Mikaduki Dayari title



株式交換などの制度の創設


 平成11年8月9日に成立した商法等の一部を改正する法律(平成11年法 律第125号)が10月1日に施行されました。
 今般の商法改正の大きな柱は、@株式交換等による完全親子会社関係の創設 制度を設けたこと、A親会社の株主等の保護の制度を強化したこと、B資産の 時価評価制度を導入したことの3点で、いずれもそれぞれ重要な意義がありま すが、今回は株式交換等による完全親子会社関係の創設に注目してみたいと思 います。
 
 株式交換等(株式交換および株式移転)は、親会社が子会社の発行済株式の 総数を有する完全親子会社関係を円滑に創設するために設けられた制度です。
 これは、従来にはなかった新しい概念を取り入れたもので、言葉で簡単に説明 するのは難しいのですが、あえて説明すると次のようになります。
 株式交換は、完全子会社となる会社の株主の有するその会社の株式を、株式 交換の日に完全親会社となる会社に移転し、完全子会社となる会社の株主は、 完全親会社となる会社が株式交換に際して発行する新株の割当てを受けて完全 親会社の株主となる制度です。
 株式移転は、完全子会社となる会社の株主の有するその会社の株式を、株式 移転により設立する完全親会社に移転し、完全子会社となる会社の株主は、完 全親会社が株式移転に際して発行する株式の割当てを受けて完全親会社の株主 となる制度です。
 要するに、米国等で制度化されている株式交換・株式移転という新しい制度 を導入し、完全親子会社を作りやすくして持株会社を有効に活用し、事業とそ れにともなうリスクは完全子会社に分散し、経済活動の活性化を図ろうという ものです。
 この株式交換等の制度は、上場企業等の大企業では早くも活用されようとし ていますが、新制度の内容とこれにともなう税制の手当を検討すると、実は大 企業ではなくても利用価値の極めて高い制度であると言うことができます。

 具体的に、次のようなケースを考えてみましょう。
 A会社はa社長一代で築いた会社で、堅実な業績を残しています。しかし、 a社長も高齢となり、しかも後継者がいません。a社長は、せっかく築いた事 業を終わらせたくありません。A会社の株式をすべて買収して会社自体を買い 取りたいという申し入れもありますが、そうなるとA会社とは全く縁が切れて しまいますし、株式を譲渡することによって莫大な譲渡所得税も発生すること になります。A会社の株主はa、b、cとします。
 X会社はA会社よりも大規模な会社で業績も安定しています。X会社のx社長 はa社長とも知り合いで、a社長の悩みを前から耳にしていました。x社長は a社長の力になってあげたいと考えていますが、X会社にはA会社の株式を買い 取る程の資金力もありません。
 このようなケースで、X会社を完全親会社、A会社を完全子会社とする株式交 換を利用した場合、a、b、cの所有するA会社の株式をX会社に移転し、交換 株式としてa、b、cに対しX会社の新株式を割り当てることになります。た ったこれだけですが、実質的には双方にとって大きなメリットがあります。
 まず、a、b、cは、従来所有していたA会社株式がより業績の安定したX会 社株式に交換されたことにより、安定的な資産を得たことになります。しかも、 一定の要件を備えた株式交換であれば租税特別措置法の規定により譲渡所得税 を繰り延べすることができます。
 また、後継者難で悩みながらも事業は閉鎖したくないと考えていたa社長は、 A会社がX会社の完全子会社として存続し、今後はX会社から人材の派遣も期待 できることになり、安心して社長の椅子を空けることができるようになります。
 さらに、X会社はA会社を完全子会社とするに際し、X会社の新株をa、b、 cに割り当てただけで、買収資金は一切出していません。買収資金なしでA会 社を買収してしまったということです。
 このようなケースを考えてみると、株式交換等の制度は決して上場企業だけ のためにあるのではないということがおわかりになると思います。
 このような株式交換を行うためには、株式交換契約書の作成、株主総会の招 集、株券、株主総会特別決議(一定の要件にあてはまる場合には株主総会を開 かずに手続きを進める方法もあります)など、法律上の手続きを厳密に履行す る必要があります。



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