MacintoshやWindowsでは日本語のフォントと英文フォントが使えます。日本語フォントがなくてはメールも出せませんし、文章も書けません。今では当たり前のように使える日本語フォントですが、Mac創世記の頃は書体のバリエーションも少なく、お世辞にもデザインが出来るなんてレベルではありませんでした。
初期のフォントはビットマップフォントと呼ばれるものでした。
ビットマップフォントはスクリーン表示用フォントで解像度も72dpiしかありません。10ポイントの文字なら10×10のマス目をいくつ黒く埋めるかで文字を表現します。このため10ポイントの文字を拡大するとギザギザのある文字になってしまい綺麗ではありませんし印刷することもできませんでした。
1985年*Adobe Systems社が開発したPostScript Font〈ポストスクリプトフォント〉が登場します。
PostScript fontは文字の情報を図形としてではなくページ記述言語という数式(プログラム)で持っているのが特長です。またPostScriptというプログラムはデータをプリンタに送る際にデータが軽い、つまり少ないデータ量で済むのが特長です。この技術とPagemekerというソフトが登場したことによりAppleはDTP-デスクトップパブリッシングという考え方を打ち出します。またAppleはLaserwriterと呼ばれるPostScriptプリンターを発売、Macを使って印刷まで一連の作業環境が提供できるようになります。その後印刷会社などが製版行程にPostScript技術を利用する様になると、PostScript Fontはプロ仕様のフォントとして定着していきます。
1989年にTrueType Font〈トゥルータイプフォント〉と呼ばれるフォントがApple社とMaicrosoft社の共同開発で登場します。大きなサイズでも“ジャギー”つまりギザギザのでない美しい文字で、画面表示とプリンターでの印刷が出来ます。今もMacとWindowsは標準システムフォントに採用されています。TrueType Fontは価格が安く、ユーザが非常に多いのが特長でしょう。
詳しくはAppleの歴史について
>>アップルヒストリーhttp://www.ifnet.or.jp/~gucci/history/index.html
これまでのMacはPostScript fontとTrueType Fontのダブルスタンダードと呼ばれてきました。もともとPostScript英文書体は文字数が少ないため1バイトフォントと呼ばれ、Macにフォントがあればプリンターでの印刷には問題がありませんでした。
しかし日本語になるとそうはいきません、約7000字の文字を表示するためにはデータ量も大きく、2バイトフォントと呼ばれる形式になります。この結果印刷時プリンターにデータを早く送るためには、プリンター側にフォントのアウトラインデータが必要となり、プリンターフォントをインストールするPostScriptプリンターを使うようになりました。
ではPostScript FontとTrueType Fontのどちらを使うべきなんでしょうか?
パーソナルユースではTrueType Fontで充分です。価格が安いので数多く揃えられますし、また種類も多く発売されています。PostScript Fontはプロフェッショナル用のフォントと考えましょう。PostScript Fontには画面表示用のスクリーンフォント、再現性の高い画面表示フォント-ATMフォント、プリンター用の中低解像度フォント、最後に製版セッター用の高解像度フォントがあります。特に日本語フォントは著作権のため価格が非常に高いのが特長です。
ところで現在販売されているMacにはフォントの種類はいくつ入っているでしょうか? 実は3種類あります。私たちユーザは大変混乱しそうですが、PostScript FontとTrueType Fontそして新しくOpenType Fontが加わりました。OpenType FontはUnicodeに基づいたTrueTypeのSfnt形式を拡張(trueTypeにopenType共通のヘッダ情報を付け加えた仕様)したもので、PostScriptプリンターフォントがなくても 高解像度出力が可能な書体です。MacOS X で標準仕様となりました。
OpenType Fontのメリットは、フォントファイルがmacintosh・windowsのクロスプラットフォームであること。unicodeに基づいて字種として65,000文字まで収容可能であること、ハイエンドの出版ニーズに応える組版上の種々の拡張機能をサポートできることなどが上げられます。 これからプロフェッショナル用のフォントとして広まるのか?注目するところです。
私たちがフォントを使うとき、通常であればシステムフォルダ内のフォントフォルダにフォントをインストールすれば問題なく使えますが、自分のお気に入りの書体もあまり使わない書体も一緒に入れておくことになります。OS9以前のMacであればインストールできる書体数にも制限がありました、OS9移行はその制限も256書体に変更され充分なのですが、問題はソフトの起動時間が遅くなるとかOSの動作が不安定のなるといった問題が発生します。やはりたくさんの書体をインストールして使いたいユーザーは、フォント管理ソフトを使うべきだと思います。
Adobe Type Managerは、PostScript Type 1 形式のアウトラインフォントを画面表示やプリントアウト用にラスタライズしてくれます。また高機能版のAdobe Type Manager Deluxe[アドビ・タイプ・マネージャー・デラックス]はフォント管理機能がついています。
参考に→Adobe Type Manager【アドビ・タイプ・マネージャー】を使ってみる
今さまざまなフォントが発売されていますが、ほんの数十年前までは活字による印刷[活版印刷]が主流でした。新聞・雑誌に始まる印刷物のほとんどが活字と呼ばれる字母を使った印刷でした。ハネやトメがある明朝系の文字とそれらを省略したゴチック系の文字、大別して2通りの文字で表現がされてきました。その後活版印刷から製版印刷へと印刷方式が進歩するにつれて写真植字が登場します。写真植字は原盤上の字母をレンズを通して拡大して使うことが出来、現在のフォントの原型となります。日本語を印刷用に組んでいくことを組版と呼び、その技術や考え方は今のデザイン・レイアウトソフトの基本となって残っています。この様な歴史の中で日本語を表現する文字は、これからどのように進化するのでしょうか。いささか個人的な想いが入った文章になってしまいましたが、日本語を綺麗に表現できるように心がけていきたいと私は考えています。
フォントを使ってタイトルや文章を表現する場合、その内容や意味によって使うフォントが決まってきます。優しさや柔らかさなら明朝書体を、力強さや確かさを意味付けしたいなら太ゴチック書体というように、使う書体が表すイメージを考えてみましょう。英文も日本語の場合も大切な要素として文字の間隔があります。カタカナの“イメージ”とひらがなで“いめーじ”とそして英文の“Image”では文字の間隔はそれぞれ微妙な部分で変わってきます。それぞれの書体が持つ特有のプロポーションで文字が持つ表現力が変わってしまうからです。
綺麗に見せたいと思うならひとつひとつの文字のバランスを、よく見て考えて下さい。
昭和の初め日本語は縦組が主流でした。その基本原則を留めているのが新聞です。新聞の文字は横幅に対して天地がつぶれた形になっていて、縦に文字が組まれた際に読みやすさを考えた文字といえます。これに対して私たちが通常見かける雑誌には特に決まりがありません。むしろページを見る印象を大切にするため、いろいろに変形されていたりします。
街を歩いていて見かける銀行や商店の看板も、道路標識や地下鉄の駅にも文字はあふれています。英文だけのロゴタイプや創作された日本語の看板、分かり易く表示されたピクトグラムなど情報を伝達する記号化した文字はたくさんあります。日本人は器用なのか英文とひらがな、漢字を巧く使い分けているように私は思います。
ひらがなと漢字の組み合わせ表現する日本語は、中国や韓国の漢字圏文化の国ともひと味違う表現がされ、今後も表現の幅が広がっていくことでしょう。この世界に興味がわいたら、日本タイポグラフィー協会・味岡伸太郎のホームページへどうぞ。
■フォント関連のホームページ■
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