好きなとこだけ拾い読みされるもよし、始めから順に読まれるもよし。ま、その。一笑していただければ望外の極み。
とりあえず参加ジャンルは
服部・コナ(コナン) 京・関(京極堂) 御手・石(御手洗) 火・アリ(有栖川)
藤宮・我夢(ウルトラマンガイア) 服部・キッド(マジック快斗) メー・せつら(魔界都市)
喜多・犀川(森博嗣) メル・美袋(メルカトル) 深町・海江田(沈黙の艦隊)
以上10項目です。あれがないやン、というのもありますが。げ、限界(想像の)あの人がどーやって××…っての、という事情により……まあお読み頂けばわかります。だって考えてはならん!てこともこの世には存在するのだよ……。
では。→最初から読む
→以下の中から選んで読む
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
……押し殺した息遣いがした。コナンは、服部に用事があったのだ。蘭に見つかってコナンとして話すことになっては面倒と、こっそりと深夜、服部の部屋を訪れたのが不味かった。 親しき中にも礼儀あり、という主義のコナン(工藤新一)ではあるが、ノックなんかするのも、かえって憚られて、コナンは、どうせ中にいるのは服部だしなと、そっと部屋の中へ入った。 「???」 コナンはすぐに声をかけようとしたのだ。だがあんまり服部の様子が不審で、…まさか……と硬直してしまった。 こちらに背を向けて……夢中になっている服部は、いつもの鋭敏さのかけらもなく、まったく部屋に人が侵入してきているのに気がつかない。 ベッドの上にあぐらをかき、もぞもぞと手を動かし、その横にはティッシュの箱が。 「な!はっとりっ……」 やっぱり身体がコドモになってしまっている分、察しがおくれてしまったのか…コナンは服部が自慰行為をしていることに、気づくと同時に動転して、声を上げてしまった。 「……!!く、くどうっ…!うあ、なんっ…どっ……」 「な、なにやってんだよっ服部っ」 ごくんと服部が息を呑むのがわかった。ふるふると首を振る。手元を布団のうわかけで隠し、ちゃうちゃうと言う。なにがちがうってんだ…といささか冷静になって呆れ始めたコナンに服部はなおもいいわけする。 「痒いんや〜痒いんや〜痒いからかいとるんや〜」 そして思いきったように、掻くようなその動作を続けた。 それを呆然と見守るみかけはコドモ、頭脳は大人のコナンだった。 |
|
|
|
||
|
坂の上の古書店京極堂は骨休めの札をかけて、その戸口は閉ざされていた。鍵がかけられているのに、関口は首を捻った。千鶴子夫人が実家の京都に出掛けており、その間京極堂が一人でいるというので、関口は訪れたのである。 あれ、いないのかな、と何の気なしに関口は庭手へ回りこみ、声をかけるつもりが、ちょうど手をかけた戸がすっと開いてしまったので、そのまま上がりこんだ。まるきり忍び込んだも同然の非常識といえば非常識極まりない行動ではあったが、もう声をかけたつもりになって、関口はそのままぼんやりと座敷へ向かった。 ころは夕刻である。書痴の主人が、ほぼ四六時中書物を手にしているのを気遣ってか、京極堂宅は明かりに気を使っている。いつもあかるいそのあたりになにも灯をともしていないのが、ようやく少々関口を不安にさせた。しかし主人不在にあがりこんでいる事ではなく、古書が山と詰まれたこの薄暗いなかに一人いることが気味悪く、怪談めいた雰囲気があるなあなどと、息を詰めているのだから、やはりどこか関口と言うこの男は呆けている。 かすかに物音がした。小心の関口のその動きは、ハムスターなどの小さな鼠の類が物音にぴくんと首を竦めるあの様子そっくりだった。 なんだ、京極堂はいるんじゃないか…と関口はのそのそと出ていった。奥の部屋で、この古書店の主がなにをしているのかと、恐る恐る様子をうかがう。そしてその主の様子に関口は言葉を失った。 主は、自分の一物を手で弄い、欲望の始末をしているところだった。淡々とした様子である。赤面し失語した関口は目が離せない。 主は声も立てず往き、一つ嘆息をつくと、紙で汚れをぬぐった。 京極堂は身じまいを整え、そのまま部屋を掃除し、さて、座敷で読書にもどろうと、部屋を出る段になって、廊下の片隅に、蹲りこちらを凝視する男を見つけて仰天した。 「どうしたんだ関口君しっかりしたまえ」 関口はどうしたことか鬱だかなんだか、ただならない様子である。 関口の身体を揺さぶり、正気に戻すために、その原因をいぶかしみながら声をかける京極堂だった。 |
||
|
|
||
|
天気がよく小春日和だった。カーテンを開け放ってあるからいっぱいに日差しが入りこんで、気持ちがいい。明るいキッチンで息抜きの紅茶にお湯を注ぎ、葉が開くのしばし待つ間、石岡は背伸びをした。 イラストを3枚ほど今週末には仕上げる仕事があって、朝から石岡は自室にいたのだ。石岡の部屋には窓がないつくりなもので、こんなに気持ちのいい天気であると知ってしまうと、自分の部屋へ戻るのがいささかおっくうだった。 こっちで仕事をしようかなあ、でも道具を運ぶのが手間だし…日差しが強すぎるのも色が見難くって…などと思った。とりあえず紅茶は日の差すリビングで飲もうと思い、朝からそのテーブルで昨日どっさりと送られてきた専門誌を読みふけっているはずの御手洗のぶんと自分の分とを両方とも運ぶことにする。 御手洗は興奮していた。読んでいるのはあの名高いサイエンスである。よっぽど彼の興味を引く内容の論文があったのだろう。「おもしろい、じつに面白いよ、これは!」との昨日から御手洗は興奮しきりで、送られてきた科学専門誌のなかから関連する文章をあさり読んでいるのだ。 たまに、英語らしき(というか日本語ではないがただの奇声だと石岡は思いたくないのできっと外国語であって欲しい)言葉の叫びが今朝から聞こえていたので、まだそこで読み耽っているはずだった。 ティーカップを両手に一つずつもち、キッチンからリビングへ踏みこんだ石岡は、そのまま動きを止めた。テーブルには本が散乱し、その上には裏の白い新聞公告が撒いてあって、そこには石岡にはまったく意味のわからない数式化学式が書き散らされている。そして御手洗は片手で、その続きを書きながら、もう片手を自分の股間にあてがっていた。「えっ!」と石岡は思わず御手洗の左手の方に視線を落としてしまった。やわらかいスウェット地のズボンのなかにそれはもぐりこんでいる。 「ああ!なんて事だ、T#%W××UE?!」 後半は聞いたこともない言語である。酷く興奮した様子で、さぞ難解であろう雑誌を食い入るように見つめながら、御手洗は、左手を激しく動かした。「んっんっああっ!」 「ちょ、ちょっと、御手洗……」 石岡の声に、ん?と御手洗は顔を上げた。はっと慌てる石岡に御手洗はなんら動じなかった。 そんな難しい本読みながらなにやってるんだ。ナニしてるの?それにしてもそんな数式を考えながら勃つものか……パニックがかって、危うくカップを落としかけ正気に返る石岡に御手洗は平然といった。 「やあ石岡君ちょっとまっててくれたまえ、いま手がはなせないんだ、すぐ終わるから」 |
||
|
|
||
|
火村が夕陽丘を訪れたのは4日前からになる。こっちにちょうど出張で、ここに泊まらせてやっているのだ。しかし私はちょうど締め切りまっさなか。雑誌に掲載のための掌編で枚数は少ないが、だからこそ、けして破ってはならない締め切り中の締め切りである。もちろん、本当に間に合うかどうかというほど危ないわけではないのだが、いささか苦戦して、この4日間は生きた心地がしなかった。 火村は邪魔せず、私の住環境を整えるのに気を使ってくれて、本当に有り難かった。いい居候もあったものだ。同い年の男とは思えない。 無事担当に原稿を渡し、チェックも済んだ。悪いな…と思いつつも肉体の欲求に逆らえずベッドに飛びこんでしまった。それが昼過ぎのこと。目がさめてみれば、夜も更けていた。 多分もう眠っているだろう火村を起こさずに置こうと、そっと置き出すと、キッチンに、夕食が、一人分ラップをかけて置かれている。火村の寝ているはずの部屋を拝むような気持ちで、有り難くいただく。 食事も終え、睡眠は足りている、という元気を回復した状態になると、つい、火村は置きとらんかな、と言う気になってしまう。まだ、そんな寝付くほどの時間ではない。11時。まあ今朝は火村はかなり早朝から出掛けていたのだけども。明日は休みなんだし。起こしたら、まずいか? と、そっとのぞく。何だ、明かりがついてるではないか。起きていたらしい。なら黙って一人で食べずに、感謝の言葉を浴びせながら食べればよかった。 がちゃっと何の気なしに明かりを絞った室内に入って、私はびっくりとしたが火村はもっとびっくりとしたらしい。 「ア、だっ、ひ、むら、っ……」 意味のない言葉が私の口をついてでる。くるりと回れ右して、ばたんと出ていった。脈拍が上がっている。……心臓にわるい。一瞬だったが私はすべて見届けてしまっていた。 低く唸るようにうめいていた彼。器用なことはよく知っているあの指で……。そうか、火村もそんな事するんやな。当たり前か。いや、その。 長く長く逡巡したが、ばたばたという火村の上げる音がしばらく気になりそれがおさまったら、なんだか、このまま顔を合わせないのも、おかしい気がし、長々と迷ったうえで私はビールを2缶抱え、ドアを開けてくれと強請った。 「どうぞ」憮然とした顔で、火村はさっきまでのことなどきれいに跡形もなくした上で、そういった。 「はい」私はビールを渡す。火村は引ったくるように受け取り、乱暴に口をつけた。 「あの。も、ええんか?なんなら、おれ、部屋引っ込むし。その。ま、はは・・。」 火村は凶悪な顔をした。やばい、身の危険を感じるぞ。 「いや、ちょお驚いたけど、その、そんな顔せんでもええやん……」うっ。失言を重ねているぞアリスガワアリス。しかし私の口は止まらなかった。まさに災いのもと。 「きみっ、一人でするとき、それ使うんやな。びっくりやわ」そう、気になっていたのでつい聞いてしまった。火村はコンドームをはめてマスターベーションしていたのだ。びっくり。私はそんなものをはめて一人でしたことがない。 そういえば、火村は私とするときは使わないぞ、たしか、あんまり。 「おい、それ一人のときようか?そういうやつ用の?」ハメルと一人でするときでもイイ感触、なそれ専用の特別品だったりして。そういやどっかでオナニーカップとやらいう珍商品を見かけたことがあるぞ。使用するときの予想体勢があんまり惨めっぽくって笑ってしまうな、と思ったのだ。どんな顔して買ったんだろう。火村が。 「……おい、アリス」 「なあ、なあ……」「アーリースっ!」 やれやれと言った感じで火村は頭を抱えてしまった。わしゃわしゃと頭をかきむしっている。「これは普通の。大体前からここにあったやつだ。使ってしていたのは、ソファ汚しちゃ不味いからだっ。以上!」文句あるか、という顔で睨まれてしまった。 私が笑い転げてしまったのはいうまでもないことである。 |
||
|
|
||
|
目が覚めると、これまでのダルさが抜けて体が軽くなっていた。 思いがけず長引いていた風邪が快方に向かったのだろう。 我夢は久しぶりに爽やかな気分でベッドから降りた。 昨日までは付きっきりで、うるさいくらいに看病してくれていた藤宮の姿がない。 疲れちゃったのかな?と少し心配しながら我夢は藤宮の姿を探してベッドルームを出た。 眠っているかもしれない藤宮を起こさないように、そっと扉を開ける。 求める姿はリビングのソファの上にあった。 深くもたれかかった後ろ姿の肩が微かに揺れている。 「 … ? 」 妙に荒い息遣いと、ふと漏れたうめくような声に、我夢の踏み出しかけた足が止まった。 ―――これって、もしかして。 ―――自分で、シテルんだよね…? 疑う余地もなく、この乱れた呼吸と微かなうめき声は聞きなれたアノ時の藤宮のものだ。 とにかく見なかったことにしよう、と我夢がそろそろと後に戻りだしたとき、 「我夢・・・」 「え? 」 突然、名前を呼ばれて思わず反応してしまったが、その声に驚いて振り向いた藤宮の表情を見て、藤宮は自分を呼んだ訳ではなく、睦言のように唇からもれただけだ、と悟った。 が、もう遅い。 「そ、そんなことしながら、人の名前呼ぶなよなっ」 あまりの気まずさに、我夢の口から出たのはそんな言葉だった。 「なにが悪い・・・」 悪戯を見つけられた照れ隠しのように、短く藤宮が答える。 「気持ちワルイじゃないか、そんなの。」 別に気持ちワルくはなかったのだが、ついそんな風に言ってしまった。 「おまえの名前でなければいいんだな。」 ふっと藤宮の目が細められる。居直ったらしい。 そして、藤宮の右手は中断していた運動を再開した。 他人の目の前で自慰行為をする、というのは相当の覚悟が要ることだろう。 藤宮は意思の強い男だった。 最後までヤりとげた上、エクスタシーの瞬間、恋人のもうひとつの名前を叫んだのだ。 「ガイアー」 と。 |
||
|
|
||
|
服部平次はベッドの上に寝そべり、ぱらぱらと雑誌を開いていた。 あ、あかん……かすかに呟く。 ちょっと、そんなにいやらしい本なわけではないのだが。欲望が兆した。 たまっとる、なあ、あかんな……と少しの罪悪感はあったが。自室で一人きりだ。すっきりしようと、ティッシュの箱を引き寄せて、ゲンキな息子をなだめはじめる。 折角だから、雑誌をめくりそそるところを使用する。 ひとしきり夢中になり。 終えて、初めて、カーテンがはためいていることに気がついた。 「!!」 もとから開いてたか……いいや、そんなはずはなかった。ただでさえ寒い季節、窓を開けていれば気がつく。そんなことをいいする前に、カーテンを揺らがせた原因はすぐに、姿をあらわした。 「のわっ!キッド!」 「バッドタイミング……ってところだな?失敬」 「い、いつからっ」 「んん、ゴメン、服部、一人でしてもハヤイんだな」 「っ・……」 「もったいない。もうちょっと……」 「!!」 「せっかくオレが来てやったのに。一人よがりはよくないぜ?」 「……余計なお世話じゃ!あほっ!」 思わず目に涙を滲ませて叫ぶ服部だった。 |
||
|
|
||
|
青く発光する通路をせつらは進んでいた。旧 誰一人として、ここの院長の許可なしには行き着けぬ院長室に道を知っているわけでもないのに、自然に歩み進むと行きついてしまうのだ。数あるメフィスト病院の不可思議のうち、たどりつけぬ院長室にたどり着けるかれはもっとも不思議なものの一つだ。だれもそれを不思議とも思わないけれども。 ―――かれは西新宿のせんべいや、秋せつらにして、ここは<魔界医師>の病院内であった。 珍しい死体があったのでせつらはアルバイトをかねて、メフィストに売りつけにきたのである。もちろんそれを死体にしたのはせつらなのだが。余談だが、それでなくとも<糸使い>秋せつらが生産した死体が高値で取引される、そしてその引き取り手がここであることは、<新宿>でもっとも信憑性の高い儲け話である。 青い院長室のなかで月光のごとき白い医師は、夜をまとった青年に向かって、薄く笑った。せつらの持ってきた死体を値切っておいて、さて、とメフィストは言った。 「寄っていかないかね?私は下にいる」 「ふうん。もう僕は用が済んだからいいんだけど。これ、あいつに渡しておいてくれれば」 土産のせんべいを差しだす。それにメフィストは首を振った。「直接私に渡してやってくれないかね?そのほうが嬉しいらしい。そう、あと2割増しになるかも知れない」 死体の値段のことだ。「そうお?」と美貌をほころばせ、せんべいやの若旦那は地下の実験室に向ったのだった。 なんの案内表示もなく、また糸も使ってはいないのに、やはりカンだけでせつらはメフィスト病院の中でもその存在すら疑われるもはや伝説の実験室にあっけなく行きついた。 遠慮もなく、入るよ、と声はかけて、せつらはその部屋に入った。どういう仕組みか地下室には月光が冴え冴えとあふれ、常緑樹がひしめいていた。 白い医師は、巨大な水槽の前にいる。いささか興味を引かれ、さまざまの得体の知れない品々を見まわしせつらは近づいた。メフィストは微笑して振り返った。 その姿を見つけ、せつらは冷たい顔で白々とそのDrメフィストの現在も続行中である行為が終わるのを待った。 せつらでなければ見蕩れ、2度と正気に返れず、恍惚のただなかにさ迷いかねない、けしからぬ情景だった。芸術品のように繊細な手指は、妖しく自身を弄う。 「変態医者。来るんじゃなかった」 「誤解だよ。さて……」 月の雫が結晶化したような、こぼれたそれをメフィストはそっと青いフラスコのなかに閉じ込めた。奇怪な反応が次々起こるそれを手早く水槽にあける。「ますます悪趣味だな……」ようやく何をしているか、思い至った。神話時代の錬金術に則ってホムンクルスを作っていたのだろう。 「べつに私のじゃなくてもいいんだ。ついでだから、君も協力したまえ」 もちろんせつらは無言で徐々に出来あがりかけたホムンクルスとやらをずたずたに糸で裂いたうえ、黙って実験室を後にした。 |
||
|
(なにをしているんだろう) 壁に背をつけたまま、犀川創平は目を眇めた。視線の先にはあくまでも友人の喜多北斗がいる。友人の、としかあえて彼の前につける言葉を犀川は持たない。 (ああ、そう・・) 慌てても、おかしくはない状況だったが、このときの犀川は冷静だった。驚くポイントを過ぎると、感受性は機能せず、情動に変化が起こらない。自然に胸元のタバコに手が伸びて、煙を吸いこむ。喜多の自慰行為を見るともなしに見ながら、タバコを吸う。 早く終わらないかな、とじっとしている時間の無駄さに苛立ちを感じる。 意外と見苦しくない。コミカルではある、が。ふうん、とほとんど感心しつつ犀川は眺めた。仕方ない。ほかに見るものがない。 「……創平? あ、れ……おまえいつからそこに……」 「ああ。ご免。ぼうっとしていたみたいだ・・」 喜多が口をあけた。終わってしばらくした後、身じまいをしながら、顔を上げた喜多と視線が合った。 「って。創平。おまえ・・」 「ノックしたんだ。まあ、かまわないだろう?コーヒーいれてもいいかい」 カップにストックのコーヒーをいれ、レンジで温める。 喜多の顔が、紅潮し、少しこわばり、一瞬、動じかけ、スッと収束するように収まり、顔から赤みも引き、決まり悪そうな笑みが浮く。すばやい感情の流れは予想がつくだけに解りやすく、犀川に少し、悪戯を思いつかせる。からかいたい、という気持ち。 「じゅう、ろっかい、かな。これって喜多の平均値?」 「………」 平然、を装った顔が、もう一度崩れた。「かぞえてたのか、まさか」唇が引きつっている。笑うみたいに。犀川は頷いた。犀川は、喜多が、犀川の中でする運動回数平均値よりそれが少ないことにクレームをつけたい誘惑にかられたが、やめた。意地をはって、これ以上回数を増やされてはたまらない。 |
||
|
メル・美袋(メルカトル)9 |
||
|
美袋三条はあわてふためき、とにかくメルカトル鮎の自宅からまろび出た。 脳裏に、さっきのとんでもない光景がよみがえる。 美袋は年に一度の気まぐれにかられて、悪友のメルカトルを訪ねたのである。間が悪かった。声をかけパタンとドアを開けると、不機嫌なメルカトルの顔があった。 そりゃ、なにをかれがしていたのか、一目瞭然だった。はだけられた衣服。黒い上着は脱ぎ捨てられドレスシャツの前が開き、サッシュベルトが解かれ、メルカトルの白く均整のとれた肉体が半ばあらわになっていた。豪奢な客用ソファにもたれかかり、白い煙をくゆらせながら、自分の肉を弄んでいた。 あまい香りが煙からはした。……たぶん、よくてマリファナか、その類だろう。 タキシードをはだけ、贅を尽くした洋室で自慰に耽る美青年……あまりの淫らさに、美袋は慌て、驚き、うろたえた。立ちすくむ美袋を、メルカトルは嘲った。 流し目をくれ、平然と続ける。 しどろもどろに美袋は謝ってしまい、なんやかやとわけのわからないことをいって、部屋を出た。そして逃げるようにメルカトルの邸宅から、逃げ出したのだ。 動転から立ち直ると美袋は腹立たしさと口惜しさに歯噛みした。あんな行為を見られて慌てるべきなのはあっちではないのか?だいたい怪しげなクスリまでやっていて。今すぐ、警察に通報してやろうか…。 「あ! 写真にとってやればよかった……」 そうしたら、脅しになったのに。 自分の浅はかさを悔いる美袋だった。 |
||
|
|
||
|
長めの航海からかえり、長期の休暇が珍しく二人で重なったのだ。同時期に作られた同型の潜水艦である、たつなみ、やまなみが定期検診の時期となった為である。たつなみの艦長深町洋は、やまなみの艦長海江田四郎のマンションに転がり込んでいた。潜水艦のなかというのは、じつはそれは恐ろしい環境である。水はもちろん空気、何から何まで使用制限がある。不自由はもちろん極まりないが、その不自由さを超える魅力はある。光差さぬ宇宙にも似た深海を、彼らは探信音波をたよりに進む。常に未知へと探り進む恐ろしくも魅惑の冒険だった。巨大な艦を自らの体躯のよう扱い、海をどこまでも行く巨鯨のように。 が、それでも地上にあがったそのときの喜びは喜びなのだ。甘い空気をどこまでも味わい、思いきりタバコに火をつけ空気を無駄遣いする。ましてや、同じ海にいても、巨大な鯨どうしけして近づけないお互いをそばに置くことすらできる。 ほう、と深町はつくづくと海江田をみた。不自由できつい深海もこの男だけはきっと人魚かなにかのように、やさしくむかえてしまうのだろう。白くつややかな頬は海でなお磨かれたようだった。 「深町、きさま、そう銭湯の煙突ではあるまいし、そう立て続けに煙を吐くな」 「いいじゃねぇか。空気くらいけちけちすんな」 フフと笑われる。からりと窓が開け放たれた。寒い。それに文句を言うが無視される。 海江田はしばらくぶりの自宅に、点検に余念がない。しばらくすると、買い物にいくといい、深町が一緒にと言い出す前にさっさと出掛けてしまった。 上機嫌だ。 愛想はないし深町をもてなすでもないが、彼が上機嫌なことは長い付き合いの深町にはわかる。こりゃあ、ちゃんとごちそうにありつけそうだな、と海江田の、もう何ヶ月ぶりにもなるそのしなやかな体つきを思い出す。海江田はひそやかだ。どこかやはり海の気配のする男なのである。だからこんなにひかれるのか。身体は深海魚めいて白く、熱くなってもどこか冷たく、そしてどこまでもしなやかで柔らかい。ぴちぴちと、腕の中でのたうつ海江田のそれでいて、理知的で澄んだまなざしを思い出す。 ごくんと、深町は息を呑んだ。深町の数ヶ月、活躍することが出来なかったムスコが我慢ならんとばかりに暴れている。 こんなんじゃあ、あいつを見ただけで暴発してしまいそうだ、と自嘲する。がじっさい笑っていられる問題ではない。そんなみっともない。えい、一発抜けば、もつだろうとばかり深町は手早く前をくつろげ、やりだした。 買い物と言うから小一時間はかかるだろうと思っていたのだ。それが最大の誤算だった。うっ、とイきかけたそのとき、ドアは開き家の主は、怪しからぬ行為に耽る情けない顔をした男を見つけたのだった。 「わ!まて!話せばわかるっ、おい、海江田っ」 こいつは本気で怒ると無口になるうえ、表情が固まる。 「いいから、出ていけ。非常識にもほどがあるというものだぞ深町」 「こりゃあ、そのっ、いいじゃねぇか、のっぴきならないときだって、男にはあるものだ!許せんのかそのくらい、貴様は」 容赦なく海江田は深町の荷物を玄関に運び出し、力ずくで深町をドアの外へ追い立てた。海江田も軍人である。細くともそれなりに腕っ節はつよい。まして深町はいきり立った下半身を抱えたままなのである。押されるがままに、外におっぽり出されてしまった。 「まってくれ!海江田、せめて最後まで…」 いかせてくれ出てくから、と言う言葉は、がしゃんと閉ざされたドアの向こうには届かなかった。 |
||
|
|
ネタを拝借してます。服部コナンのネタは中島らものエッセイででてきたのと、火村のネタは内田春菊のなんかのマンガから……うう、本が手元に見当たらんもんで……。
一周年記念が終わったあとのこのページの処理にこまってます……うーんうん。どなたが要りませんか、ばら売りしますが(笑)ええん、どーすんだよこんなん。
ちなみにないのは、がんだむと銀英伝です、(と、悪魔の黙示録)
あの方とあの方でどーすりゃいいんだ、とけっきょくあきらめちゃいました。
ラインハルト陛下にはそんなことをお見せしてはいかん!
シャア総帥のそんな姿は想像つきません。一人でなどなさらぬぅ…
と言う葛藤がね(笑)