研修生奮闘記!




有限会社の債務整理手続きを通じて・・・ (平成12年度合格 田代和久)
 事務所に設置されているクレジット・サラ金相談センターの電話に相談の電話入ったその日が手形の期日であった。
 すでに手形に対する法的処置をするには不可能であり、しかも2回目の不渡りで事実上事業の継続は困難であった。債務内容は商工ローン業者からの金融債務が約1,600万円、社長個人のサラ金業者からの借入が約400万円、取引先に対しての債務が600万円程度であった。
 今回の相談での1番の問題点は、社長の親族の不動産に商工ローン業者の担保権が設定されていたことである。
 そこで、商工ローン業者との取引経過の資料を用意してもらい、検討を始めた。契約書を見て驚いたことは、社長と担保提供者である親族以外にも、社長の子、その子の配偶者も限度保証をしており一族が皆拘束されていることが判明した。
 社長の子は、他にも事業資金のためのサラ金からの借入があったため、社長と子の破産手続きの申立で方針はきまった。

 ところで、本題の商工ローン業者に対する対応であるが、今回の事件に関しては取引経過が短く、調停手続き等を利用し過払い利息を元本に充当し債務の圧縮を行うメリットがあまりないとの結論がでた。
 しかも、調停後の弁済資金がないため不動産の売却による返済を行うにいたった。不動産の売却により商工ローン業者に返済すれば、子の配偶者は法的手段をする必要はなかった。

  以上のような結論のもと手続きにはいった。
 相談の日より申立まで僅か3〜4日の間に結論を出し申請書の作成をしなければならない。
 もちろん結論を導くまでの各種実体法、手続き法の知識も必要であるが、法律知識に乏しい多数の当事者に対し、一連の手続きの説明をし理解させ、納得させるためには、想像を絶するタフさが要求される。とても文章で伝えることのできるものではない。
 

 私自身、当事務所に入所して以来、他の研修生同様、司法書士の業務の柱である登記事件をこなしながら、各種裁判事件もこなしてきた。
 これから研修を終え独立する方々、またこれから試験に挑む方々には法的知識の取得もさることながら、是非、この法律実務家としてにタフさをみにつめて頂きたい。
 研修期間の数年間の経験により同期合格者の間にもかなりの力の差がでる。
 したがって、配属先によって自分自身の司法書士としての力量が決まってしまうぐらいの意識を持ち、研修先を検討して頂きたい。
 今回の事案に関し、なぜこのような結論に至ったのかは、今回は見送るが、興味のある方は 私にメールいただければ、出来る限り回答したいと思う。法的な対処の仕方や、理論構成は、事件をこなせば必ず身に着いてくる。
 まず、大切なことは、いろんな事件を経験することであり、私達司法書士が関与すべき問題は、山積であることを認識して頂きたく第1回目の「奮闘記」としたい。

 尚、今回の不動産売買の決済についても、当事務所が関与することとなったが、商工ローン業者の担保権の設定されている売買に関しては、通常の金融機関の抹消と比較し、買主の権利確保のための事前の準備には労力を費やす。
 中にはこのような事件を敬遠する司法書士もいるようである。そのような部類の司法書士になってはいけない。(平成14年1月)  



home back