当事務所の事件簿から



その6. 「相続人のひとりがアメリカに、、、。」




「夫が昨年亡くなったのですけれども、土地と家屋の名義をまだ変えていないんです。その手続をお願いしようと思いまして、、、」

 ある人が亡くなった場合、夫が亡くなった場合の妻と子のように、その人と一定の血縁関係にある者がその遺産を承継することになる。そして、不動産の名義人が亡くなった場合には、それを公示するための所有権移転手続をする必要がある。
 その手続には、相続を証明する書面として、戸籍謄本などの他に、遺言や遺産分割の協議書などの添付が要求され、さらに遺産分割協議書には印鑑証明書を添えなければならない。

「実は娘の1人が、アメリカのロサンゼルスに嫁いでしまっているんです。」

 相続人の1人がアメリカに居る場合でも、被相続人が日本国籍である以上、その手続は日本の法律によるものとされている。
 しかしながら、アメリカには印鑑証明という制度がないため、それに代わるものとして、サイン証明等を添付する取扱いになっている。
 そして、相続人が日本国籍を有している場合には、遺産分割協議証明書の署名欄になしたサインと拇印について、アメリカにある在外領事館において、それらが間違いなく本人のものであることを証明してもらい、同時に在留証明書を添付する取扱いとされている。

「面倒なんですねえ。」

 アメリカに郵送した遺産分割協議書にサインをしてもらい、返送してもらうまで、約一ヶ月の期間が必要だった。
 仮にその子が亡くなっており、英語しか理解できない孫に相続権が移っていたとしたら、、、
 今後は、このようなケースは多くなるだろう。もちろん、それはアメリカに限られたことではない。我々はもっともっと勉強していく必要があるのだろう。



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