その7.
「遺産分割の協議が整わない場合には、、。」
「母が亡くなって2年経つのですが、いまだに遺産の名義変更を済ましていないんです。」
亡き母に遺言があれば、相続人はそれに従うことになるが、遺言がない場合には相続人間で話し合うことになる。
それを遺産分割協議と言うが、遺産が少ないにもかかわらずこの話し合いがスムーズにまとまらない場合が少なくない。
なお、遺産である不動産の名義変更に期限はなく、**日以内に名義変更をしなければならないということはない。
しかし、長い間放置しておけば、その間に相続人の一部が亡くなり、さらに相続関係を複雑化してしまう恐れがあるので注意したい。
「妻と一緒に母の面倒をずっと見てきたのですが、そういったものは認められないのでしょうか?」
生前母の面倒を見た相続人は、負担した医療費などは寄与分として認められ、逆に生前母から贈与を受けていた相続人はその分差し引かれるべきであるが、そのような事実があるにもかかわらず、杓子定規に法律で定められた相続分を自分の権利として主張する相続人も多い。
遺産に相当の現金があれば良いが、不動産だけしかない、ということになると、それを分割するわけにもいかず、かといって売却してしまえば同居していた相続人が困ってしまい、実際の遺産分割に手間取るのである。
「兄が、いくらか相続分に見合う金銭をほしい、と言って譲らないのです。」
相続人間の話し合いで協議が整わなければ、家庭裁判所に遺産分割の調停を申し立てる方法がある。
調停委員に中に入ってもらい、話し合いにより妥当な解決をはかるのである。
この方法によれば、直接兄弟である相手方と顔を突き合わせて話し合うことがないため、比較的冷静に協議をすることができる。
「何とか次の調停期日で話がまとまりそうです。本当にいろいろとお世話になりました。」
遺産分割調停によって相続人間の合意が取り付けることができれば、その結果が調書となって当事者に送付されることになる。
その後、その調書に基づいて不動産の名義を変更すれば良いのである。
もちろん、その際には、もう他の相続人の印鑑や委任状といった書類は一切必要ない。
「もし、次回にも話し合いがまとまらなかったら、一体どうなってしまうんです?」
調停が不調に終わった場合、次の手段として用意されているのが、審判という手続である。
この手続に関する詳しい説明は別の機会に譲るが、個人の尊厳や両性の本質的平等を基本とした解決が図られていくことになろう。