その1.
「最低資本金に達していない会社の整理」
「司法書士会って所からこんなはがきが来たんだけれども...」
見ると、最低資本金を満たしていない会社への通知書である。平成2年の商法改正により、株式会社及び有限会社に最低資本金制度が導入され、株式会社については金1、000万円、有限会社については金300万円を満たす必要が出てきた。既存会社については5年間の猶予が与えられ、その間に資本増加の手続きを取れば良かったのである。
「ずいぶん高飛車な態度だね。お役所からの通知かと思ったよ。」
時の経つのは早いもので、その猶予期間の経過は正にあっと言う間の出来事であった。期間中に最低資本金額を満たすことの出来なかった会社は、解散したものとみなされ職権によりその手続きをとられた。
「国ってものは乱暴だね。そんなことが許されるのかね。」
そもそも商法で予想している株式会社というものは、資本金が数千万円程度の中小企業ではない。大企業である。中小企業向けには、有限会社という制度で法律は対応している。ところが、現実には株式会社の95%以上は零細企業であると言われている。
法人格取得による節税、社会的評価が高まる、といったような目的で会社を設立するケースがその数字の裏付けとなっているようだ。したがって現実には、実質的に個人商店と何ら変わらない会社も少なくはない。
「別に会社組織にこだわっちゃいないよ。解散なら解散だっていいんだ。」
株式会社や有限会社というものは、いくらワンマン会社であっても社長個人の財産と会社の財産は明確に区別されており、会社が倒産しても社長の個人財産までは差し押さえられることない。会社の債権者にとってあてにできるのは、会社の資産だけなのだ。そこで法は、平成2年、会社の債権者を保護するため最低資本金制度を導入したわけである。
「株式会社ってのは面倒で仕様がない。役員変更だの何だの...」
みなし解散となってしまってからも、3年以内であればその会社を継続することも可能である。もちろん費用は別途必要になるのではあるが...