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( 個人的関心版 2011 )

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■■  1/19 2011 ■■■

昨年の秋、フランスの ECRITUREよりジャン・ヴォートランのインタビュー本 "Docteur Herman et Mister Vautrin Entretiens avec Noel Simsolo" が刊行された。
Docteur Herman et Mister Vautrin これ、映画監督としてのジャン・エルマンおよび作家としてのジャン・ヴォートランに対して映画評論家(映画監督、脚本家、俳優、小説家、ジャズ評論家でもある)ノエル・シムソロがインタビューしたもの。300ページ近くある。
 ちなみにノエル・シムソロのインタビュー本としては、かの映画監督サミュエル・フラー『映画は戦場だ!』(ジャン・ナルボニとの共著、1985年。邦訳は筑摩書房、1990年)がある。

 しかもこの"Docteur Herman et Mister Vautrin Entretiens avec Noel Simsolo" には付録として56分収録のDVDがついており、生のジャン・ヴォートランの姿が拝めるし話が聞けるのだ。何しゃべってるのか分からないけど。
 DVDはオールリージョンながらフランスはPAL方式なので普通のDVD再生装置では見ることができないがパソコンなら視聴が可能。しかもヴォートランのほかに、作家のディディエ・デナンクス、奥さんで女優のアンヌ・ドア、『ベルリン強攻突破』などの共著者であるダン・フランク、映画監督のジェラール・モルディラ、そしてヴォートラン原作のBD(マンガ)作画者であるジャック・タルディに作家のジャン・トゥレ(という読みでいいのか? Jean Teule)なども出演している。

 邦訳してほしい!


■■  5/26 2010 ■■■

扶桑社ミステリー通信によると、ジム・トンプスン『おれの中の殺し屋』(扶桑社ミステリ)が新たに映画化されたという。わぉ!

 すでに 公式サイトも出来ている(まだ、ほとんど中身はないけど)。日本公開があるかは定かではないが、楽しみだ。


■■  1/23 2010 ■■■

スティーグ・ラーソン〈ミレニアム〉3部作は日本でもヒットして映画化作品も公開された。

 で、なんと英国のクライムフィクション書評家バリー・フォーショーによる作者ラーソンの伝記がこの春に出版されるという。
 すでにアマゾンUKでは、予約受付中。 "The Man Who Left Too Soon The Biography of Stieg Larsson" 4月5日発売。

 また ヤン・エーリック・ペータソンというスウェーデン人による『スティーグ・ラーソン伝』は、本国で5月に出る予定。 ここの情報 によると、すでにヨーロッパ各国で版権が売れ、同時期に出るようだ。


■■  12/14 2009 ■■■

向こうの新聞もしくは海外ブログなどでも、さまざまな2009年ベスト・クライム・ノヴェルもしくはベスト・ミステリが発表されている。

*** *** *** *** ***

 まずは、New York Times で、Notable Crime Novel 2009。2009年の注目すべきクライム・ノヴェル。

 * Michael Connelly THE SCARECROW (Little, Brown)
 * Walter Mosley THE LONG FALL (Riverhead)
 * Barbara Vine THE BIRTHDAY PRESENT (Shaye Areheart)
 * Jeffery Deaver ROADSIDE CROSSES (Simon & Schuster)
 * Sara Paretsky HARDBALL (Putnam)
 * Val McDermid A DARKER DOMAIN (Harper/HarperCollins)
 * Arnaldur Indridason ARCTIC CHILL (Minotaur)
 * Anders Roslund and Borge Hellstrom BOX 21 (Sarah Crichton/Farrar, Straus & Giroux)

    ※アンデシュ ルースルンド、ベリエ ヘルストレム『ボックス21』(ランダムハウス講談社文庫)
 * Stieg Larsson THE GIRL WHO PLAYED WITH FIRE (Knopf)
    ※ スティーグ・ラーソン『ミレニアム2 火と戯れる女』上下(早川書房)
 * Stuart Neville THE GHOSTS OF BELFAST (Soho)
 * Hannah Berry BRITTEN AND BRULIGHTLY (Metropolitan/Holt, paper).
 * Richard Lange THIS WICKED WORLD (Little, Brown)
 * Charlie Huston THE MYSTIC ARTS OF ERASING ALL SIGNS OF DEATH (Ballantine)
 * Tarquin Hall THE CASE OF THE MISSING SERVANT (Simon & Schuster)
 * Emily Arsenault THE BROKEN TEAGLASS (Delacorte)
 * Alan Bradley THE SWEETNESS AT THE BOTTOM OF THE PIE (Delacorte)

    ※アラン・ブラッドリー『パイは小さな秘密を運ぶ』(創元推理文庫)

 このなかの Arnaldur Indridason はアイスランドの作家で2006年のCWA賞ゴールドダガー賞を"Silence of the Grave" で受賞している。
 また、 Stuart Neville THE GHOSTS OF BELFAST は本国では THE TWELVE という題名のようだ。 The Irish Crime Novel Of The Year というブログ記事「アイリッシュ・ベスト・クライム・ノヴェル」のトップに挙がっている。
 

*** *** *** *** ***

 そして、もうひとつ、こんどはロサンゼルス・タイムズのコラムニスト、Sarah Weinman サラ・ワインマンさんによる 2009年ベスト・ミステリ

 * George Dawes Green "Ravens" (Grand Central)
 * Philip Kerr "A Quiet Flame" (Marian Wood/Putnam)
 * Megan Abbott "Bury Me Deep" (Simon & Schuster)
 * Stieg Larsson "The Girl Who Played With Fire" (Knopf)
 * Carol O'Connell "Bone by Bone" (Putnam)
 * Stuart Neville "The Ghosts of Belfast" (Soho Press)
 * Attica Locke "Black Water Rising" (Harper)
 * Hannah Berry "Britten and Brulightly" (Metropolitan Books)


 ここでも Stuart Neville The Ghosts of Belfast が挙がっている。が、なんといってもジョージ・ドーズ・グリーン"Ravens"だ。映画にもなった『陪審員』と第2作『ケイヴマン』は翻訳されていたが、今回の作品は14年ぶりとなるらしい。
 フィリップ・カーの名前を見るのも久しぶり。
 Attica Locke "Black Water Rising"も気になっている作品。

*** *** *** *** ***

 そのワインマンさんによるブログ Confessions of an Idiosyncratic Mind では、 The Best Crime Fiction of the Decade が挙げられている。この十年のベスト・クライム・フィクション。

 * MYSTIC RIVER, Dennis Lehane (2001)
    ※デニス ルヘイン『ミスティック・リバー』(ハヤカワ文庫)
 * CASE HISTORIES, Kate Atkinson (2004)
 * BURY ME DEEP, Megan Abbott (2009)
 * FARTHING, Jo Walton (2006)
 * TOKYO YEAR ZERO, David Peace (2007)

    ※デイヴィッド・ピース『TOKYO YEAR ZERO』(文藝春秋)
 * THE BLUE TANGO, Eoin McNamee (2001)
 * STILL LIFE, Louise Penny (2006)

    ※ルイーズ・ペニー『スリー・パインズ村の不思議な事件』(ランダムハウス講談社文庫)
 * THE MILLENIUM TRILOGY, Stieg Larsson (2004-present)

    ※スティーグ・ラーソン『ミレニアム』3部作(早川書房)
 * JAR CITY, Arnaldur Indridason (2003)
 * THE SMALL BOAT OF GREAT SORROWS, by Dan Fesperman (2003)
 * THE ICE HARVEST, by Scott Phillips (2000)※

    ※スコット・フィリップス『氷の収穫』(ハヤカワ文庫)
 * THE LINCOLN LAWYER, Michael Connelly (2005)

    ※マイクル・コナリー『リンカーン弁護士』(講談社文庫)
 * THE BUSINESS OF DYING, Simon Kernick (2002)

    ※サイモン・カーニック『殺す警官』(新潮文庫)
 * EVERY SECRET THING, Laura Lippman (2003)

    ※ローラ・リップマン『あの日、少女たちは赤ん坊を殺した』(ハヤカワ文庫)
 * ABSENT FRIENDS, S.J. Rozan (2003)
 * THE NIGHT GARDENER, George Pelecanos (2006)
 * THE POWER OF THE DOG, Don Winslow (2005)

    ※ドン・ウィンズロウ『犬の力』(角川文庫)
 * WINTER'S BONE, Daniel Woodrell (2006)


 ペレケーノス未訳は今後日本で出るのかどうか定かではないあたり哀しい。ダン・フェスパーマンやダニエル・ウッドレルなどこれまで一冊だけ邦訳された作家は、新たに何か話題(MWA賞CWA賞などの最優秀賞受賞もしくは映画化)がないと無理なのか。
 なにより、『博物館の裏庭で』(新潮クレスト・ブックス)のケイト・アトキンソン CASE HISTORIES は邦訳されるのだろうか。オットー・ペンズラーが絶賛していてすごく気になっているのだ。


■■  12/04 2009 ■■■

Stop, You’re Killing Me! というサイトの New Hardcover Releases 情報を見ると、日本には紹介されなくなったが「まだまだ現役でハードカヴァー版を出しているなぁ」と思う作家が何人か目にとまる。
 はたして、どれだけ翻訳されるのかも興味深いところ。

 で、このサイトには、 New Audio Releases という一覧もある。朗読CD(オーディオブック)も同時に発売されるということは、それだけ人気が高く、需要がある、ということなのだろう。


■■  10/23 2009 ■■■

The Rap Sheetというブログに、リー・ホースレイ氏へのインタビュー記事が載っている。どうやら、"The Noir Thriller"のペイパーバック版この9月にが再版されたようだ。
 インタビュアーは作家のミーガン・アボットさん。
The Noir Thriller 
 Raiding the Ivory Tower, Part I
 Raiding the Ivory Tower, Part II

The Noir Thriller およそ半世紀前に活躍したおなじみの作家の名と作品があがっているほか、現代作家にも触れているあたり、興味深いもの。

 左が旧版。右がペイパーバック版の表紙である。


■■  09/28 2009 ■■■

いずれ早川書房から邦訳が刊行されるだろうが、来月に、"The Best American Mystery Stories 2009"が出る。今年の選者は、ジェフリー・ディヴァー。

 で、今回選ばれたなかに親子で活躍している書き手がいる。
 父親のほうは、ジェイムズ・リー・バーク。ご存じ、デイヴ・ロビショー・シリーズで知られる作家。
 そして、アラフェア・バークさんは、ジェイムズ・リーの娘さんなのだ。

 夫婦ふたりとも物書きというケースは多い。スティーヴン・キングは妻タビサも息子ジョー・ヒルも作家だ。
 ならば父と娘というのもありか。


■■  08/11 2009 ■■■

THE ANTHONY BOUCHER CHRONICLES  REVIEWS AND COMMENTARY 1942-1947最近になって入手したミステリの評論やリファレンス関連のものといえば、Edited by Framcis M. Nevins "THE ANTHONY BOUCHER CHRONICLES REVIEWS AND COMMENTARY 1942-1947"(Ramble House) があった。

 2001年に刊行され、2005年に再刊されたもの(だと思う)。以前は二巻(右下の二冊)だったものが、まとめて一冊になった。
 前に手に入れ損なっていたのだが、今年の7月に復刊されていることを知って、あわてて注文。THE ANTHONY BOUCHER CHRONICLES  the week in murderTHE ANTHONY BOUCHER CHRONICLES  as crime goes by

 ごぞんじ評論家・作家アンソニー・バウチャーによる戦中戦後のミステリー書評&コメント集。題名にあるとおり、1942年から1947年までのミステリ時評を読むことができる。

 個人的には、もう少し先、50年代の書評を集めた本がぜひ欲しいところだ。
British Crime Writing An Encyclopedia vol.2 I-Z

 ついでにもう一冊。
 Craig McDonald "ROGUE MALES"(Bleak House Books)。作家であるクレイグ・マクドナルドによるインタビュー集。

 ジェイムズ・クラムリー、エルモア・レナード、ダニエル・ウッドレル(『白昼の抗争』)、アリステア・マクラウド(『彼方なる歌に耳を澄ませよ』) 、アンドリュー・ヴァクス、ジェイムズ・エルロイ、マックス・アラン・コリンズ、スティーヴン・キャネル、クレイグ・ホールデン、ピート・デクスター、ランディ・ウェイン・ホワイト(『波間に消えた叫び』)、リー・チャイルド、ジェイムズ・サリス、ケン・ブルーウン(そのほかトム・ラッセルやキンキー・フリードマンといったミュージシャンも含む)。
British Crime Writing An Encyclopedia vol.2 I-Z ちなみに、クレイグ・マクドナルドは以前、 "Art in the Blood"というインタビュー集を出していた。


■■  08/04 2009 ■■■

British Crime Writing An Encyclopedia vol.1 A-H今春、英国で "British Crime Writing An Encyclopedia"(Greenwood World Publishing) なるハードカヴァー2巻本が出た。

 編者をつとめているのは、バリー・フォーショー氏。雑誌 "Crime Time"の編集者。以前、ここで"The Rough Guide to Crime Fiction"を紹介したことがあった(本欄、12/23 2008 を参照)。

 英国の犯罪小説作家(日本でいうミステリー作家)を紹介しているほか、各ジャンルの説明や英国の映画、テレビにおける作品も取り上げている。

 要するに、クリスティ、セイヤーズなどの黄金時代の作家からフォーサイス、ヒギンズ、ライアルなどのスリラー作家、アンブラー、ル・カレなどのエスピオナージ(スパイもの)……などを網羅した、英国ミステリー大事典。
 まだ詳しく見てないのだが、作家や評論家など、有名な書き手がさまざまな項目を担当している模様。ただし主要作しか挙げてないなど、仏のメスプレードによる大辞典とくらべるとおよそ見劣りしてしまう。しかし、利点は、英国にしぼって取り上げているところ。項目によってはすごく参考になる。
British Crime Writing An Encyclopedia vol.2 I-Z

Golden Age Crime Fiction
Thrillers
Academic Crime
Espionage
Comic Crime
Detectives
Foreign Seting
Historical Crime
Literary Crime
True Crime
Anthologists
Magazines
Film
Television

 ちなみに全2巻のお値段は £85.50。 英国アマゾンだと送料込みで、いまなら約1万5千円(日本アマゾンだと本日18556円なり)。


■■  06/26 2009 ■■■

この何年間か、北欧ミステリとくにスウェーデンの作家が日本に紹介され、人気を誇っている。

※マイケル・ヘニング(〈クルト・ヴァランダー・シリーズ〉『殺人者の顔』『リガの犬たち』『白い雌ライオン』『笑う男』『目くらましの道』、単発作『タンゴステップ』(すべて創元推理文庫)
※カーリン・アルヴテーゲン『罪』『喪失』『裏切り』『恥辱』(すべて小学館文庫)
※リサ・マークルンド『爆殺魔』(講談社文庫)
※ホーカン・ネッセル『終止符』(講談社文庫)
※アンデシュ・ルースルンド/ベリエ・ヘルストレム『制裁』『ボックス21』(すべてランダムハウス講談社)
※オーサ・ラーソン『オーロラの向こう側』『赤い夏の日』『黒い氷』(すべてハヤカワ文庫)
※スティーグ・ラーソンのミレニアム三部作『ミレニアム1 ドラゴン・タトゥーの女』上下『ミレニアム2 火と戯れる女』上下『ミレニアム3』上下(すべて早川書房)
 などなど(まだあったっけ?)。

 で、スウェーデンの探偵、推理小説なんてページを見つけた。
 これによると、98年にジャスティン・エークマン『白い沈黙』(講談社文庫)なんて作品が出ている。読んでないや。


■■  05/16 2009 ■■■

「本棚の中の骸骨」〈藤原編集室〉の紹介で知った、研究社「Web 英語青年」で諏訪部浩一氏による「『マルタの鷹』講義」が連載中(うれしい!)。
 バックナンバーは、pdf形式で読める。印刷できる。

 ある文学作品を詳細に分析した例はこれまでいくらもある。普通に読んでは気がつかないような、作者が行間に仕組んだ謎や作者自身の半生との関係など思わぬ秘密を解き明かした本も多い。だが、ミステリの場合、なかなか細部までつっこんだ研究や評論は少ないのだ。文庫巻末の解説はいっぱいあるけど。
 古典の有名な作品に関して、もうそろそろ「ネタバレ」を気にせず、一冊まるごと徹底して解き明かしてみせたものを読みたいものだ。

 で、「『マルタの鷹』講義」第二回の冒頭で、
〈「失踪」とは古典的探偵小説において、おそらくは「殺人」と「脅迫」に並んで「定番」の事件である……。〉
 とあるが、古典的探偵小説のみならず現在にいたるまで、アメリカのPI(私立探偵)小説(日本でいうハードボイルドの探偵物)では、かならずといっていいいほど、この題材がとりあげられるのだ。どうしてか?
 この世界から誰かがいなくなった。その欠落を埋めて失われた秩序をもとに戻すのが探偵の役割だとしても、なぜ、ハードボイルドの「定番」なのか。

 もしくは、チャンドラーにおける「失踪」の話とはどんな作品か。《ブラックマスク》誌の頃から、すでに頻繁に「失踪」事件が扱われていたのか……。いろいろ調べたり考察したりすると面白い題材はたくさんあるのだった。


■■  04/15 2009 ■■■

the Dasheill Hammett Tourこちらもかなり前に刊行が予告されていながらなかなか出ず、ようやくこの春に出版されたハメット関連本。

  Don Herron "the Dasheill Hammett Tour"(Vince Emery Productions)は、サンフランシスコで1977年からハメットゆかりの地や作品に登場する場所などを巡るハメットツアーの案内人をやっているドン・ヘロンさんによるガイドブックの30周年記念版だ。

 旧版(写真左下)とは異なり、ハードカヴァーで214ページ。前半のパート1ではハメットの生涯が簡単に記されており、後半のパート2ではハメット・ツアーの地図とコース、ポイントごとの紹介が写真入りでされている。
 ドン・ヘロンさんのHPはここDon Herron's Official WebsiteDon Herron

 hammett tour 旧版さぁ、ハメット・マニアは、これを持って、いますぐサンフランシスコへ旅立とう。ヘロンさんのツアーに参加しよう。

 で、本書は "the ACE PERFORMER COLLECTION" シリーズの第4弾として企画されたもの。 Discovering The Maltese Falcon Hammett's Moral Vision Lost Stories
 これまで、"Lost Stories"、"Hammett's Moral Vision"、"Discovering The Maltese Falcon and Sam Spade"の三冊が刊行されており、まだ続けてハメット関連の本が出版される模様。
 近刊として、"The Crime Wave: Collected Nonfiction" by Dashiell Hammett とある。


■■  03/13 2009 ■■■

Black Noir  the rap sheet というブログの3月6日(金曜日)付けにて、 ドナルド・ゴインズの "Daddy Cool" という小説が扱われていた。
 別欄でも取り上げたとおり、このゴインズさんに関しては日本で一作『ブラック・デトロイト』(ヴィレッジブックス)だけ翻訳されている。奇しくもこのブログ記事が書かれたのは、翻訳者である作家・東山彰良氏の大藪春彦賞授賞式の日だった。
 おそらく現在ゴインズの原書著作はほとんどペイパーバックで手に入るほか、評伝として Eddie B. Allen Jr. "Low Road: The Life and Legacy of Donald Goines" も刊行されている(昨年ペイパーバック版が出た)。

 で、この「ゴインズの『ダディ・クール』を読むべし」と語るブログの文中にオットー・ペンズラー編 "Black Noir" (Pegasus Books) が取り上げられている。副題が、"Mystery, Crime and Suspense Stories by African-American Writers" 。
 すなわち黒人ミステリ作家のアンソロジー。
 チェスター・ハイムズ、ウォルター・モズリイ、ガー・アンソニー・ヘイウッドといった作家以外は、ほとんど初耳の書き手ばかりだ。こうした短編集もめずらしいのではないか。
African Anerucan Mystery Writers
 そして次にもう一作、昨年末に出た Frankie Y. Bailey "African American Mystery Writers" (McFarland)も挙げられている。
 副題が "A Historical and Thematic Study" 。すなわち、米国黒人ミステリ作家の歴史とテーマの研究書。値段はそこそこするが関心のある者にとって貴重な一冊である。ぱらっと見ただけながら巻末の Appendix も充実している。
 ちなみに、これ、本年度 MWA賞の Best Critical/Biographical にノミネート されているのだった。

 もしかすると、こうしたアンソロジーや評論研究書が相次いで出たのも、バラク・オバマ氏が大統領になったいまのアメリカの時流なのかもしれない。

 それにしても日本でウォルター・モズリイはまったく翻訳されなくなってしまった。
 一番最近のものでは、エド・マクベイン編『十の罪業 Black』(創元推理文庫)というアンソロジーに、ウォルター・モズリイ「アーチボルド -- 線上を歩く者」という中編が収録されている。わたし個人として、この『十の罪業』(Red & Black の2冊)のなかで特に印象深い作品だった。


■■  02/13 2009 ■■■

Selective Memory2007年秋、キャサリン・ホワイトホーンの自伝 "Selective Memory" が刊行された。最近そのことを知りペイパーバック版(08年刊)を入手した。

 1928年生まれの彼女は、英国のジャーナリストとして活躍し、コラムニストとして約十冊ほどの著作を出している。イギリスの新聞オブザーバー紙に長年コラムを書いていた有名人。
 また、しばしば名言集などに彼女の言葉が取り上げられていることがあるようだ( 英語ウィキペディアの項 にも引用がある)。

 なにをかくそう、このキャサリンさんは、『もっとも危険なゲーム』『深夜プラス1』などで知られる英国冒険小説作家ギャビン・ライアル(1932-2003)の奥さんなのである。
 このサイト Social Web Rambling によると、なんでも、むしろライアルが「ミスタ・ホワイトホーン」と呼ばれ、ライアルがくさったということがあったとか。「スティーブ・マックイーンが深夜プラス1の映画化に乗り出した(ところで急死した)」なんて知らなかった。
Gavin Lyall
 で、ぱらっと本のページをめくってみると、あちこちでギャビン氏について触れている。
 たとえばライアルの処女作『ちがった空』についてキャサリンさんいわく、「チャンドラー風なワイズクラックがたくさんある」。
 続けて「キャラクターにのちの作品のような深みはないかもしれないけれど、確実に心をとらえる」と。

 そのほか、ギャビン氏の写真(左上と右下)も掲載されている。
 どうやら内容自体は、赤裸々にキャサリン自身の生涯を書き連ねた、というわけではないようだが、夫ギャビン・ライアルは自伝を残さなかった(はず)だけに、夫婦や家族の話などが読めるため貴重かつ興味深いもの。



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