当事務所の事件簿から



その11. 「遺言を作ってください・・・・」




「私もこの先そう長くはないし、私が死んだあと息子らが相続でもめることのないように、遺言をつくっておきたいと思うんですよ。どうすれば良いのでしょう。」

 遺言は、通常のケースであれば、3つの作成方法がある。
 最初から最後まで自分ひとりで作成する自筆証書遺言と呼ばれるものがまず一つである。おそらく、多くの方が「遺言」としてイメージされる種類のものだと思われる。

「じゃあ、その書き方を教えてください。そうだ。先生が文案を考えてください。私の財産は自宅の土地と建物、その他には・・・・・」

 自筆証書遺言のメリットは、いつでも費用を要せずに自分だけで作成できる点にあるが、その一方では、全文自書しなければならないこと、日付が必ず必要なこと、訂正・削除の方法にも法による規制があるなど、一定の条件を整わせなければ無効となってしまうというデメリットがある。
 また、作成後の遺言書の保管についても、しっかり考えておかなければせっかく作成した遺言が発見されずに終わるという可能性も否定できない。
  
「そうなんですか・・・他のみなさんはどうしてるのでしょうかねえ。」

 自筆証書遺言に関しては、上記のようなデメリットもあることから、一般には、もうひとつの方式である、公正証書遺言が奨励されており、我が司法書士会でも同様である。
 この公正証書遺言によれば、公証人役場に出向く必要があるが、公証人という法律の専門化が関与することから、形式や内容に関して自筆証書遺言に比べて、問題となるケースは圧倒的に少なく、公証人役場において保管されることから紛失や偽造の恐れもない。
 
「費用はどのくらいかかるの?」

 さて、気になる費用であるが、これは遺言する財産の金額によって違ってくる。
 簡単に目安をあげると、遺産の総額が2500万程度であれば、3万円から4万円くらいを考えておけば良い。
 ただし、遺産の分け方によっても費用は異なってくるので、心配であれば、直接公証人役場に問い合わせてみれば良い。丁寧に教えてくれるはずである。

「もうひとつの方式っていうのは、どういうものなんです?どんなときに利用するんでしょうか?」

 最後の3つめの方式は、秘密証書遺言と呼ばれるものである。
 この方式によれば、遺言の内容を誰にも知られることはない。
  ただし、証人や公証人には、遺言の存在自体は知られることになる。
 もし、遺言の存在自体を知られたくないということであれば、自筆証書遺言の方法を選ぶほかないだろう。


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