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腸内細菌ビタミン

  栄養補助食品としてビタミン剤が手ごろな価格で入手できる.そのためにともすれば過剰摂取のためとも知らずに,理由なき皮膚炎に生悩まされるやされる人がでる.厚生労働省も過剰摂取にならないように注意を促しているくらいである.
腸内細菌は動物や人間の腸内や胃袋内で多種類のビタミンを生産してそれを動物や人に直接的にあるいは間接的に提供しているのだ.
種類−
水溶性ビタミンと
脂溶性ビタミン
ビタミンには水溶性のものと,脂溶性のもとある.
水溶性(水に溶けやすい)ビタミンとしては
ビタミンB1(チアミンともいう),ビタミンB2(リボフラビン),ビタミンB6,ビタミンB12,葉酸,ナイアシン,ビオチン,パントテン酸(以上はひっくるめてビタミンB群と呼ばれる),ビタミンC(アスコルビン酸)がある.
脂溶性(油に溶けやすい)ビタミンには
ビタミンA,ビタミンD,ビタミンE,ビタミンKがある.
人間も動物もはビタミンをつくれない ビタミンを摂取しなければならないのは,必要だからだ.だのに哺乳動物,人間はビタミンをからだの中で合成できないのだ(例外はあるが).だから食べ物やビタミン剤で供給しなければならないのだ.
腸内細菌は動物にビタミンを提供する ところが,人間や動物と違って腸内細菌は多くのビタミンを人や動物の腸内でつくっているのだ.これは人間や動物にとって強い味方である.
細菌は上記のB群のビタミン類とビタミンKを生産することが明らかにされている.細菌が生産するビタミンの種類は細菌の種類によって異なるものもあるが,異なる細菌が同じビタミンを生産することもある.これらのビタミンは糞便とともに排泄される.
 とくに糞を食べる習性をもっている動物では,細菌生産ビタミンを効率よく利用することができる.ウサギがその代表的なものである.ウサギは自分の盲腸便を食べて細菌生産ビタミンを積極的に利用する.
 糞を食べなくても牛や羊のような反芻動物では胃袋内で細菌がビタミンを生産するので,細菌性ビタミンを効率的に利用することができる.

人間ではどうか 人間では糞を食べたりしないし,胃袋内で細菌が繁殖しないので,動物のようにはいかない.乳児期には胃酸の分泌が弱いし小腸で大腸菌やビフィズス菌が繁殖してビタミンを生産して吸収されることがなくはないが,十分ではない.人については十分な研究が不足しているのだが.
 宇宙飛行士のように宇宙で生活する場合,自分の大便をうまく処理してビタミンを取り出して摂取すればよいように思うのだが.
ネズミの場合 ネズミでビタミンB欠乏食の実験をしていて,ビタミン欠乏食を与えても欠乏症状を出さないといって困っていた時期があった.腸内細菌がビタミンをつくることを知らなかったのだ.
 自分の糞を食べることで腸内細菌が提供するビタミンBをネズミは利用していたわけだ.そんなわけがわかってからはビタミン欠乏実験をするにはテールカップといって尻尾に糞を受け取る容器をとりつけて,ビタミン欠乏実験をするようになったのだ.
ビタミン所要量と腸内細菌 人間(動物も)の腸内とくに大腸では多種多様な細菌が生きていて多種類のビタミンをつくり,お互いに供給しあって生きているのだ.
 だから,人がビタミンを多量に摂取していると,吸収限界を越して余ったビタミンが腸内細菌に供給されることになる.そうすると腸内細菌の生態に異変が生じてくることになりかねないのだ.たとえば,ビオチンというビタミンに対する要求性が高い細菌がいるとすると,その細菌がこれ幸いと増殖が活発になり,以上に増殖してくることもありうるのだ.その細菌が毒素を生成する性質をもっていると大変なことになるかもしれない.
 当方が研究所時代にねずみを使って所定のビタミン量の三分の一のビタミンを与えると,ビフィズス菌や乳酸菌が増加して,有用な嫌気性細菌のバクテロイデスという細菌も増加してくる.反して無用な大腸菌は減少するという現象がある.ネズミの発育は生気の量に比べてもちろん遅れる.しかし,
発育だけを指標にビタミンの所要量を設定することがよいのか,という問題を提起した現象である.
 断食療法も腸内細菌と密接関係しているのではないかと考えている.
 


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