その4.
「ワンマン社長の解任」
「社長の浪費癖がひどいんで、社長を解任してもらいたいんだけど。」
この会社は、親子、兄弟姉妹などから構成されている、いわゆる同族会社である。
同族会社においては、同族以外の他人に株式が流出することは望ましくないため、必ずと言って良いほど、定款によって株式譲渡を制限する規定を設けている。
そのことによって、会社に対する支配権が維持されているのであるが、いったん紛争が起こると、収拾のつかない事態になる可能性があることも否定できない。
「解任するには裁判所の許可みたいなものが必要なのかね?」
社長、代表取締役の解任は、取締役の過半数が出席する取締役会で、過半数の賛成があればすることが出来る。
解任の効果は、この取締役会の解任決議によって生じ、代表取締役への告知は必要ない、というのが裁判所の見解である。
「その取締役会には社長も出席しなきゃいけないのかね?」
適法な召集手続を経ない取締役会は、無効になってしまう可能性がある。この場合、当然、社長にも取締役会開催の通知をする必要があり、社長に内密で取締役会を開催することは出来ない。
また、社長は解任に関する議案に対し、弁明することもできる。しかし、利害関係を有することから、議決に関してはその権利を行使することが出来ず、いないのと同然に取り扱われることになる。
「解任してからその後はどうするのかね?」
当然、代表取締役は会社の登記事項であるので、第三者に解任の事実を知らしめるため、その旨の登記を申請しなければならない。その際には、上記取締役会の議事録が必要になる。
さらに、代表取締役がその社長1名である場合には、後任者の選任も同時に行う必要がある。
ただし、この場合とは異なり、正当な理由なく代表取締役を解任した場合、それによって生じた損害を、会社がその代表取締役に対して負わなければならない。