| '06/12/27 |
| よくある誤解 目次 |
| 吉見 吉昭 |
基礎スラブまたは格子梁と基礎スラブで地盤に伝える基礎』 標準貫入試験によるN値は,地盤の強さ・堅さの指標として広く使われていますが,換算N値とは,文字通りN値から換算したものですが,これには二通りあります。
しかし,2.は,非常にバラツキの大きい試験結果の平均値を示した経験則です。とくに軟弱な地盤で,標準貫入試験によるN値がゼロでも,換算N値が3となる場合があって,地盤の強さを過大評価する恐れがあるので,スウェーデン式サウンディング試験の生データを注意深く吟味し,さらに標準貫入試験結果を入手する努力を払う必要があります。(吉見吉昭:正規圧密粘土上の低盛土造成地の問題点と対策,戸建住宅の基礎設計における現状と問題点,日本建築学会,2003年2月,p.29参照)
乱さない(不撹乱)試料
地盤調査のページでも書きましたが,乱さないつもりで採取した土の試料を“乱さない(不撹乱)試料”と呼ぶことがあるので,要注意です。とくに,砂地盤の場合は,採取方法によって試料の品質が大幅に異なりますので,試料と原位置のせん断波速度を比較することによって,乱れの程度を確かめることが肝要です。
地盤の許容支持力・許容地耐力・許容応力度
地盤の許容支持力とは,地盤を破壊させる荷重(極限支持力)を安全率で割った値を指します。一方,許容地耐力は,土木にはない建築独特の用語で,
許容支持力以内で,かつ,沈下または不同沈下量が許容限度以内に納まるような力
のことです。したがって,沈下を検討せずに,『許容地耐力に基づいて設計した。』と言うのは誤りです。盛土の下に極めて軟弱な地層があるような場合は,盛土の許容支持力は十分でも,軟弱層の圧密による沈下が過大になる恐れがありますので,慎重に検討する必要があります。ただし,この場合は,許容支持力で設計が決まる場合と違って,基礎の底面積を大きくすることは解決にはなりません。地盤の破壊と沈下の両方を必ず検討することを明示すれば,わざわざ許容地耐力と言う必要はないという理由でしょうが,日本建築学会・建築基礎構造設計指針の2001年版からは,この用語の使用を止めました。
地盤の許容応力度は,建築基準法施行令だけで使われる用語で,専門家の強い反対を押し切って,他の材料と形を揃えるというだけの理由で決められたようです。本末転倒というべきでしょう。例えば引っ張りを受ける鋼棒の場合の許容応力度は,それに断面積を掛けて求められる荷重までは許容できるというわけで,明快な物理的意味がありますが,地盤の場合は,基礎底面の大きさ,深さなどの条件に無関係な許容応力度なるものは定義できません。もし,これを直訳して
allowable stress of the ground とでもしようものなら,『こいつは地盤の力学を知らないな』と思われることは間違いありません。
類似の内容については聞かぬは末代の恥をご参照下さい。
地盤と建築基礎