平成10年から、いよいよ新民事訴訟法が施行されました。
この改正は、実に大正時代から70年ぶりの大改正であることもあり、長らく待たれていたものでしたから、ようやくという言葉が相応しいのかもしれません。
国民の司法離れが声高に叫ばれて久しいわけですが、あの中坊公平先生に言わせれば、司法の救済を受けている国民は全体の2割しかいない、ということですから、状況は深刻だと言わざるを得なかったと思います。
裁判というものは、時間もかかり金もかかるもの、だからそれほど利用価値のあるものではない、というのが多くの国民感情だったのでしょう。
それでは、裁判を利用しないで実際にどのようにトラブルを解決していたのでしょうか?
中には違法な手段を取る場合もあるでしょうが、ほとんどが泣き寝入りを余儀なくされていたのではないでしょうか?
そんな状況に歯止めをかけるべく、行われたのが今回の改正というわけです。
それでは、実際にどんな改正が行われたのでしょうか?
主要な改正点は、次のとおりです。簡単にまとめましたので、それぞれの詳細につきましては、別の機会に譲りたいと思います。
@争点および証拠の整理手続の整備
事案の性質や内容に応じて、適切な争点整理を選択し、早期に適切な整理を可能に出来るように手続を整備しました。
より適正で迅速な民事裁判の実現のため、当事者間に争いのある事実を早期に明確にし、そのうえで、これに焦点を当てた効率的な証人尋問等を行なおう、という基本的な考えのもとに、それを可能にするための整理手続を整備したというわけです。
A証拠収集手続の拡充
訴訟に必要な証拠の収集をしやすくし、当事者が争点等の整理に向けて十分な準備をすることが出来るようにしました。
具体的には、文書提出命令の対象となる文書の拡充、当事者が主張立証を準備するために必要な情報を直接相手方から取得することができるようにする当事者照会の手続を新設しています。
B少額訴訟手続の創設
一般市民が訴額に見合った経済的負担で紛争の適性・迅速な解決を受けられるよう、30万円以下の金銭の支払を求める事件について、原則として1回の期日で審理を遂げ、即日判決の言い渡しをすること、被告による任意の履行がされるよう、被告の資力等を考慮して分割払いや支払期限の猶予を命ずる判決をすることができるような少額訴訟手続制度を創設しました。
C最高裁判所に対する上訴制度の整備
近時、民事訴訟等の上告事件が増加していることから、負担過重の状態にあり、今後も最高裁判所が憲法裁判所および最終審裁判所としての判断を求められる事件が増加するであろうという予想に鑑み、今後、最高裁判所が、憲法問題や重要な意義を持つ法令解釈の問題について速やかな判断を示し、本来の責務を十分に果たすことができるよう、適正な範囲で上告の理由を限定するなどの改正を施したものです。
|