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食物繊維と腸内細菌

生物進化と腸内細菌
腸内細菌と食物繊維のなれ初めの歴史は生物進化と切っても切れない関係にある.
微生物である細菌はこの地球上にはわれわれ人間,いや人間以前に存在していた恐竜などの動物の出現よりもはるかにむかしから住んでいて進化してきたのだ.

その頃は植物は栄えていた.四億年前頃にはしだが繁茂していたし,やがて,やがてといっても3000万年くらいたつと,巨大な樹木が立ち並ぶ時代になっているのだ.これらの植物はかれたり倒れたりすると地中の細菌のエサになったのだ.

これが食物繊維と細菌のなれ初めだ.植物の進化があり,細菌の進化があったのだ.繊維素分解酵素の工夫が進化してきたと考えられるのである
さらに,動物の進化があり,哺乳類が誕生する頃には食物繊維と細菌の関係は多種多様な関係を作り上げていったと考えられるのだ.

腸内に住み着く細菌と食物繊維−おなかの森の誕生
動物は植物を食べる,それにはたくさんの細菌が付着している.土壌を水といっしょに飲み込むことも当然起きる.土壌にはまた多種多様の細菌が生きている.それらの細菌は動物の腸内に住み着くチャンスをうかがっていたともいえる.
こうした習慣によって動物は健康に過ごすことを体験から習得したことが想像するに難くない.人間でも現在なお現実に,アンデスのチチカカ湖の島に住むインディオはゆでたジャガイモに粘土つけて食べる習慣があることをテレビドキュメンタリーでみたことがある.なかには細菌がつくる物質が病原菌に対して抵抗力の源になることも知っていたのかもしれない.
腸内細菌が住みかとして動物の腸内と土壌を循環する時代があったことは当然であったのだ.それは今も続いているものもあっても不思議ではないが,ある細菌は腸内環境を最も格好の住みかにするようになっていったのであろう.それには食物繊維の元である植物を動物が摂取しつづけることも,重要な点である.
おなかの森,ジャングルの誕生である.腸内細菌はジャングルに住む鳥や獣のようにおなかの森に住んでいるのである.

人類進化
哺乳類誕生は6000万年前,人類の誕生は500万年ないし400万年前くらいと推定されている.動物進化のきっかけとなったのが,細胞と原始細菌の共生である.21億年前頃,シアノバクテリウムという原始細菌が細胞に寄生して進化したのが植物であり,シアノバクテリウムは葉緑体に進化した.原始の好気性菌が細胞に寄生して進化したのが動物である.好気性菌はミトコンドリアに進化した.
ざっと,このように理解されているのが現状である.
したがって,人類はなんとそれから21億年後に誕生したのだ.この人類進化の年代測定にはミトコンドリア遺伝子を解析する技術が生かされている.
人類進化の歴史は環境適応の歴史でもある.当然環境には細菌の存在もあったのだ.人類よりはるかに先輩である細菌の中には病原性のものもいただろう.一方,人類の体を守ってくれる細菌もいたであろう.人類は細菌の脅威と細菌の保護力のなかにあって,細菌の影響を人類の進化に活かしてきたことは疑う余地はない.
その一つに食物繊維と細菌の有機的な関係があったのだ.


食物繊維はおなかのジャングルをつくる
野菜,果物などは腸内の森になり,ジャングルになる.ジャングルや原野には昆虫が住み,小鳥が住み,草食性の動物,肉食性の動物などさまざまな動物が住み,そこに食物連鎖を形成してバランスを保って子孫を残している.
おなかのジャングルを構成する多種多様な食物繊維も腸内細菌のあるものにとっては住みかになり,またほかのある細菌のエサになる.
繊維素は高分子であるから,ある種の細菌が分解酵素で分解してより小さいものにする.それをさらに小さいサイズに分解する.一種の食物繊維から多種多様な成分ができて利用する細菌の種類の裾野も格段に広がるのである.これは細菌の世界の食物連鎖である.
食物繊維を人間が摂取ることはこのような腸内の見えないが,活発な細菌世界を
繁栄させることができるのだ
ジャングルは住みかだ
腸内のジャングルを作る食物繊維は細菌のエサになるだけでなく,住処として役立つのだ.繊維は複雑の立体構造している.細菌はその繊維素に付着して,より立体的に腸内空間を利用し,栄養素を取り込みながら生活をするのだ.
腸の内容物は移動して排泄される.だから食物繊維を補給してやるのが腸内細菌の生活には欠かせないことなのである.野菜類は種類も多いが,できるだけ多種類の野菜を食べて,多種多様な腸内細菌の
ために住みかを提供することだ.これが長い長い生物進化の歴史がつくった人間と細菌との共生の仕組みを温存することにもなるのである.
人間の健康の確保には欠かせない腸内ジャングル,あるいは腸の森,をつくる意識をもってもらいたいのだ.腸内ジャングルは腸内の細菌世界のバランスを保つことにより,外敵の侵入や有益な物質の生産を潤滑にするのにも役立つからである.

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