@依頼人が司法書士を選択する時代の到来
〜改正司法書士法による変革〜
司法書士 小澤吉徳
昨年、司法書士法が大きく改正され、法務大臣の認定を受けた司法書士に簡易裁判所における代理権(裁判外での和解についても同様です。)が付与されることとなりました。
この改正は、司法書士業務に極めて大きな影響を与えるものでありますが、裏返せば、利用者である国民にとっても、選択肢が大きく広がったと言えます。
そもそも、司法書士法の改正は、国の推進する司法制度改革の一環としてなされたものですが、その理念は「司法アクセスの拡充」に尽きます。
これまで、特に身近な法律トラブルに関して、多くの国民が「どこへ相談すればいいのか分からない」という状況で、泣き寝入りを強いられてきましたが、そうした状態を打破すべく「街の法律家」を自認してきた司法書士にその一端を担わせようということなのです。
従いまして、簡易裁判所における代理権を付与された認定司法書士には、国及び国民から負託された重責を担う職責があると考えられます。
社会問題となっている「ヤミ金融被害の問題」「多重債務問題」はもちろんのこと「建物の賃貸借に関するトラブル(敷金の返還や家賃の滞納など)」「マンションの管理費滞納の問題」「サービス残業代の問題」「私人間のお金の貸し借りの問題」などといった問題にどれだけ真摯に取り組んでいけるかが、今後の司法書士制度を大きく左右することでしょう。
もちろん、司法書士業務の最も大事なものの一つは、不動産登記や会社などの法人の登記関係の仕事であることには変わりありません。
しかしながら、利用者である国民の法的需要は、それらに留まるものではありません。
従いまして、今後は、そうした法的需要に対しても十分に応えることができる力量のある司法書士を、利用者である国民が選択をする時代になると思われます。
さらに言えば、認定の有無に関わらず、これまでの旧態依然とした職務形態をとり続けていく司法書士は、規制緩和の波に飲まれ、自然と淘汰されていってしまうのではないかと考えています。
当事務所では、(当然のことですが)不動産登記・会社登記及びそれらに関連する職務に、高度な専門性と正確性・迅速性を一層強化していくとともに、これまで築いてきた本人訴訟支援のノウハウを生かして、簡裁代理関係業務にも大きな力を注いでいく所存です(もちろん、地方裁判所以上の民事事件全般について、これまでどおり、本人支援型書類作成業務にも力を注ぎます。)。
本年は、司法書士にとって、試練であると同時に大きなチャンスの年になります。
「司法アクセスの拡充」の重責を少しでも果たし、これまで以上に存在意義のある司法書士制度を目指して努力し続けたいと思っています。
A個人再生
-住宅資金貸付債権に関する特則の改正-
(いわゆる、そのまま型)
司法書士 赤松 茂
【個人再生の原則】
個人再生の手続をうまく利用することによって、住宅を失わずに債務整理をすることが可能です。個人再生を申し立てた債務者の一般債権者は、元本の一定割合のカットを要求されますが、仮にその債務者が破産してしまった場合よりも、必ず多くの返済を受けることができます。なお、住宅ローン債権者は、多少のリスケジュールをせざるを得ないときもありますが、原則として約定通りの支払総額を受けることができます。
(破産した場合の債務者の財産総額を「清算価値」といいます。)
債務者にしてみると、清算価値以上の返済をしなければならないのですが、直ちに返済する必要はなく、原則3年間の分割弁済の期限の利益が与えられます。また、その返済額は上限300万円です。
このように、個人再生手続は、債権者・債務者双方にとって、メリットがあります。
【住宅資金貸付けに関する特則】
住宅ローン付で個人再生の申立を行う場合は、この特則を利用する必要があります。そもそも個人再生の手続中は(半年前後かかります。)全ての債権者に弁済禁止というのが原則となり、平成14年の法改正までは、住宅ローン債権者に対する弁済まで禁じられていました。しかし、住宅ローンは残高が多大のため、その延滞金は必然的に大きくなり、債務者のリスケジュールが困難になってしまうと、実務家から指摘され続けていたところでもありました。
そこで、平成14年に民事再生法が改正となり、新たに第197条第3項が追加されました。その改正の主な点は、裁判所の許可を得ることによって、住宅ローンについて、個人再生の手続中でも弁済が可能となったという点です。なお、弁済許可の申立は、再生手続申立と同時に申請が可能ですので、これによって、申立人は、住宅ローンの支払を、手続の進行の如何を問わず、行うことができるようになりました。結果的に、住宅ローン債権者は、再生手続に何ら影響を受けることなく、弁済を受けることが認められるようになったのです。
住宅ローン債権が、不良債権化してしまう前に、債務整理を行う。再生手続には、そのような予防的な効果もあるのです。
B連載「ちょっと一息 法律基礎知識 1」
アシスタント 中塚祐美子
お隣の植木の枝が塀を越えてのびてきてとても邪魔です。こんな時あなたはどうしますか?法律では枝が境界を越えてきた場合はその所有者に切り除くように請求することができるだけとされています、勝手に切ってはいけません。
そうです、こんな身近なことも含めて、権利や義務に関すること、それを守らなかった場合の処置などが法律で定められています。そして、裁判所が判断の基準とするのも法律なのです。ですから、ある程度の法律知識があってこそ自分の果たすべき義務を知り、自分の権利を守り、平穏な生活を送ることができるといえます。
上の例の他にも売買・金銭貸借・借地借家・相続・贈与・賠償・婚姻関係・親子関係・労働関係・など日常生活のさまざまな面において法律がかかわってきますが、普段はなかなか表面化しないため気にもとめない人が多いことでしょう。しかし、問題に直面した時に困らないために、また悪賢い人間の食い物にされないために、もしもの時に備えて最低限の法律知識を身に付けておきたいものです。
そこで、今後このコーナーでは、身近なトラブルやよくある疑問などの具体例をあげて日常に必要な法律知識を紹介していきたいと思います。
C連載「担保物権及び民事執行制度の改正(第1回)」
司法書士 畑中一世
【改正点と趣旨】
第156回国会において、「担保物権及び民事執行制度の改善のための民法等の一部を改正する法律」が成立し、今年の4月1日より施行されます。
この改正の趣旨は、担保権の内容及び実行手続を現代の社会情勢、経済情勢に適合させ、その執行手続について権利実効性を確保しようとするもので、さらに不動産執行妨害への対応強化を図り、不良債権処理のさらなる加速を促すものです。
主な改正点は、一括競売制度、短期賃貸借制度の廃止、滌除制度、根抵当権元本確定と登記手続、競売手続における保全処分、競売不動産の内覧、担保不動産収益執行手続、明渡執行手続、民事執行制度における財産開示制度などで、その他広範囲にわたって重要な改正がなされています。
これらの改正は、この後の不動産取引実務にも関係してくるので、これから数回に分けて主な改正点について簡単に解説していこうと思います。
まずは、一括競売制度の見直しについてです。
【一括競売制度の見直し】
これまでは、土地への抵当権設定後に、抵当権設定者(当該土地所有者)が抵当地上に建物を建てた場合に限り、抵当権者は土地と建物を一括して競売することが認められていました。(旧民法389条)
ですから、抵当権設定者以外の第三者が、抵当権設定後に建物を建てた場合、抵当権者は抵当地のみしか競売ができませんでした。
この欠点を利用して、抵当権者の知らない間に勝手に抵当地上に建物を建てて高額な立退料を請求したり、実際は抵当権設定者が建物を建築したのに第三者が建築したと見せかける表示登記や建築確認申請をしたりするなど、競売に際しての執行妨害が目立つようになりました。
そこでこの種の執行妨害を排除するため、抵当権者は、建物の所有者が抵当権設定者であるか第三者であるかを問わず、土地と建物を一括競売することができると改正されました(改正民法389条1項)。
ただし、抵当権設定当時に建物所有者が登記された賃借権や地上権を有している場合や、抵当権者の同意の登記をした賃借権である場合には、抵当権者に対抗できる権原を有していますので、土地と建物を一括競売することはできません。(改正民法389条2項)。
なお、抵当権設定当時から既に建物が存在する場合には一括競売ができないこと、一括競売により優先弁済を受けることができるのは土地の代価についてのみであること、法定地上権の成立については、従前と変わりありません。
次回は、根抵当権の元本確定と登記手続に関する改正についてです。
D連載「商法大改正1」
司法書士有資格者 岡島佑樹
皆さんの中には既にご存知の方も多いかもしれませんが、ここ2、3年の間に商法(とりわけ会社法)の「大改正」が行なわれてきました。これは、日本経済が行き詰まり、その影響で長く低迷に苦しんでいる企業に対して、その運営を公正で効率的なものにするための法改正であり、往来の画一的な会社システムを大きく変える大手術であったといえます。
「大改正」の主要なポイントは、以下の4点、すなわち、@資金調達・株式制度の見直し、Aコーポレート・ガバナンス、Bグローバル化、CIT化、となります。
まず、@ですが、往来の日本の企業の資金調達の基本は、銀行からお金を借りるという間接金融が主体で、これには長期的な信頼関係や系列といった関係を基礎にして、取引コストの低下や、低利や緊急融資も行なうといったメリットもある反面、物的担保重視や貸し渋り、実績や担保にし得る物的資産を持たないベンチャー企業などにたいする融資の機会が少ないなどのデメリットがありました。本来、株式会社等の企業が資金調達する手段として予定されているのは、自社の収益性・企業価値を高めることにより、高率な配当をなし、市場から出資者を募るという直接金融でした。そこで、その直接金融をより利用し易いものへとかえるため、金庫株の解禁、株式の単位・大きさ・種類の変更などがなされました。
次に、Aでは、往来の日本企業にみられた株主不在、株式持合い等による不祥事やトップの専横などの不健全さの是正です。その手段として、株主代表訴訟の見直しや監査役の権限強化、委員会等設置会社制度の導入があげられます。
そして、B、Cは言うまでもなく時代・環境の変化、技術革新にあわせた改正であり、往来書面によってしか認められていなかったものを電磁的方法でも可能としたり、国際的基準に合わせたりするものです。
本誌では、以後、上記4点につきまして、順を追って個別に解説していきたいと思っております。今回は、初回ということもあり概括的なものになってしまい不十分であったと思いますが、次回以降はより詳しい内容を皆様にお届けしたいと思っております。
E連載「司法書士補助者のつぶやき〜パート@」
アシスタント 竹内陽子
司法書士事務所の補助者の仕事について書いていこうと思いましたが、それ以前に「司法書士ってなんだ?」と思っている方が多いのではないでしょうか?
司法書士事務所に勤めていると言うと「えー!すごい!っていうか、司法書士ってどんな仕事?名前は聞いたことあるけど、何やってるの?」と実は司法書士知らない人が多いのです。
弁護士や税理士はよく聞く職業で名前だけでもイメージがわかりやすいのに比べて司法書士は「司法」とつくのでなんだかわかりにくくマイナーなイメージかもしれません。
しかし、実際は多種多様な法律相談を受けているのです。不動産の売買、相続や会社の設立などの登記の相談から債務整理、離婚、労働問題、ストーカー問題など様々な相談に司法書士は乗っています。 日々の生活の中で、法律を知っていれば…と悔しい思いをしたり、相談したいけど弁護士は敷居も費用も高いし・・・と思って相談できずにいる人もいらっしゃるでしょう。そんな時にはぜひ、町の法律家・司法書士に相談してみてください。 司法書士は日々法律の知識をフル活用して相談にのっています。ぜひ司法書士を身近に感じて下さい。
編集後記
「三日月便り」いかがでしたでしょうか?第1号ということもあり気合が空回りしている感もありますが、今後は当事務所の活動内容、法改正、そして司法書士についてより詳しくお伝えすることができればと思っております。
司法書士は、「市民のための法律家」、「街の法律家」を目指し、皆様の権利と正義を守ります。どんなに小さな悩みでも結構です!困ったときには当事務所にお立ち寄りください。闇夜を照らす柔らかな月明かりとなれば幸いです。これからも小澤事務所をよろしくお願いいたします!!(Y.O)
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