司法書士の新人研修を終えた直後、約3箇月という非常に短い期間でしたが、小澤事務所で研修生活を送らせていただきました。
私は司法書士の父のもとに育ち、事務所の隣に暮らし、司法書士の仕事は身近なようで、その実、なにもわからずに司法書士を目指しておりました。特に知らなかったことといえば、こんなにおもしろい仕事だということです。
特に印象に残っていることといえば、多重債務者の方の破産を躊躇される姿。あるおばあちゃんの遺言に従って、知り合いですらなかった町内会の方々に生前のお礼の商品券を配ったこと。心身共に疲弊して生活保護申請に向かうもあしらわれ、更に傷付いた人。会社法改正で、今後を考え出した会社。
小澤事務所で経験させていただいたことは、とても3箇月の経験とは思えないほど多岐にわたります。 債務整理のお仕事でお会いした人だけでも30人近く。それぞれ抱えている問題も違うし、相続の問題、生活保護の問題、成年後見の問題等別個の法律問題が派生していることも少なくなりません。法律の実践を急速に身につけることが要求される一方、依頼者の方々との信頼関係を考え、お話の伺い方から対応まで、専門家として適切な対応をするために精一杯の日々でした。更に、債務整理に限らず、登記はもちろん、金銭の貸し借りや遺言執行等、普通に暮らしている人の日常生活から生じるあらゆる問題に法律を用いて手続を保証するということを幅広く経験させていただきました。
人が与えられた環境はそれぞれです。自分で選べるものはごくわずか。むしろ与えられた環境の中で最良の選択をしていくしかないのが生活ではないでしょうか。親の借金を背負うこともあれば、財産を相続することもあり、突然の病気にお金が足りなくなったり、法律が変わって登記を迫られたり。死期だってきます。これらの事象に法律的な解釈を与え、適切な手続を選択肢として提供し、ルールに則った権利の保全、解決を図るのが専門家としての司法書士の仕事です。
しかも、取り扱う事象は二つと同じものがないほど、個性を有し、法律の能力のみならず、聞き取り力、判断能力、総合的な人間力をもってやっと対応できるか否かのものも多々あったように思います。
受験時に勉強していた登記はほんの一部であって、生活があり問題があり、作られた法律を用いる知識と技術があってこそ解決できる問題がある。
私には、しばしば、事務所内で依頼者と向き合う先生の姿がお医者さんのように見えました。生活の問題に、法律をもって向き合い、解決の手助けをする。守るべきは法律よりも依頼者の尊厳です。3箇月で身につけられる知識や技術にはやはり限界がありましたが、この姿勢こそが、私が小澤事務所で得た一番大きなものだったと思います。そして、私を最もやる気に導き、おもしろがらせてくれたものです。
最後に、小澤事務所での研修により、それぞれに役割を果たす魅力的な人々にお会いできたことに感謝しています。事務所には先生方、ご家族、先輩、同期、事務員さんがいて皆それぞれの役割を持ち仕事をしています。それぞれの考えや仕事に対する姿勢から学ぶものは多くありました。そして、必死だった研修期間を楽しくありがたく振り返ることができるのは、皆さんの助けに支えられてその時期があったからだと思います。この研修でいただいたものを力に変えて、周りの人にお返ししていく責任を感じています。
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