深刻な社会問題となっているヤミ金融被害の実態を受け、ようやく、ヤミ金融規制法が制定されようとしています。平成16年1月より施行される予定ですが、罰則部分に関しては、公布後一ヶ月を目処に前倒しで施行されることとなっているようです。
さて、その骨子は次の5つであると考えられます。
@登録要件の厳格化
A取立行為などの規制強化
B適正な営業体制の確立(貸金業務取扱主任者制度の創設)
C罰則の強化
D契約の無効
以下、簡単に説明してみます。
@登録要件の厳格化
現在、貸金業者は、わずか数万円の手数料を納め、申請書類に不備がなければ、簡単に国や都道府県に登録でき、登録すれば、雑誌などに広告を出すことができるようになっており、ヤミ金融には登録業者も多いのが現状です。
実際に、昨年1年間に全国の警察が摘発した高金利事件(出資法違反)208件のうち、半数の106件が登録業者によるものであったという報道もあります。
一方、ヤミ金融の経営で得た金員が暴力団の資金源となっているという現状もあり、こうした現状に鑑み、今般の法改正により、次のとおり登録要件を厳格にしました。
つまり、貸金業規制法6条に定める登録拒否事由に関して、
(1)「暴力団員または暴力団員でなくなった日から5年を経過しない者、これらが役員などである法人、暴力団員などを業務に従事させるおそれのある者」
(2)「貸金業を遂行するために必要と認められる財産的基礎を有しない者」が追加され、
(3)登録事項として、営業所等の電話番号などの他、貸金業務取扱主任者の氏名が追加されたことに伴い、営業所等に貸金業務取扱主任者を置かない者についても、登録拒否事由として追加しています。
なお、(2)で言う財産的基礎とは、具体的には、内閣府令で基準が定められることとされているが、法人に関しては500万円、個人に関しては300万円、日賦貸金業者に関しては150万円とされており、これ以上の手持ちの資金を義務づけました。
一方、登録手数料も15万円に引き上げることとされました。
A取立行為などの規制強化
090金融などヤミ金融業者には無登録業者も多いため、無登録営業等の禁止を定める貸金業規制法11条に、無登録業者の広告及び勧誘を禁止することを明示しました。そして、これに違反した場合には、罰則対象となることとなりました(貸金業規制法49条)。
また、取立てにあたって禁止される行為を貸金業規制法21条に明確化し、貸付け、債権の取り立てに当たり、偽り、不正、著しく不当な手段を用いることを禁止しました。詳細については条文を参照してください。
債務者等が弁護士・司法書士に債務の処理を委任したことを通知した後の取立行為の規制が明文化される予定です。
一方、貸金業者は、従業員に身分証明書を携帯させなければならず、これに違反した場合には罰金が科されることとなっています。
B適正な営業体制の確立
貸金業者は、営業所・事務所ごとに、貸金業務取扱主任者を選任しなければならず、貸金業務取扱主任者は、業務に従事する従業員に対し、法令の遵守など業務を適正に実施させるために必要な助言及び指導を行わなければならないとされました。
そして、貸金業務取扱主任者は、法令その他の業務に必要な知識に関する研修を受講させなければならないとされ、貸金業務取扱主任者は営業所・事務所に掲示しなければならず、相手方からの請求があったときは相手方に明らかにしなければならないとされました。
C罰則の強化
具体的に次のとおり罰則が強化されました。
(1)無登録業者の刑事罰を、現行の「3年以下の懲役もしくは300万円以下の罰金」から「5年以下の懲役もしくは1000万円以下(法人は1億円以下)の罰金」に引き上げました(貸金業規制法47条)。
(2)出資法の規定を超える高金利に対する刑事罰を現行の「3年以下の懲役もしくは300万円以下の罰金」から「5年以下の懲役もしくは1000万円以下(法人は3000万以下)の罰金」に引き上げました(出資法5条)。
(3)書面交付義務違反・白紙委任状取得制限違反に対する刑事罰を、現行の「100万円以下の罰金」から「1年以下の懲役もしくは300万円以下の罰金」に引き上げました(貸金業規制法48条4号)。
(4)取立行為違反に対する刑事罰を、現行の「1年以下の懲役もしくは300万円以下の罰金」から「2年以下の懲役もしくは300万円以下の罰金」に引き上げました(貸金業規制法47条の2)。
D契約の無効
最後が、最も議論の多かったと予想される、出資法の上限金利を超える割合による利息の契約をしたときの契約の効力をどのように規定するか、であります。
結論から言えば、「貸金業者が、年109.5%を超える割合による利息の契約をしたときは、当該消費貸借の契約は無効とする」と規定されることになりました。
業者が交付した金員について、不法原因給付とみなす規定は見送られることとなりました。
しかしながら、だからといって、必ずしもヤミ金融業者が交付した元金の返還を保証したものではありません。
ヤミ金融業者との金銭消費貸借契約が無効になることによって、ヤミ金融業者が交付した金員は不当利得金となりますが、事案によっては、不法原因給付が成り立つことは当然であります。
この点については、今後の実務の集積が期待されるところです。
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