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食品衛生

皆さんどなたでも食事して病気になりたくないでしょう.
食品は安全でなくちゃ困る.
ところで食品ってどんなもの?
人が食べたり,飲んだり,噛んだり,しゃぶったりするものはみな食品だ.チュインガムも赤ちゃんのおしゃぶりも食品衛生の対象にしなければならない.
以下には食中毒のうちとくに怖い細菌性食中毒に対する食品衛生を念頭においてまとめた.


食品はすべて健康食品だ
食品はすべて健康食品でなくてはならないし,そうあるはずである.ことさらに健康食品と称しいかにも価値があるというのはあくまでも商業主義の産物なのである.
 今では機能性食品とか,特定保健用食品とか生まれている.食品の機能がそれまでの栄養学上の有効性以外にも保健上意味があることがわかってきたのである.それをことさらに機能性とか,特定保健用と呼んでいるのだな.働きを限定しているのだ.日常食べる一般の食品もその中に多くの働きをもっていて,機能性食品の側面もあるのは当然で,保健食品でもあるのだ.
 こうした特定保健用食品だって食品衛生の対象であることはいうまでもないことである.
 少しばかり脱線したようだが,日ごろの食事を軽視しないようにしてもらいたいからである.また,その食事に毒があったりしてはならないのである.
 

食品衛生の目的
目的の一つは食べて人に病気が発生することを未然に防ぐこと.
二番目の目的は食がもつ有効成分や形状色合いを確保すること,である.
食品衛生の三原則:防ぐ,除く,増やさない.


食品衛生のよりどころ,道徳心
この三原則をまっとうするためのよりどころ,基盤は,環境衛生,科学技術に負うところが多いが,それよりも重要なことは道徳である.食品の生産者,販売業者,調理人,そして行政官の道徳心こそ食品が安全で健全でありうるためのよりどころだ.これが抜けると仏を作って魂を入れないものになる.この魂こそが食中毒の大部分を防ぐことができるのだ.
 「まあこれくらいでよいだろう」が食中毒を誘発する.また,真しな,良心的な衛生行政の取り組みが欠かせないのだ.手抜きは禁物である.原因究明においても同様で,多角的な究明が抜けてはならないのである.
 
食品衛生法は,そのような精神の元において生きてくるし,またそのような精神に活を入れるために制定されているのでもある.


防ぐ
食品を病因物質の汚染(侵入)から守ること.すなわち食品が病原菌や有毒物質に汚染されないように防ぐこと.これが完全に達成されるなら,これが一番よい.自然に収穫したままを保ち,加熱の必要がなく,色合いや形状や有効成分も保たれるなら最高である.
 しかし現実には困難である.だから侵入を防ぐにはパック詰にしたり,缶詰にする.流通経路を衛生的に,俊敏,短期にする.清浄野菜といってほとんど無菌的に栽培したりするものがある.飛行機の機内食に用いられる野菜はこの類である.SPF豚肉とか鶏肉とかあるが,これは飼育環境が特定の病原菌フリー(いないこと)の家畜を意味している.
 
 除去する
しかし,現実には病原菌あるいは食中毒菌の侵入を防ぐことは大変むずかしいのが現実だ.食中毒菌は肉眼でとらえることができないからだ.汚染されているかもしれないこと前提にとり除く作業が求められる.
 
洗う食品にすでに食中毒菌が付着していることがある.こうなると取り除かないと食中毒を引き起こさないとも限らない.だから,収穫したり,買ってきたものはよく洗うことが求められるのだ.調理器具や手指の洗浄も非常に重要.
 
加熱する:洗っても効果が期待できなければ加熱殺菌してとり除く.でも熱がかけられないものもある.さしみ,ヨーグルトなど.さしみは新鮮なものを早め早めに早く食べることが肝腎になる.記憶に新しいところで低脂肪ヨーグルトによるブドウ球菌食中毒があるが,これは加熱してもどうにもならない(この毒素は加熱に強い),こうなるとブドウ球菌食中毒を甘んじて体験するよりないことになる.だからこそ,ことが重大ということでもある.調理器具や調理場も熱湯で殺菌することもよい.
 加熱することが問題になることがあるが,後でお話しする
 
酢で殺菌する:調味酢で食品に付着している細菌を殺菌する.その他に食品添加物の殺菌剤が使用できる.また,調理環境の消毒も欠かせない重要実務である.殺菌灯の設置.流しや,まな板包丁などの消毒も大切である.手指消毒も同様である

 

増やさない
除去することが食品の性質上むずかしいことがある.加熱可能でも付着細菌を増やさないことがキ−ポイントである.食虫毒菌が付着していてもほんの少量だと中毒を起こさないこともあるのだ.
 
冷やす.だから,涼しいところにおいたり,冷蔵庫に入れておく.あるいは冷凍しておく.技術革新でいまは氷点保存で輸送したりする.冷凍にしないが限りなく冷凍に近い状態だから品質の保持にも良好.
 冷蔵庫に入れて五度や十度に保存しても食品には低温好きの細菌がいるので,2,3日もするとわんさと増えて,食品を腐敗したり,悪臭を放つことになる.
 低温で増える食中毒菌もいる.後でお話する.
 
高温保存.細菌が増殖できない温度,たとえば60度くらいに保つのもよい.自動販売機がそうである.まれに高温細菌が増殖して変質することもある.
  
加熱に耐性の食中毒菌
ブドウ球菌食中毒:平成12年6月,低脂肪牛乳や低脂肪ヨーグルトで発生した食中毒がこれだが,この原因物質はブドウ球菌がつくる毒素で起きるのだ.新聞でご存知でしょうが使用した脱脂粉乳が有毒素であったのだ.脱脂粉乳の製造工程で黄色ブドウ球菌が増殖しこの毒素を生成したいたのである.この毒素は熱に耐性なのでボイルしても壊れない.だから,加熱殺菌した牛乳なのに例の食中毒が発生したのだ.
ボツリヌス菌:この細菌も耐熱性である.耐熱性の芽胞(種子のようなもの)を形成するのだ.この細菌は小さい菌体の中にさらに芽胞をつくる.これが耐熱性であるために通常の料理では生き残る.これが食品のなかで発芽して増殖して毒素をつくる.しかも,この細菌の種子である芽胞は熱がかかると,温度が下がったとき発芽しやすくなるから,この細菌にとっては加熱が好都合だが人間にとってはとんでもないことを引き起こすことになる.
ウエルシュ菌,セレウス菌:この二つの食中毒菌も芽胞を形成する.そのために加熱調理した食品に生き残り,やがて増殖して食中毒の原因になる.
 加熱したものだから,ラップか何かで包んでおけば安心とはいかないのだ.調理後は早く食べることだ.
   
低温で増殖する食中毒菌:好冷菌
エルシニア腸炎菌:この食中毒菌は5くらいの低温で盛んに増殖するので,冷蔵庫に入れておいても安心できない.もちろん,加熱には弱い.
 しばしば食品に付着している非病原性の細菌は低温で増殖する.これら
好冷菌が食品を腐敗させたり,変色させたりする.時には軽い下痢を催すこともありうるので,これも要注意である.
  
誤解される手袋
食品を扱うときに素手で直接移したり献立したりするのはその人の手指が病原菌で汚染しているおそれがあるので危険であることはいうまでもない.
 しかし,手袋を使うから安心だということにはならない.手袋でほうぼうふれると,手袋も危険なものに汚染され,安全なはずの食品を汚染することがある.
 
  
保菌調理人者は危険
病原菌を腸内に保菌している人や皮膚が化膿してる人が食品を取り扱うのは非常に危険だ.家庭でも同じことで,下痢しているひとは原因が何であれ,黄信号ないしは赤信号である.それをかくして調理に携わってはいけない.化膿はちゃんと治療してから仕事にかかること.
 このような人は手指が汚染していると考えてまあ違いないので,とことん石けんで洗い,消毒液で消毒する必要がある.また,風呂を使うときにはゆぶね(浴槽)内の湯を病原菌で汚染すると考えて間違いないので,十分からだ,とくに肛門部を洗うこと,シャワーくらいですますようにすることだ.
  
食べ合わせ
生き物はすべて栄養物質を摂取して生きているのだ.当然,病原細菌も同じことである.これが往々にして病原細菌学ではおろそかにされているように思うのだ.病原細菌の生活のかてが豊富にあるほど感染に都合がよいのは当然であり,ここに食べ合わせの妙が食中毒発生に関係してくることが考えられるのだ.
 
くすりの飲み合わせを誤ると,病気が治るどころか新たに病気を獲得することになるが,食中毒でもそうしたことがないとはいえない.その中でもっとも危険と考えられるもが,牛乳である.牛乳には乳糖という糖分が4パーセント以上も含まれている(この量は腸内細菌とっては非常に多いもの).この糖分は消化されにくいので腸内細菌の栄養分になる.それでおなかがごろごろなったり,おならが出やすくなったりする.病原大腸菌を保菌していたり,食事に含まれているときに,牛乳をとるのは非常に危険だ.大腸菌の増殖促進因子になるからだ.この点は堺市で起きたO157事件で統計学的に牛乳が食べあわせとして危険因子であることが明らかである.
 牛乳メーカーはこのように言ってもらっては営業妨害だといわれるかもしれない.厚生労働省の役人も困るとおっしゃるかもしれないが,科学的に問題なので指摘するよりない.老人ホームのお年より,学童の給食には牛乳がつきものである.カルシウム摂取という名目のために.しかし,この場合病原大腸菌による汚染食品の侵入を極力最大限に監視を求めたい.
 カルシウムのためであればヨーグルトにして提供することを提案したい.これならば,かなりの人が難を逃れるであろう.ヨーグルト提供は費用がかさむが,施設で作ればそれほどでもない.ヨーグルトが自由に取れるよう用意しているホテルも多いこのごろである.人の健康を良心的に考えるならば当然のメニュウ−である.とくに夏の時期,食中毒繁栄時期で体力消耗時期はそう願いたいものだ.道徳が食品衛生においても大切だというのはこんな場合でも当てはまる.

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