Mikaduki Dayari title



商工ローンの落とし穴


 回復の兆しが見えない、どん底の様相を呈している我が国の経済。大手の銀行でさえ信用不安が噂され、実際に破綻しているところもあります。

 また、平成9年秋頃から問題になった、銀行の貸し渋りの姿勢は依然として厳しく、特にいわゆる中小・零細企業はその資金繰りにたいへん苦しんでいるようです。
 一方、このような状況の中、そうした中小・零細企業を相手に、飛躍的に業績を伸ばしている金融業者があります。
 これが、「商工ローン」といわれる金融業者です。
 「商工ローン」とは、中小・零細企業向け金融業の総称で、事業資金の融資や手形割引などを行なっています。 その代表格として、東証1部上場の「日栄」と、東証2部上場の「商工ファンド」があげられます。

 さて、これらの「商工ローン」と呼ばれる金融業者ですが、金融機関から融資が受けられない黎明期にある起業家のサポート、などといった歌い文句とは裏腹に、契約の実態を巡ってのトラブルが後を絶たないようです。
 いったい、「商工ローン」 の何が問題となっているのでしょう?

 まず、その高金利があげられます。
 多くの業者は、実質年利は30%程度ですが、これは、利息制限法を超え、出資法の上限を超えない、いわゆるグレーゾーンと呼ばれる利率になります。
 営業利益を増やすことを確保することすら困難である昨今、これほどの金利負担をしていれば、それだけで経営破綻をする可能性も大きいと言わざるをえません。

  次に、厳しい取立があげられます。
 その契約条項は、支払いが遅滞した場合のペナルティの厳しさに集約されています。
 つまり、一度でも支払いが遅れたら、容赦なく全額回収に取り掛かることができるようになっており、また、その際の遅延損害金は出資法に定められた最上限の利息40.004%が請求できることになっているのが多いのです。

 3つめが、保証人に対する厳しさです。
 「商工ローン」業者は、必ず保証人を何人か立てさせますが、借り主が返済を遅延した場合、容赦なくその保証人の預金、給与などに差し押さえの魔の手が伸びてくるのです。
 この保証人には、ごく普通のサラリーマンも多く、給与の差し押さえなどは、それだけで致命的なものになりかねません。

「商工ローン」業者は、上記のような厳しい回収を可能にする書類を契約締結時に署名・捺印させているのですが、その書類は膨大な量であり、懇切丁寧に内容を説明することがないことから、借り主や保証人は、厳しい取立が始まってからその契約内容を認識するという状況なのです。

 自分の作った会社は、子供のようなものだと中小企業の経営者はよく言います。
 そうだとしましたら、それを潰すことなど、そもそも頭の中には無いのでしょう。
 とはいえ、「商工ローン」を利用することは、保証人をも巻き込み、さらにそれより金利の高い業者に手を出さざるをえない状況にもなりかねません。
 会社のたたみ方も、経営者に問われる姿勢の一つなのではないでしょうか?

 ただ、その一方で、商工ローン業者の業績は、銀行の貸し渋りが続く限り、今後も伸びつづけていくことでしょう。
 すでに、現在におきましても、大手では数百億円の経常利益をあげており、大手消費者金融業者と肩を並べております。
 大きな矛盾を感じるのは私だけでしょうか?



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