'10/6/10
上級者へのアドバイス 目次
吉見 吉昭

 ここでは,「相手に負担をかけずに英語で込み入った話ができる人」を英語の上級者と定義します。往々にして,こちらの言いたいことは一見流暢な英語で言えても,相手の英語を正確に理解できない人がいますが,これでは落第です。立場を替えて,われわれが外人の日本語を聞く場合を考えると,負担がかかるか否かの意味が分かると思います。最近,並みの日本人より格調の高い日本語を話す外人がテレビなどで活躍していますが,彼らはまさに日本語の上級者でしょう。

 国際会議での日本人の発表を聞いていると,昔とは比較にならないほど進歩していますが,一応通じるようになると満足して「小成に甘んじる」傾向があるように感じています。「言葉より内容が大切だ。」と言訳をする人もいますが,これは二者択一の問題ではなく,車の両輪です。内容が大切なことは当然で,それが的確に伝わらなければ無意味です。重要なものは「内容×言葉」の積ですから,言葉を軽視することはできません。もう少し高い目標を設定して,それなりの努力をすれば,英語の格調を高めて敬意を払われるとともに,もっと説得力を発揮できるはずだと,残念な思いをすることが少なくありません。僭越ですが,英語の格調を高めるための提案をします。

英英辞典を活用する

 
英語は非常に語彙の多い言語といわれますが,それだけに,ピッタリした言葉を選ぶことが難しいともいえます。日本語を英訳するのではなく,初めから英語として考えるためには英英辞典が有益です。米国のMerriam-Webster's Unabridged Dictionary は,47万語を含み,CD-ROM版は検索にも便利です。分野別では Longman Business English Dictionary, 2007(ロングマンビジネス英語実用英英辞典)には kanban(看板), kaizen(改善), keiretsu(系列)が出ています。ここでは,英語のネイティブ・スピーカー以外の人を対象として編集された現代語英英辞典のうちの二つを紹介しましょう。これらを含む電子辞書もあります。これらには,可算・不可算の別が明示され,文例が豊富という特長があります。例えば,election という名詞は,行事としての選挙(presidential election)の場合は可算で,複数形をとることもありますが,当選すること(His election as governor)の場合は不可算です。ただし語彙は少ないので,大辞典と併用する必要があるかもしれません。

インターネットを活用する

 英語の
Wikipedia を百科辞典として利用したり,決まり文句を確認したり,新しい表現を学んだりすることができます。

専門書以外の英語の本を読む

 新聞や雑誌で時事問題の記事を読んでおくことは,共通の話題を持つために有益でしょう。また,現代小説を読むと,英米人でも,相手によって使う言葉が大幅に違うことから,建前と本音を使い分けることが日本人に限らないことがわかります。陰では日本人のことを Jap と言うこともわかります。TPOに応じた適切な言葉使いをするためには,技術書以外の幅広い教養が求められると思います。

卑猥語・蔑視語・滑稽語をうっかり使わないために知っておく


 
これについては,英会話の失敗談の後半で書きましたので,参照してください。

理系人による実践的英語術