研修内容:登記業務はもちろんのこと,主に裁判書類作成関係業務
小澤先生,上記の間,研修生活を送らせていただき,ありがとうございました。今後の研修生,またこのHPをご覧になる司法書士受験生のために,以下拙文を寄せさせて頂きます。
【このHPをご覧になっている方に】
受験生にとって,もっとも大事なことは,おそらく「司法書士になること」を目指すことではありません。受験時代から「司法書士になった後どうするか」を視野に入れることです。司法書士を目指す以上,司法書士になれることは当然なのだという意識をもつことは重要です。「どのような司法書士になりたいのか」を常に意識しておくと必ず司法書士になれます。また,受験を楽しむ気持ちも短期合格には必要です。
研修生にとって,もっとも大事なことは,「司法書士としてのマインド」を身につけることです。けして「細かな手続知識」を学ぶことではありません。また,司法書士有資格者となった後の研修生活で,その後の自らの司法書士人生が左右されるといっても過言ではないものと思われます。
【司法書士としてのマインドとは】
私自身,合格後あとは事務所で修行して細かな実務知識を入れれば開業できるものと楽観していました。ところが,現実は異なりました。実際の裁判実務において(それが司法書士法第3条1項5号相談であろうと同項7号相談であろうと),紛争の形態は様々であり,一見似たような事例でも,依頼者が異なれば,解決方法が異なってくることも多々あります。依頼者は,いずれも人生の一大事について相談に訪れるのですから,それに対応するこちらのエネルギーも相当必要です。まさに自らの全人格,全知識を総動員しなければ,相談内容を受け止めることはできませんでした。
依頼者の持ち込む紛争は,「知識」で解決できる性質のものではありません。高度な「マインド」が要求されます。なぜ自分は,裁判事務をやろうとしているのかを常に問い続けていく必要があります。
私の場合は,研修生活を送っていくうちに,強者の一人勝ちという構造が蔓延する社会では法的バランスを考えても弱者保護を行っていく必要性を強く感じ,今後も消費者問題に真摯に取り組んでいきたいと,考えるようになりました。
また,司法書士といえば多重債務問題といっても良いほどに,私の所属する単位会では先輩方の活躍がめざましく,素晴らしい実績をつまれているのですが,当然社会問題はそれに留まりません。 研修生活を通じ,労働問題や消費者取引(最近の相談事例では外国為替証拠金取引等に関するトラブルが今後さらに増加するのではないかと危惧しています。)などの諸問題に取り組む姿勢を学ぶことができました。
すなわち,「弱者保護」「新たな問題への挑戦意識」,これが私の考える「マインド」です。
【各 論】
以下,印象に残っている事件とポイントを思うままに挙げておきます。
1 鰍rFCGに対する不当利得返還請求事件の本人訴訟支援
・管轄裁判所が遠方であり,往復4〜5時間かけて,毎月傍聴に行きました。
・貸金業規制法43条について,要件を学ぶことができました。
・本人訴訟を行う当事者の意識を知ることができました。
2 サービス残業代請求事件
・以前から労働者側の視点に立った労働問題の勉強会を有志で行っていましたところ,本件は使用者側からの相談でした。
・本件は,退職労働者から2年分のサービス残業代の請求を急に受けたのですが,果たしてその請求は正当か?というものです。
・2年分のサービス残業代をタイムカードと給料明細書から,サービス残業代を算定したところ,請求金額と大きな隔たりがあることが判明しました。
・そもそも,本件請求時間は厳密に言うと労働基準法に定める労働時間ではない可能性も有るものでした。
・原被告双方の立場から紛争を解決する視点を学びました。
3 インターネット売買に絡む売買代金返還請求事件
・オークションの出品者(売主)のなりすまし(被告)が,相談者にネット上で売買契約を締結し,売買代金を不当に取得したというものです。
・振込銀行口座の口座仮差押え,本案訴訟,本執行というメニューを選択しました。
・メールの記録のみで仮差押えの疎明資料となるのか,被告の住所不明で直に公示送達の申立は可能か等が検討点でした。
その他にも物損交通事故の損害賠償金請求事件,敷金返還請求事件,家屋明渡請求事件,不倫相手への慰謝料請求事件等数多くありますが,割愛させて頂きます。
【総 括】
これからの司法書士は,簡裁訴訟代理関係業務を含む裁判事務を行いたくて司法書士になったという方が増加するものと思われます。私たちは,弁護士と違い司法研修所での修習生活を送らず,即,実務に飛び込むことになりますので,開業に至るまでの研修経験が,非常に重要になります。
その点,私は良い研修経験を積ませて頂きました。しかし,日々複雑化する現代社会では,これからも毎日が勉強です。研修生活で学んだ「マインド」を忘れず,業務に邁進していきます。
以上,最後まで読んで下さり,どうもありがとうございました。
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