クレジット サラ金 問題の現場から



事例6.破産者をターゲットにする超高金利違法業者!
(ヤミ金に対する支払拒絶・過払金請求事件)



 またもや、突然、泣き入るような声で、業者からの執拗な取立に対する助けを求める電話が入りました。

 その依頼者は、ダイレクトメールによって申し込んだ東京の高利金融業者からの借り入れの返済に窮し、精神的にも疲弊しきっていました。
 「くそばばあ、早く返せ!」「この野郎!」「勤務先に行くぞ!」「娘の会社に電話するぞ!」そんな言葉を電話で浴びせられ、恐怖心に震えていたようです。

 よくよく事情を聞いてみますと、この依頼者は、3年前に自己破産の申立をしており、免責の決定も確定しており、完全に復権を果たしておりました。
 ただ、その後の生活も、収入がまったく増えないことから依然として厳しく、そんなところに、「他店で断られた方でも120%OK」「ブラックの方、破産した方でもOK!」といった内容のダイレクトメールが頻繁に届くようになったようなのです。

 依頼人は、高齢者で、その収入はビルの清掃の仕事から得られる月7万円程度のお金だけしかありません。
 息子や娘からの援助で細々と生活をしてきたのですが、息子らもけして経済的余裕があるわけではありません。
 そうした状況の中、依頼人は半信半疑ではありましたが、ダイレクトメールの融資申込書を郵送することになったわけです。

 ダイレクトメールには、前述したとおりの甘い文句の他に、利息も20%程度という利息制限法や出資法の範囲内の利息の表示がされています。
 依頼人も、まさかこのような事態に追い込まれるとは、夢にも思っていなかったようです。

 ところが、実際に借りてみると、わずか数万円の元金に対し、その3割から5割の利息を1週間から10日のうちに支払わなければならないという超高金利でありました。(実際に、下記に掲載した業者「ドリームランド(仮名)」のケースでは、元金25,000円に対し、10日で8割程度の超高金利となっていることが分かります。)
 よくテレビや漫画などで「トイチ」などという言葉を聞いたり見たりすると思いますが、これは10日に1割の利息を取るという業者のことを指しています。
 しかし、現実の世界は、それ以上の利息を取る業者が野放しにされているのです。
 計算をしてみれば分かりますが、年利にしてみれば天文学的(?)な数字になってしまいます。



 この依頼人は、こうした違法業者20社程度からお金を借りており、自転車操業を繰り返していました。
 もちろん、その背後には、違法業者間のネットワークがあるのだと思われます。
 食らいついたカモは絶対放さない・・・そういうシステムができあがっているのです。

 実際、私が自己破産手続に関与した依頼人の全員に、こうしたダイレクトメールが山のように届いています。

 もちろん、こうした業者が取っている高金利は、出資法の上限金利年29.2%を遙かに超える違法金利であり、本来であれば刑事罰を受けるものです。
 そして、民事上も、利息制限法の上限金利である年20%によって計算し直せば、すでに過払いになっているものばかりでありました。


           通知書

 当方は、平成13年5月28日、貴社より金25,000円を借り入れ、以降、後記のとおり返済をしてきました。
 しかしながら、当方は、他社からも同様の借入をしており、返済に窮していたところ、利息制限法を知り、貴社の金利は利息制限法を超え、貸金業の規制等に関する法律43条の適用もないことから、利息制限法を超過する部分については無効であることも知りました。
 また、貴社の利息は、出資法の上限金利である年29.2%を大きく超えており、刑事罰の対象にもなりうることも知りました。
 したがいまして、当方は貴社に対し、後記のとおり、過払い金が金134,880円あることになりますので、速やかに右過払い金の全額を返還してください。
 貴社が、これ以上、当方に対する請求を続けるということであれば、民刑双方の法的手段をとらざるを得ませんので、この点ご了承ください。

           記

取引日 借入額 返済額   残元金
H13.5.28 25,000       25,000
H13.6.4       20,000   5,095
H13.6.13   20,000  -14,880
H13.6.21   20,000  -34,880
H13.7.2   20,000  -54,880
H13.7.11   20,000  -74,880
H13.7.19   20,000  -94,880
H13.7.31   20,000  -114,880
H13.8.8   20,000  -134,880


平成13年8月**日

静岡市****
(差出人) 大 川 好 子(仮名)

東京都新宿区西新宿*****
(受取人)
  ドリームランド(仮名)こと****殿




 そこで、早速上記のような内容証明郵便を、全業者に対して配達証明書付きで送付することにしました。
 幸い、依頼人は、すべての業者のダイレクトメールを保存しており、これまで業者に対して支払った銀行振込の明細書も持参してくれましたので、計算は簡単に済みました。

 業者はすべて東京でしたので、依頼人への貸付金の入金は、依頼人の銀行口座に振り込まれます。
 したがいまして、貸付元金や貸付日は明らかに証拠として残ります。
 一方、依頼人の業者への支払いは、銀行振込や郵便振替によることとなりますから、その利用明細書を処分してしまうと、銀行へ取引経過を開示してもらうほかありません。
 もっと面倒なことは、こうした違法業者は、長期間の営業を予定していないことです。
 つまり、ダイレクトメールなど、業者の所在を特定できるものがあれば良いのですが、それが無いと、所在をつきとめるのすら困難だということです。



 さて、本件においては、すべての業者に対して、上記の内容証明郵便は配達され、ほとんどの業者の請求は止みました。

 一部の業者が、それでもなお執拗な請求を続け、依頼人に電報を送り続けてきましたが、警告書を再送したところ、それも収束いたしました。



 その後、この件に関して、あまりに酷い業者の取り立てに対処してもらうべく、警察に告発状を持って相談に行ってきました。

 ただ、業者が東京であることなど、障害となることが多かったようで、正式に受理してもらうところまでには至りませんでした。
 しかしながら、やはり、このような業者に対して厳しい取り締まりができるのは、警察の他ありえません。多重債務者が増え続ける限り、こうした多重債務者を食い物にする悪質業者も増え続けるわけですから、是非、今後は積極的な取り組みに期待させていただきたいと思っています。

 参考までに告発状を掲載しておきます。参考にしてみてください。


           告発状

平成13年*月**日

          告発人 司法書士 小  澤  吉  徳

静岡県警察本部 御中

 住  所 〒420ー**** 静岡市*****
              電話 054−***−****
          告発人 司法書士 小  澤  吉  徳

         被告発人については別紙のとおり

告発の趣旨

 被告発人らの下記各所為は、出資の受入れ、預り金及び金利等の取締りに関する法律(以下「出資法」という。)第5条第2項に違反するので、速やかに取り調べの上、厳重に処罰されたく告発する。

告発の理由

1、被告発人***こと****は、東京都千代田区*****で貸金業を営むものであるが、別紙取引経過一覧表(1)のとおり、平成13年*月26日に、静岡市*****、*****に対し、金銭を貸し付けるにあたり、年29.2%を超える割合による利息を受領し又はこれを超える割合による利息の契約をしたものである。

2、被告発人株式会社****こと*****は、東京都豊島区池袋*****で貸金業を営むものであるが、別紙取引経過一覧表(2)のとおり、平成13年*月20日に、静岡市****、****に対し、金銭を貸し付けるにあたり、年29.2%を超える割合による利息を受領し又はこれを超える割合による利息の契約をしたものである。

以下同様

特 記 事 項

1、近時、スポーツ新聞などに広告を掲載したり、破産者ないしいわゆる多重債務者に対してダイレクトメールを発送する貸業者が急増している。こうした広告やダイレクトメールでは、自らを優良業者であるとうたっているものがほとんどであるが、実際には他店を紹介すると偽り審査の甘い業者を教えるだけで違法な手数料を受領するものや本件被告発人のように違法な超高金利を約束させられるものがほとんどである。
 こうした業者はほとんどが東京(新宿、池袋、渋谷など)であるが、静岡のような地方都市にも、多くの業者が参入している。

2、告発人である当職は、平成9年より、任意団体である静岡県青年司法書士会の「クレジット・サラ金問題相談センター」の事務局長をしており、こうした違法業者に関する相談も多数受けていたが、近時その件数は激増している(「クレジット・サラ金問題相談センター」は、静岡市の当職の事務所のほか、浜松、三島、沼津、焼津、島田にも支部が存在しており、各支部とも近隣の市町村役場の相談窓口から、クレジット・サラ金の多重債務に困窮した相談者から多数の相談が寄せられている。各支部にも近時、多数の違法業者に関する相談が寄せられている。)。
 こうした違法業者の取立行為は、常軌を逸したものが多い。「早く払え、この野郎!」などといった口調で自宅・勤務先を問わず支払いを迫り、連帯保証人でもない親族に対しても同様に返済を強要する。そうした所為により、債務者は計り知れない恐怖感を抱くこととなり、他の業者からの借り入れを起こしてまでも返済を続けることとなるのである。このような手口は極めて悪質であると言わざるをえない。

3、告発人は、平成13年*月、静岡市*****、*****より相談を受け、各被告発人からの入金を同人の預金通帳から、各被告発人に対する支払いを銀行振り込み用紙控え写しから洗い出したところ、各社とも前述したとおりの違法金利を受領していることが判明した。
 利息制限法によって引き直した結果、明らかに過払いとなっていたので、これ以上の支払いはできない旨の内容証明郵便を作成、各被告発人に対し配達証明付きで送付しており、各被告発人は当該文書を受領している。

4、被告発人****及び****は、法的にも何ら支払い義務のない、****の長男及び長女に対しても、勤務先に電話し、支払いの督促をしている事実が確認できており、また、被告発人****は、****に対し、「早く払え、くそばばあ!」などと暴言も繰り返しているとのことである。

5、なお、各被告発人は、いずれも借用書、領収書など貸金業の規制等に関する法律17条および18条に定める書面の交付を全くしておらず、これ自体が、貸金業の規制等に関する法律49条3号に該当する所為である。

6、さらに、上記の内容証明郵便を送付した後にも、被告発人の何社かは、****に対し、執拗とも言える取り立てを行っている。担当者が社名を明らかにしないため、被告発人のうちどの業者であるのか、特定はできないが、少なくとも被告発人****については、電報を繰り返すなどの行為を未だに繰り返しており、極めて悪質であると言える。

添 付 書 類

1、被告発人のダイレクトメール写し
2、振り込みカード写し
3、銀行振り込み用紙控え写し
4、預金通帳写し
5、完済証明書写し
6、取引経過一覧表(利息制限法に引き直し済)
7、内容証明郵便写し
8、配達証明書写し
9、静岡県青年司法書士協議会「クレジット・サラ金相談センター」集計表
10、電報写し

被告発人目録(省略)




 さて、上記業者に関してでありますが、送付した内容証明郵便には過払い金の返還請求をしています。
 しかしながら、予想通り、この返還をしませんでした。
 上記業者に関しては、過払い金も相当額になっているため、簡易裁判所に少額訴訟を提起することとしました。

       訴  状(少額訴訟)     

平成13年**月4日

静岡簡易裁判所 御中

             原  告   *****

    〒421ー**** 静岡市*****
             原  告   ****

    〒171−**** 東京都豊島区******
              ****池袋ビル***階
             被  告 ****こと
                  ******
             電話番号  03−****−****
             ファックス 03−****−****

 本年御庁に少額訴訟による審理及び裁判を求める回数   1回

不当利得返還等請求事件

 訴訟物の価格   金134,880円
 貼用印紙額      金1,500円

請求の原因

1、被告は、原告に対し、金13万4,880円及びこれに対する平成13年8月24日から支払い済みに至るまで年5パーセントの割合による金員を支払え。
2、訴訟費用は被告の負担とする。
との判決を求める。

請求の趣旨

1、原告は、平成13年*月28日、被告より金25,000円を借り入れ、以降、毎週金20,000円を返済をしてきた。
 その詳細は計算書記載のとおりである。

2、ところで、もともと被告の原告に対する請求金額は、利息制限法を超過する無効な利息をもとに計算されたものである。
 したがって、利息制限法超過利息の弁済については、元本に充当されるべきものである。

3、そこで、原告と被告との今日に至るまでの取引経過を利息制限法所定の金利に引き直して利息及び元本に充当した結果、別紙「計算書」のとおり、原告は、被告に対し金13万4,880円の過払いとなっており、原告は、被告に対し金13万4,880円の不当利得返還請求権を有することが判明した。

4、原告は、平成13年*月23日、被告に対し、配達証明書付内容証明郵便において、上記過払い金の返還を請求し、同書面は、同年同月24日に被告に配達されたのであるが、被告はその返還をしない。

5、よって、原告は、被告に対し、不当利得返還請求金として金13万4,880円及びこれに対する平成13年*月24日から支払済み至るまで年5パーセントの割合による金員を求めるため、この訴えを提起する。

証拠方法

1、甲第1号証      預金通帳
2、甲第2号証      利用明細書
3、甲第3号証      計算書
4、甲第4号証      内容証明郵便
5、甲第5号証      配達証明書

添付書類

1、訴状副本      1通
2、甲号証写し    各1通  





 提訴後、当職のもとに上記業者から電話が入りました。
 話に聞いていた依頼人に対する対応とはずいぶん違い、「過払い金は返還するので、少し金額を負けてもらえないか。」という趣旨です。
 依頼人にこのことを話しましたところ、これ以上関わりになるのは避けたいので、一括で返還してくれるのであれば、業者の話には応じたい、とのことでありました。

 まだ続く・・・・




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