
おならのことでぜひお話しておかなければならないことがある.おならの成分は水素ガス,二酸化炭素(炭酸ガス),メタンガスが主なものである. 腸内には水素ガスと二酸化炭素をつくる菌種は非常にたくさんいるが,メタンガスを生成する菌種はごく限られた,特殊な嫌気性細菌で,特別にメタン産生菌(発生菌)と呼ばれる.したがって,メタン発生菌を腸内にもたない人も多い.また家族性があるともいう.つまり,親から子供に移り住むということである.親子間移行は密接であることが条件になる.親子関係が疎遠であると,移行しないかもしれない.通常5歳くらいまでに住み着くようである. メタン発生菌は嫌気性細菌だと述べたが,嫌気性細菌は空気の存在を極力嫌うのだ.この性質が上述の家族性があるとか,密接であることが必要だということに関係する.この菌種がもっとユニークな点はメタン生成の仕方にある. 腸内には水素ガスと二酸化炭素はたくさんあるとのべたが,メタン発生菌はこの豊富にある二種類のガスからメタンガスをつくるのだ.すなわち,水素ガスと二酸化炭素を生成する菌種とメタンガスを生成する菌種との間には有機的な関係があることを意味している.これはそこにネットワークが成立していることを意味している.だが,ネットワークのことは別にお話するとして,本論に入るとする. ワインとおならの関係である.ワインには酸化防止剤としての食品添加物が添加されている.この酸化防止剤の実体はラベルを見てもらうとわかることだが,普通亜硫酸ナトリウムと表示されている.これらは硫酸塩というが,この硫酸塩は腸内で還元される.むずかしい話になってきたようだが,つまり,硫酸塩は分子に酸素原子を含んでいるが,その酸素を取り除いて水素を付加することを還元と考えてもらうといい.このような細菌を硫酸塩還元菌という. 生き物の種類は千差万別であり,そのえさになるものも千差万別だ.硫酸塩還元菌は硫酸塩と水素ガスをエサにすると思ってもらえばいい.ワインを飲むと,この硫酸塩還元菌が活発になり,硫酸塩を消費すると同時に,腸内の水素ガスを消費するのだ. 一方,メタン発生菌もメタンを作るときに水素ガスを利用することは上に述べた.ということはメタン発生菌と硫酸塩還元菌との間には水素ガスの奪い合いが起きることになるという理屈だ.その結果,ワインをたくさん飲むと,発生するメタンガスも少なくなり,ひいてはおならの量が減ることになる.![]() しかしながら,ここで注意が肝要だ.ワインでおならが減るのはよいかもしれないが,ワイン中の硫酸塩が還元されてできるものが危険因子なのだ.硫酸塩が還元されると硫化水素ができる.これが危険因子である.大腸ガンの原因になることが推測されている.潰瘍性大腸炎という病気があるが,この病気の発生に硫化水素が絡んでいるというのだ.硫化水素は毒性物質であるが,温泉に含まれていて殺菌作用を示すので,その効能が評価されてもいる.だが,殺菌作用があるくらいだから大腸で多量にできると問題があるかも知れない. 何事もほどほどにすること.赤ワインがポリフェノールを含んでいてコレステロールを減らすといって,今ワインは赤といってブームになっているが,過ぎたるは及ばざるが如しである.くれぐれも. |
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