PARISでブラブラ
その1 スーツケースでパリへ行く!!
2000年の10月半ば、10日間の日程でパリへ旅行した。その時のパリの印象や、新たに見つけたお勧めポイントなどをまとめてみた。
10月16日。パリ着。今回は私にしては珍しく「バックパッカースタイル」ではないので、市内までの交通も、普通なら絶対に使わないタクシーをチョイス。このあたりからして、今回の旅はちょっと違うのである。なんたって今回の旅のコンセプトは「バックパッカーっぽくない旅」なのだ。エッヘン。(と威張る)
海外旅行のとき、私はいつもはリュック、ショルダー、手提げの3種類に変化する3WAYのバッグを愛用しているのだが、今回はサムソナイトのスーツケースである。
このスーツケース、実は10年前にパリで買ったもの。
当時ももちろんバックパッカースタイルだった私だが、クリニャンクールの蚤の市でガラス製品を買い込んでしまって、割らずに日本に持ち帰るために買ったのが、このスーツケースだった。
以来、このスーツケース、ダイビング道具を持ち運ぶのに使った以外は、一度も海外旅行に出番がなかったのだけど、今回は「里帰り」も兼ねて、久々のお役目となったワケなのだ。
しかし慣れないスーツケースでヨタヨタとパリまでやってきた私は、もうなんだかそれだけで、パックツアーの団体旅行をしている気分。
なにしろスーツケースだと、荷物をしょって走ることも出来ないし、歩くときはガラガラと音がしてうるさいし、なんだか手かせ足かせはめられて自由を奪われた感じ。
でも世の中を見回せば、大半の日本人はスーツケースをガラガラ引きずって海外旅行をしてるんだから、あえて文句は言うまい。この不自由さも修行と思えばよいのだ。
さて、スーツケースを持ち、まっとうな旅人に身をやつした私は、ルノーのタクシーで一路市内を目指したのだ。なんたって今回はホテルを予約してきているのである。エッヘン。(と、自慢するほどのことでもないか・・・)
今回予約してきたホテルはボーマルシェ大通りから一歩入ったところにある「ホームプラザ・バスティーユ」というホテル。
このホテルを選んだのには実は2つの理由があるのだ。その一つはこのホテル、小さいながらもキッチン付だったこと。
これはパリに限ったことではないけど、旅先で市場とかデパートやスーパーの食品売り場を見て歩くのを常とする私にとっては、ちょっと面白そうな食材を見つけると、どうしてもそいつで料理をしてみたくなるのだ。でも普通のホテルじゃ、それは不可。だからといって、ナマモノは日本に持ち帰るわけにもいかない。だから「クソ〜・・・残念っ!・・・」という憤りを感じることが多々あるのだ。
東南アジアであれば川魚や鶏肉、香菜類、ヨーロッパであれば、内蔵系の肉類やハーブ類など、見るからに魅力的な食材が並んでいても、手が出せないのは実につらい。
てなわけで、今回は、どうしてもキッチン付のホテルに滞在したかったのである。
理由その2は、このホテルがボーマルシェ大通りのすぐ近く、ってこと。
この大通り。実は知る人ぞ知る「クラシックカメラ専門店密集地帯」なのだ。
ちょっと前から日本ではクラシックカメラが一種のブームで、街のカメラ店には、なんだかワケの分からんレアなカメラもたくさん入荷してるし、昨日まで「最新型一眼レフ命」だったオヤジ連中までが、急に「古いライカのレンズの魅力」なんかを語り始めたりしてる。
この流行自体は、ちょっと唐突でブキミな感じだし、以前から古いカメラを集めてきた私にとっては、なんだか嬉しくない流行なのだが、この流行の仕掛人というか、教祖と言えるのが、写真家の田中長徳氏である。この田中長徳氏の本にもわざわざ紹介されているくらいに、この大通りには、クラシックカメラの専門店が集まっているのだ。
というわけで、そいつを今回、じっくり見てやろうと思うのだ。
このホテル。予約は東京のHISでとってもらった。HISの人にホテルの評判を聞くと、「特に悪い話は聞きませんから、まぁ、多分問題ないんじゃないでしょうか・・・」とのこと。何やら弱い。「・・・あ、そう」としか答えようがないですな。
さて、というわけで、タクシーでホームプラザ・バスティーユに到着したのだが、ここのホテルの構造をちょっとご説明しよう。
普通はホテルというと、広い専用の敷地内に新館、旧館、プールなどが並ぶ「大学のキャンパス型」ホテルか、あるいは街中にドンと大きなビルがあって、その建物の中にいくつものレストランやホールが入っている「大企業の本社ビル型」ホテルの、どちらかのパターンが多いと思う。
ところがこのホームプラザ・バスティーユ、ちょっと変わっている。あえて名づければ「向こう三軒両隣、横丁の長屋方式」ホテル、とでも言えようか。
すなわち、袋小路になっている路地に面している建物すべてがホテルになっていて、その路地がホテルの中庭になっている、という構造なんである。もちろんこの路地には部外者は入れないようになっていて、そこはホテルの宿泊客専用の「横丁」になっている、というワケ。
このホテルは「キッチン付」という特徴からして、やはりある程度の長期滞在者が多いようだが、一方で「貸会議室」がいくつかあって、そこを利用しているビジネスマンの姿も多い。
特に朝食付とか昼食付の会議が目に付く。ホテルの食堂で朝食を食べていると、そういうビジネス利用の客だろう、スーツ姿で書類を持って食事している連中がかなり目に付くヘンなホテルなんである。
ちなみにここの朝食は、朝食専用の食堂でとるのだが、これがなかなかいい。特に豪華な内容ではないのだが、パンがうまいのだ。
このパンを半分に切り、ハム(これがまたうまい)をバターをはさみ、ちょっと塩、胡椒を振って作るサンドイッチはもう最高。
妻は朝から大量にものを食べる人なので、こいつをいくつもたいらげてしまう。
もちろんこのホテル、日本人客もいる。私たち夫婦が滞在している間、初老の夫婦と、OL風の女性の2人連れが、それぞれ1週間ほど滞在していた。どちらもフリーの旅を楽しんでいる人たちらしかった。
しかしそんなホテルに、ある日、「近畿日本ツーリスト」のバッチをつけた団体さんがドドドドッとやってきたが、なんと1泊でワワワワッと去っていった。
うーむ、せっかくのキッチン付の長期滞在型ホテルにわずか1泊とは・・・恐るべき団体パワー、波涛のごとくやってきて雷神のごとく去っていく脅威の行動力!これぞ神風ツアー!!。
・・・やっぱり私は、団体旅行にはついていけない、と、その時強く思ったのだった。
ついでにそのホテルの部屋についてちょっと触れよう。
広さは普通のホテル並。広告に「オールスウィート」などと謳っている割には部屋は広くはない。しかしまあ、パリ市内の古い建物を中心に構成されているホテルだから文句は言うまい。
そして部屋のドアのところに、小さな流し台と電磁コンロ、そして冷蔵庫がついていて、一応食器やヤカン、フライパンなども一通り揃っている。ま、ワンルームマンションというか、ウィクリーマンションを連想してもらえば間違いないだろう。
というわけで、キッチン付にしては広くない間取りだけれど、けして不便ではない。
(続く)
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