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事例9.より柔軟になった司法書士による債務整理事件!
(司法書士による任意整理事件)
既に当HPでも告知させていただきましたとおり、司法制度改革の一環として、司法書士法が大きく改正され、認定を受けた司法書士に限り、簡易裁判所における訴訟代理権及び裁判外での和解交渉の権限(ただし、簡易裁判所の事物管轄に限定されています)が付与されることになりました。
これにより、認定司法書士は、いわゆる債務整理事案において、これまで弁護士しか扱うことができなかった裁判外における任意整理が可能となりました。
任意整理は、裁判上の手続きに比較し、より柔軟な解決を図ることができ、その分、債務者にとってもメリットが大きいものですから、今後は、当事務所においても債務整理手続きにおける中心的な存在となっていくことでしょう。
以下、典型的な任意整理例をご紹介します。
依頼人から聴取したところによると、借り入れ状況は次のとおりです(受任日は、平成15年8月と仮定してください)。
業者名 業者の主張する残債務額 取引の開始時 A社 100万円 平成4年不詳 B社 100万円 平成4年不詳 C社 50万円 平成8年不詳 D社 50万円 平成9年5月 E社 50万円 平成14年6月 F社 50万円 平成15年1月 合計額 400万円
ただし、今回の依頼人は、業者との取引日及び全ての取引履歴を明確にできる資料を一部しか所有しておりませんでした。
そこで、まずは、各業者との取引を利息制限法所定の金利に引き直し計算をすることが必要なため、受任通知(債務整理開始通知)に過去の取引履歴の開示請求を盛り込み、すべての業者に送付しました。
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債権者 各位 平成15年8月 1日 冠省 当職は、この度、後記依頼者から依頼を受け、同人の債務整理につき司法書士法3条1項に定める裁判所提出書類作成業務、簡易裁判所における代理業務及び裁判外の和解業務を遂行することになりました。つきましては、次のことをお願いいたします。 1.混乱を避けるため、今後、依頼者や家族、保証人への連絡や取立行為は中止願います。 2.正確な負債状況を把握するため、依頼者(依頼者が保証債務を負っている場合には主債務者)の貴社との当初からの取引経過の全て(過去に完済分がある場合には完済分も含む)、及び当初の契約関係書類を、来る8月15日までに開示してください。 なお、貸金については利息制限法にもとづいて計算していただき、もしも貸金業規制法43条の適用を主張される場合にはその要件を証明する書面も添付してください。 3.本件についてのご連絡・お問い合わせは、書面により郵便又はFAXにてお願いいたします。電話でのご連絡・お問い合わせはお控えいただきますようお願いいたします。 調査完了後に、当職より債務整理方針等をご通知いたします。以上ご通知申し上げますので、ご理解、ご協力をお願いいたします。草々 (注)本通知は、時効中断事由として債務承認をするものではありません。 上記のとおり、債務整理を委任いたしました。貴社に対しましては大変ご迷惑をおかけいたしますが、今後の手続にご協力をお願いいたします。 なお、私が貴社に対し公正証書作成に関する委任状を提出している場合には、その委任は本書をもって撤回いたします。 住 所 静岡市****** 氏 名 甲野一郎 (男) 生年月日 昭和33年3月3日 |
上記の通知書に対し、お願いした期日までに資料の全部の開示に協力してくれた業者は、わずか1社にすぎませんでした。
そこで、非協力的な業者に対しては、二回目の開示請求をすることとしました。
****株式会社 御中
平成15年8月 16日
住 所 〒422―****
静岡市*******
電 話 054−***−****
FAX 054−***−****
後記依頼者代理人司法書士 小澤吉徳
認定番号*****
債権再調査依頼書(第2回)
冠省 後記依頼者の代理人として、次のとおりお願いいたします。
過日、当職より貴社における依頼者の取引経過開示をお願いしておりますが、下記の事由により十分な回答を得ておりません。
記
貴社からご回答いただきましたものは、残高の記載しかありません。貸付日が平成15年2月21日となっておりますが、それ以前の取引きが存在しているものと思われます。取引の当初からの取引経過の開示を、来る8月25日までにお願いします。
なお、貸金業の規制等に関する法律及び金融庁ガイドラインでは、貸金業者の開示協力義務が定められています。これに関しては、同法上の帳簿保存義務が3年であることとは関係がありません。したがって、全取引の開示をお願いします。
また、十分な開示がなされない場合には監督官庁に対し行政指導を求めることもありますので念のため申し添えます。 草々
住 所 静岡市******
氏 名 甲野一郎 (男)
生年月日 昭和33年3月3日
2回目の開示請求に対しても非協力的な業者に対しては、3回目の開示請求を行い、また、直接電話で交渉するなどして、受任通知から一ヶ月を経過した平成15年9月、ようやく、すべての業者から取引履歴が出揃うこととなりました。
そこで、これらを、すべて利息制限法所定の金利による引き直し計算をしたところ、その計算結果は下記の通りとなりました。
業者名 利息制限法による残債務額 取引の開始時 A社 −50万円 平成4年不詳 B社 −30万円 平成4年不詳 C社 2万円 平成8年不詳 D社 10万円 平成9年5月 E社 40万円 平成14年6月 F社 45万円 平成15年1月 合計額 金17万円
これによると、A社とB社については、過払い金が発生していますので、まずは、裁判外においてその返還を請求しました。 ところが、いずれも任意に応じてきませんでしたので、やむを得ず、提訴をすることとしました。
訴 状
平成15年9月1日
静岡簡易裁判所 御中
原告訴訟代理人司法書士 小 澤 吉 徳
当事者の表示 別紙当事者目録記載のとおり
請求の趣旨及び請求の原因 別紙請求の趣旨及び請求の原因記載のとおり
不当利得返還請求事件
訴訟物の価格 金500,000円
貼用印紙額 金4,600円
証 拠 方 法
1、甲第1号証 取引履歴明細
添 付 書 類
1、訴状副本 1通
2、甲号証写し 各1通
3、資格証明書 1通
4、訴訟委任状 1通
当事者目録
〒421‐**** 静岡市*****
原 告 *****
〒422−**** 静岡市****
小澤司法書士事務所 (送達場所)
上記訴訟代理人司法書士 小 澤 吉 徳
電 話 054−***−****
FAX 054−***−****
〒100−**** 東京都****
被 告 A株式会社
上記代表者代表取締役 ****
請求の趣旨及び請求の原因
請 求 の 趣 旨
1、被告は、原告に対し、金500,000円及びこれに対する訴状送達日の翌日から支払い済みに至るまで年5パーセントの割合による金員を支払え。
2、訴訟費用は被告の負担とする。
との判決及び第1項につき仮執行の宣言を求める。
請 求 の 原 因
1 原告は,平成4年8月10日、被告より金員を借り入れ、以降、別紙計算書記載のとおり返済をしてきた(甲第1号証)。
2 原告と被告との今日に至るまでの取引経過を,利息制限法所定の金利に引き直して利息及び元本に充当した結果、別紙計算書のとおり、原告は、被告に対し金500,000円の過払いとなっており、原告は、被告に対し金500,000円の不当利得返還請求権を有することが判明した。
3 よって、原告は、被告に対し、不当利得返還請求金として金500,000円及びこれに対する訴状送達日の翌日から支払済み至るまで年5パーセントの割合による金員を求めるため、この訴えを提起する。
C社に対しては、わずか2万円が残ることとなりましたので、一括払いの和解を申し入れ、D社、E社、F社に関しては、分割払いの和解を申し入れることとしました。
E株式会社 御中
平成15年8月 16日
住 所 〒422―****
静岡市*******
電 話 054−***−****
FAX 054−***−****
後記依頼者代理人司法書士 小澤吉徳
認定番号*****
和解申入書(全額分割弁済)
冠省 後記依頼者の債務整理につき、債権調査にご協力いただきまして厚くお礼申し上げます。
さて、後記依頼者についての債務弁済計画は同封の和解書(案)記載のとおり、月々の収入からの分割弁済をご提案させていただきます。
なお、分割弁済計画の基礎となる債務額の確定につきましては、利息制限法所定の利率で引き直し計算をした最終支払日の残元本とさせていただきました(計算結果は別紙とおりです)。
最終支払日以降の利息損害金は全額免除していただくしかありません。
ご不満等もあろうかと存じますが、ご理解ご承諾を賜りたくお願いするものです。
ご承諾いただけます場合は、同封の和解書に所定事項をご記入ご捺印のうえ、当職までご返送ください。
本件についてのご連絡・お問い合わせは、書面により郵便またはFAXにてお願いいたします。電話でのご連絡・お問い合わせには応じかねますのでお控えいただきますようお願いいたします。
住 所 静岡市******
氏 名 甲野一郎 (男)
生年月日 昭和33年3月3日
和 解 書
下記甲乙間において、次のとおり和解契約を締結した。
1.甲と乙との間の金銭消費貸借取引についての借受金債務として、甲は、乙に対し、本日現在、金40万円の支払義務のあることを認める。
2.甲は、乙に対し、前項の金員を、次のとおり分割して、乙の指定する下記口座に送金して支払う。
(1)平成15年9月末日から平成18年7月末日まで毎月末日限り金11,100円
(2)平成18年8月末日限り金11,500円
(3)支払口座
**銀行 静岡支店 普通預金 *****
口座名義人 ****株式会社
3.甲が前項の金員の支払いを二回以上怠り、その額が金22,200円に達したときには、当然に期限の利益を失う。
4.乙は、甲に対するその余の請求を放棄する。
5.甲と乙とは、前各項に定める事項のほかは何らの債権債務がないことを交互に確認する。
6.本件和解に要する費用は各自の負担とする。
以上の和解契約の締結を証するため、本書2通を作成し、甲及び乙が各1通を所持するものとする。
平成15年 月 日
当事者 甲 静岡市******
甲 野 一 郎
上記代理人 静岡市******
司法書士 小 澤 吉 徳
(静岡県司法書士会所属 認定番号第*****号)
当事者 乙
いずれの業者も、同様の和解案に同意してくれましたので、調印ということになりました。
一方、過払い金の返還請求訴訟については、第一回目の口頭弁論期日前に和解をすることとなり、下記のとおりの結果で、債務整理を終了しました。
業者名 最終結果 A社 45万円の過払い金の回収 B社 28万円の過払い金の回収 C社 2万円の一括払い D社 10万円の20回払い(将来の利息は免除) E社 40万円の36回払い(将来の利息は免除) F社 45万円の36回払い(将来の利息は免除)
このように、簡裁代理権を付与された司法書士による任意整理では、これまで司法書士が行ってきた債務整理と比較し、大きな柔軟性を得ることができました。
一方で、この代理権により、いわゆる整理屋と提携する司法書士が増加する懸念も存在します。
簡裁代理権の付与された経緯と趣旨(国民の司法アクセスの拡充)をきちんと認識し、負託された職責を全うするべきでありますから、そのような司法書士に対しては、会として毅然とした対応をとらなければ、国民の信用は勝ち取れないでしょう。