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ご飯のすすめ

アイコン 結腸がんが増える

日本人のがん死亡者数は1995年には年間26万人あまりで,がんにかかる医療費は膨大,2兆円近いのだ.年々増加している.がんの特効薬の開発にはまだまだ時間がかかる.
 がんの種類も変化がある.胃がんが減ってきて,大腸がんが増えてきた.食事が欧米化してきたからだ.25年間に胃がん約半分に,大腸がんは3倍になってきた.
 このような変化は食生活の変化と深い関係があるようだ.そのことを示すいい例がある.日本からアメリカに移民した日本人は胃がんの発生率が減って,大腸がんの発生が顕著に増えているのだ.がんは遺伝だ,遺伝子病だと考えられがちだが,そうではなく,食事を含む環境要因が重要だということだ.

アイコン 肉料理はひかえめに

食事の欧米化が問題視されているが,ではそのどこに問題があるのか.日本における私たちの食生活が動物性食品を主体とするようになってきた.肉料理はおいしい.焼肉,ステーキ,すき焼き,しゃぶしゃぶ,あのおいしさはたまらない.そんなためか,とにかく肉類と動物性脂肪の消費量はいずれも1960年ころの4倍に高度成長だ.
 反対にご飯(こめ)の摂取量は半分近くに減ってきた.この変化は二重に問題をはらんでいる.肉類,動物脂肪の増加からくるマイナス,ご飯の減少から受けるマイナスのワンツウパンチなのだ.きびしい事態だ

 洋食の割合が極端に増えると,たんぱく質が腸内細菌の腐敗活動を活発化させる.そのあげく,発ガン促進物質や発ガン物質ができる.肉類のうちでも,赤肉(牛肉,豚肉)は発癌物質がたくさんできるというのだ.また,動物脂肪の摂取も多くなることは明らかで,そうなれば胆汁の分泌が盛んになり,これががんの促進になるのだ.
アイコン ごはんのすすめ

反対にごはんを十分食べると,大腸の発酵が盛んなる.特に,でんぷんの発酵からは酪酸がたくさんできる.酪酸は大腸がんの細胞をアポトーシスによって突然死させるのだ.またがん細胞を正常な細胞に変える力ももっているすぐれものなのだ.アポトーシスというのは細胞死を支配する遺伝子の働きによる現象である.
 酪酸はでんぷんから盛んにつくられるが,食物繊維特に不溶性の食物繊維からもつくられる.外国では研究が進んでいるが,その中に,でんぷんの消化力がいい人は酪酸が少ないし,結腸がんの発生率が高いという報告がある.それでいて,酪酸は正常な細胞にとってはエネルギー源として利用され,粘膜の健康に役立っていることがわかってきたのだ.

アイコン 食物繊維の摂取はほんとに減っているのか

食物繊維が大腸がんの予防に役立つというが,むしろ日本食の日本食たるごはんのでんぷんが大腸がんの予防にもっとも有効なのだ.食物繊維の摂取が減っているというが,そんなに減ってはいないのが事実だ.
 この減少は終戦直後の昭和21年(1946)には1日28グラム程度で,確かに高いが,これは終戦直後の経済状況下での特殊な数値なのではないか.この頃は食糧不足でイモ類が多かったことに関連するデータなのでは?むしろ昭和30年(1950)を起点にして検討するのが正しいのではないか.当時22, 3グラムだから,現在はせいぜい5グラム程度の減少に過ぎないのだ.
 それにひきかえ,こめ類の摂取量は30年頃の265グラムに対して平成6年(1994)には144グラムである.計算するまでもなく,激減なのだ.大腸がん発生の増加は肉類の摂取が増えたこととごはんの減少が重要な原因と考えたい.これは食物繊維はとらなくていいということではなく,今のレベルでもよいのかもしれない.
アイコン 魚とごはんのすすめ

肉料理を少し減らして,魚料理を増やし,ごはんを多く食べる用にするのがよい.肉のうち赤肉は腸内に発ガン物質ができやすいという.鶏肉や魚介類がよいのだ.だから,すしは理想的な食べものだ.米と魚介類の組み合わせからなる.日本人の食事内容が東京オリンピックを境に急速に西洋化したことが統計上には現れている.スポーツ選手を育てるには肉食が推奨される.これはまさに正しい理屈であるが,一般人にまで広げるのはどうだろう.健康優良児を育てるために,食事を西欧化を推進したつけが現在につきまとっている.

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