1.商売がバブルではじけて...

 かかえきれない借金、大きな借金を背負ってしまった人たちに対する世間の目は、依然として非常に冷たいものがあります。
 「借りたものは返す。」これは小学生でも知っている常識であり、大人がそんな当たり前の約束を守らず安易に自己破産の道を選択する、そんなことが社会的に許されて良いのか、というのが多くの人の意見であるからです。
 もちろんその考え自体は間違っていませんが、事態はそれほど単純ではないことを認識していただきたい思います。

 木村さん(仮名)は、小さな布団屋を妻と二人で営んでいました。それほどの売り上げがあったわけではありませんが、子供二人を大学に進学させるだけの余裕はあり、人並みの生活を営んでおりました。
 ところが、日本全国を襲ったバブル経済の崩壊によって、木村さんの店は大きな打撃を被ることになります。
 消費者がきっちりと財布の紐をしめ、布団などといったものには余分なお金を使わなくなったことにより、売り上げは激減してしまったのです。
 また、円安も関係して、商品を売っても利益が伸びず、僅かながらの蓄えも底をつき、国民金融公庫などから運転資金を借り入れるようになりました。
 いつかは景気もよくなる、そう信じて頑張っていたのですが、一向に景気は良くならず、ついにサラ金業者のドアを叩くことになってしまいました。
 生活費が無くなってしまったからです。
 当初、サラ金というものには非常に抵抗感があった木村さんでしたが、店内に入ってみると、銀行とさほど変わらない雰囲気で、むしろ愛想は銀行などよりも良い感じられ、次第に抵抗感は消えていきました。

 数年前、バブル経済が華やかだったころ、若年層の浪費によるカード破産がマスコミによって大きく取り上げられました。
 その論調は、ほとんどにおいて、「贅沢だ。けしからん。」といったものでした。
 消費者の購買欲を煽り、カードを乱発する業者に対するお咎めはほとんどなかったように記憶しています。
 確かに、浪費が原因で多くの借金をつくってしまう人間も存在します。そのようなケースでは、本人の金銭感覚の欠如にも問題はあるのでしょうが、そういった金銭感覚を麻痺させるようなCMを撒き散らしている業者にはまったく責任はないのでしょうか?

 さて、景気の低迷を続ける現在の日本においては、上記のような浪費による破産はほとんど影を潜めています。
 本件のような生活苦による破産が多くを占めているのです。
 リストラ、交通事故、病気といったきっかけが原因で生活費が不足する。その生活費を補うために、簡単な審査でお金を貸してくれるサラ金業者へ行く。
 このような理由でサラ金業者に頼らざるを得ない人が多く存在するという事実を、単純に自己責任という言葉で片づけることが出来るのでしょうか?



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